うちゅうてきなとりで

The Cosmological Fort 無職戦闘員による本メモ、創作、外国語の勉強その他

ガリバーにならって

 正しく、電気の柱にたかる鳥の、

 複数の鳥と、それにぶらさがる無線技士たちが、

 夕焼けを浴びて影絵に変わるときのこと。

 

 大きな背中の男、かれの、筋骨たくましい、大小さまざまの

 筋線維が立体的に絡まった、馬のような背筋に、

 足場を組んで、ケーブルを貼っていった。

 

 ひとり、ひとりが

 人間の祖先によって書かれた規則を手にして。

 

 電信柱と電信柱の奥に、だれにもしばられない自由な

 空中鉄塔があり、そこに串刺しにされた、

 巨人の4つの胴体をわたしは点検した。

 

 わたしたちは油と鉄粉にまみれた、手のひらをあわせる。

 ありがたいこと、という号令とともに、手足を切ってかまどに

 こっそりと隠す。

 

 太陽が沈むのと入れ替わりに、自分たちをつくった古い人びとの

 おいしそうな肉の香りに包まれる。