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うちゅうてきなとりで

the cosmological fort 無職戦闘員による本メモ、創作、外国語の勉強その他

『自壊する帝国』佐藤優

10年程前に『国家の罠』、『獄中記』等を読んで以来、久々にこの著者の本を読んだ。 著者は極端なロシア政府寄りというわけではないだろうが、暗殺されたアンナ・ポリトコフスカヤやリトビネンコに対しては冷めた見方をしている。 どちらの書いた本も読ん…

「ミッシング」

制作:1982年 監督:コスタ=ガヴラス ピノチェトのクーデタによって殺戮される人びとと、それを支援する合衆国が背景にある。 チリで行方不明になった一人息子を探す父親の映画。息子は、チリのクーデタの背後に合衆国が関与していることをかぎつけてい…

バイソンの親子の 腹部にかみついて 脂をすする魚を どうやって釣り上げようか ここには 山から下りてきた 生きたマスと、 イヌサフランの、食べかけがある 首が、となりの山まで延びた 両手の指が焦げるまで 収獲を待っている。

『アフガン侵攻1979-89』ブレースウェート その2

戦闘…… ムジャヒディンは地元と密着しており、各監視所や部隊は、地元民と協力しなければやっていけなかった。 マスードは大学を出て働いた後、イスラーム主義運動に参加し、ムジャヒディンの一角となった。共産主義政権と同じく、ムジャヒディンも一枚岩で…

『アフガン侵攻1979-89』ブレースウェート その1

著者はロシア経験の長いイギリスの外交官で、独ソ戦についても本を書いている。 1978年、アフガニスタンにおいて、クーデタにより共産主義政権が成立すると、タラキはスターリンと同じ手段で政権を安定させようと試みた。このため、翌年、ヘラートにて大…

『憲兵』大谷敬二郎

満州事変前夜から終戦までの間、憲兵として勤務した人物の本。 憲兵としての初度配置が関東軍であり、石原莞爾らが謀略によって事変を起こす場面に立ち会うことになった。 軍を含む国家全体が、感情的、短絡的な傾向を強めていく様子を冷静に記述していく。 …

『個人と国家』樋口陽一

人権主体としての個人と、主権の担い手としての国家とを考える本。 個人の自由に対する保障をより強化していこうという考えが貫かれている。 個別の事例にあれこれコメントする形式をとっており、漫談に近い。しかし、憲法とは何か、立憲主義とは何か、国家…

鉱山歌

(マフェキング(Mafeking)において、イエローケーキの塊を飲み込むベーデン=パウエル大佐を見て) 細密画の指からたどる林檎の実をなめて気道のウランを溶かす 岩の中で赤い子黒い子頭をおさえ文様を彫る火の国のため 不整合の真鍮製の人形さえ落ち葉をた…

「オールド・ボーイ」

制作:2003年 監督:パク・チャヌク ネタバレ注意 日本の漫画が原作ということで、各所にデフォルメされた人物、設定が登場する。 内容は、個人的な恨みや思い入れからくる復讐劇であり、登場人物たちにとっては一大事だろうが、わたしはそこまで入って…

『ダーウィンの危険な思想』デネット その4

16 道徳と進化の関わりについて考える。 道徳の起源を論じた学者として、ホッブズ、ニーチェに言及する。 ニーチェはダーウィンの影響を受けているが、同時代の社会ダーウィニズムについては厳しく批判した。 ニーチェは、道徳が成立することによって、そ…

『ダーウィンの危険な思想』デネット その3

10 ダーウィン主義に対して大きな影響を及ぼした、批判者の1人であるグールドについて。 スティーヴン・グールドは、進化論を普及させる上では素晴らしい業績を残した。しかし、彼の説は進化論に「スカイフック」(何者かが進化を今あるように導いたとす…

『ダーウィンの危険な思想』デネット その2

6 現在の生命の形は、DNA配列により可能な無数の形の中のごく一部に過ぎない。それらは、盲目的で無作為な過程によってつくられた生物学的秩序である。 種は非行為者であり、自然淘汰が様々な問題を解決していく。デザインは知性を必要とするが、それは…

『ダーウィンの危険な思想』デネット その1

ダーウィンの持つ重要性をわかりやすく説明するための本。 具体的には、ダーウィン革命が既存の世界観をどのように変えてしまうのか、ダーウィン思想が、その反論に対し、いかに耐えてきたか、ダーウィン思想がヒトにも適用されうることを説明する。 *** 1…

居留地において

沼から足をだした わたしは、底に固まった泥が 無音でふくらみ、表皮まで せまるのを見た 反復する魚たちの、腹をこすり 水の藁と塵を舞い上げる動きに 目をこらす 無数の手がフィールドをかきまわし かれらは探す この国の殻、抜け殻は、 口からマンガンを…

「グランド・ブタペスト・ホテル」

制作:2014年 監督:ウェス・アンダーソン 架空の国にあるホテルのコンシェルジュが主人公の映画。こっけいで非現実的な登場人物が登場し、殺された老女の遺産をめぐって事件が進む。 人物たちのやりとりや動きに、笑える箇所がある。 平面図を意識した…

夢の旗

朝の煙を丸めたもの 黒色火薬のにおいのする 雨を口にふくんだ 生ぬるいこぶしの石 いたるところから 土器たちの戦列が 運動をくりかえす 登場人物たちの 眼のソケットは、1カ所ずつ 除染され ようやく、光において 何も見えなくなる

『憲兵物語』森本賢吉 その2

*** 「注意すべき中国人の慣習」……面子を重んじ、言動に注意し、敵意を持たれないようにすること。大家族主義を認識すること。中国人は収入に応じた生活をする。 *** 北支軍の憲兵の悪評について、小磯国昭陸軍大将に尋ねられた著者は回答する。 ――……憲兵令…

『憲兵物語』森本賢吉 その1

徴集兵出身の憲兵による話。 著者は成績優秀によって憲兵となり朝鮮、中国を中心に活動した。 憲兵の仕事だけでなく、当時の中国戦線の様子も詳しく書かれている。特に、占領地域や、後方地域でのスパイやゲリラとの関わりについて参考になる。 *** かれは広…

『靖国参拝の何が問題か』内田雅敏

なぜ靖国神社参拝に対して諸外国が内政干渉を行うのかを、神社の起源等から明らかにする本。 自民党、特に安倍晋三への非難の調子が強烈であるため、同じ意見の読者が安心することはできても、違う考えの読者を説得させることはできないのではないか。 わた…

『スターリンの対日情報工作』三宅正樹

クリヴィツキー、ゾルゲ、日本人スパイ「エコノミスト」等の事例を参考に、昭和前半期における日本政府の内部情報のほぼすべてが、スターリンに伝達されていた事実を明らかにする本。 1 クリヴィツキー クリヴィツキーはスターリンの工作員だったが亡命し、…

契約と輪転

土の奥深くで、数えきれない 死人が押し込まれ 麦粒の山のように、塵と埃を食べながら 再び出土するのを待った。 作業員たちは、土にスコップを差し込んで 埋められた電話線と、薬莢を摘出する。 黒い手袋のかれら、すべての構成員の顔が、 泥を塗られて光る…

ジョージア(グルジア)映画

ちょうど東京でジョージア映画をまとめて上映しているということなので、近々観にいこうと思った。 映画『みかんの丘』『とうもろこしの島』予告編 どちらもジョージア独立時のアブハジア紛争を舞台にした映画のようだ。

『日本軍と日本兵』一ノ瀬俊也

合衆国陸軍省情報部の出版していた部内刊行物「Intelligence Bulletin」(IB)を参考に、日本軍と日本兵の実像を考える。 精神主義、白兵戦一辺倒だったという定説は正確でないことを本書は示す。 狭いレベルにおいては、日本軍は合理性を追求していた。し…

「HUNGER/ハンガー 静かなる抵抗」

制作:2008年 監督:スティーヴ・マックイーン 3部構成……囚人と刑務官の風景、神父との対話、ハンガーストライキ 収監されたIRA活動家が、政治犯としての地位を求めて抵抗を行う。刑務官や警察たちは、活動家らに対し無慈悲な暴力行為、人権侵害を加…

新しい鐘

金属のゆらぎの瞬間、 枝と幹が、ピシピシと鳴り 細かい雪の粒子がこぼれてしまう。 そのとき朝日が、象牙色の 雲を払いのけ、 飲みこみたがる動物が 姿をあらわす。 音のパルスにあわせて 四足の、生き物ではない大きな かたちが、鼻を鳴らした。 それは吹…

"Obama's Wars"を読んで

Bob Woodward『Obama's Wars』のなかで…… オバマ大統領は、就任直後、事態が改善していたイラクに対して、アフガンでの戦争が失敗しつつあることを認識し、米軍および多国籍軍(ISAF)の増派を決定した。 任期中、大統領は数回の増派、派兵延長を決断した。 …

『思考する言語』スティーブン・ピンカー その2

4 わたしたちの認識の基礎をなす空間、時間、因果性について。 わたしたちは、空間、時間、因果性によって世界を認識する。それは世界そのものとは一致しないが、わたしたちはこの心を通じて世界を認識する。 著者は、物質、空間、時間、因果というカントの…

『思考する言語』スティーブン・ピンカー その1

本書は、言語における意味について考える。 人間が自分の思考や感覚をどのように言葉にするかを検討し、人間の性質について探ろうというものである。 特に、具体的な言語の使用例や、日常生活に即して言語における意味について考えようとする方法に特徴があ…

グレートゲーム……

最近読んでいるPeter Hopkirk(ピーター・ホップカーク) "The Great Game"は面白い。 The Great Game: On Secret Service in High Asia (Not A Series) (English Edition) 作者: Peter Hopkirk 出版社/メーカー: John Murray 発売日: 2006/03/27 メディア: …

『立憲主義について』佐藤幸治

立憲主義の成立過程と現状を明らかにする本。 特に重要となる現代立憲主義は次のようなものをいう。 ――主権者である人民が憲法制定権力者として、人権の保障と権力分立ないし抑制・均衡の統治構造を定める憲法典を制定して政府を創設し、立法権を含む政治権…

魚網

土から枝へ 鳥の巣をめがけて 雪が噴きあがる。 組織の主は 火の館のなかに 結節、結節は、 岸辺の、氷と根っこの 狭間に待機した。 わたしは 雪と氷の赤い残片を ぬぐって、肉を噛む。

「偽りなき者」

制作:2012年 監督:トマス・ヴィンターベア 「007 カジノ・ロワイヤル」のマッツ・ミケルセンが主演のデンマーク映画。 主人公が子供の嘘で冤罪を被り、村人から攻撃される映画。 善意や正義が暴走した場合、作中のような事態になることを確認した。…

符号の星

星の粒から 糸くずがしたたり落ちて 大理石のふたをあけた 見張りの犬と、帽子の男たちが 辛抱強く 光を飲んだ かれらは一族になった。 自分たちの、そのとき 光源となった、人体的、 食道・小腸ロープを手のひらに 巻き付けて、裏庭をはしゃぎまわる 生徒た…

『ロシア宇宙開発史』冨田信之 その2

2 ロケット開発 ソ連はペーネミュンデとミッテルヴェルク、その他のロケット関連施設を捜索し、A4ロケットと技術資料、設計図等を持ち帰った。また、スターリンの政令によりロケット開発体制が作られ、ドイツの技術者もソ連に移送された。 コロリョフを開…

『ロシア宇宙開発史』冨田信之 その1

気球の発明から有人宇宙船ヴォストーク(及びヴォスホート)までの、ロシアにおける宇宙開発の歴史を書く。 1 気球からロケットへ 気球は18世紀後半にフランスで発明された。これを受けて、ロシア科学アカデミーも有人気球の研究を推進し、限界高度や、上…

『昭和天皇の終戦史』吉田裕 その2

5 『独白録』の趣旨について…… ・天皇は立憲君主であり、決定権を行使しない。よって、対米開戦の責任はない。 ・対米開戦の責任は軍部、松岡洋右、近衛文麿、大島浩らにある。 ・東条英機は軍をよく統制できるから、天皇はかれを支持した。東条はがんばっ…

『昭和天皇の終戦史』吉田裕 その1

1990年に公開された『昭和天皇独白録』を史料として、「力を持たない天皇」像に対して疑問を投げかける。 古川隆久『昭和天皇』とはまったく違った像が描かれている。 1990年に発見された『昭和天皇独白録』は、終戦直後の46年における天皇の回顧…

「キャピタリズム」

制作:2009年 監督:マイケル・ムーア アメリカの格差問題に焦点をあてる映画。適切なコントロールがなされず、政治と癒着した企業が、自由競争の名の下に国民の大多数を貧困に追い込む状況を描く。 住宅ローン、医療費負担増大、学費の値上げ、過度の民…

動物界に接続されて

あの夕陽が…… 交換手の やわらかい屋根を 指で押すたびに、黄緑の表皮がへこみ、 棘はみな 生きて呼吸をつなぎ、ひもとなっていく 月ののぼるとき、2回めのとき、 鉄条網の 整備のために鳥籠を 解放するわたしは眼のない人夫を使役する 鳥籠、 それで。 わ…

『獄中記』佐藤優

逮捕された元外務省職員の本。大量の本を出しており粗製乱造の感もあるが、本書は獄中での読書やメモをまとめた割と初期のものである。 もし独房に入れられたり軟禁されたりしたら、とりあえず外国語勉強に専念しようという感想を持った。 著者によれば、政…

『The Image』Daniel J. Boorstin その2

3 旅行者から観光者へ 観光業の発展によって、かつては人生の一大イベントであり、限られた人びとしか経験できなかった海外旅行が、誰でも手に入る商品となった。 旅行は陳腐化し、冒険や計画、リスク等の要素は薄れていった。 美術館、国内旅行、ホテル、…

『The Image』Daniel J. Boorstin その1

1960年代に書かれたアメリカのメディアと国民の性質に関する本。メディア論の古典で、現代にも通じる指摘事項が含まれている。 著者いわく、アメリカ人は「過度の期待」に支配されている。 かれらは世界や人生、自己にあまりに多くを期待しすぎて、自分…

伝送

送り込むこと。 木の集まりと 葉でふたをされた、沼地を 抜けて 鳩の、黄金の波が 運動していくこと。 青と銀との 混ざり合った、無言の 翼が、 太陽のつぶれるまで 働いた。 かれらは伝わった。

「ジャージー・ボーイズ」

制作:2014年 監督:クリント・イーストウッド 実在のバンドであるフォー・シーズンズを題材にした映画。元はミュージカルだという。 随所に挿入される歌が場面や展開に合っており感動する。 貧しいイタリア系の若者たちが立身出世していくが、やがてト…

発言歌2

波と雲と対流圏とのお互いの抗体夏のモールス信号 太陽素の足りない牧神いまはもう歯茎まで砂に埋もれて眠る

『三島瑞穂の自衛隊へのアドバイス』

元米陸軍の日系アメリカ人が書いた本。この人物の著作は、ほかに自身の体験を元にした『地上最強のアメリカ陸軍特殊部隊』を読んだことがある。 グリーンベレーとしてベトナム戦争に従軍しており、価値観や経験は、当然、日本人とは異質である。 海外に派遣…

『飛行船の歴史と技術』牧野光雄

日本語では数少ない飛行船関連書籍だという。 1 序論 現在航空機のほとんどは翼の揚力を利用する。一方、空気より軽い気体を使う気球や飛行船は軽航空機Lighter Than Air aircraft略してLTAと分類される。 飛行船は軍事利用できず衰退したが、その欠点は…

『ヤクザと原発』鈴木智彦

暴力団ライターが原発作業員として現場に潜入する手記。 ヤクザと原発事業との関係を体系的に説明するのではなく、潜入手記・メモの形をとっている。 原発事業は東電を頂点としてプラントメーカー(東芝、日立等)、その下に下請けピラミッドが構成されてい…

発言歌

灰色の肥満の犬を手で招く諱(いみな)をよけるつま先愉快 海面が4つの旗に覆われてわたしはマイモニデスにしたがう 象は縮む皮フは広がる断裂の奥にはラパッロの庭があった

「最強のふたり」

制作:2011年 監督:エリック・トレダノ、オリヴィエ・ナカシュ 障害者の大富豪と、スラム出身の若者(移民2世)が介護をきっかけに意気投合する映画。 人種や育ち、嗜好等全て違うが、それでもお互いに友人になれることを示す。 若者のジョークがおも…