本メモ
日本は敗戦までの30年間、ミクロネシアを国連委任統治領として支配していた。 歴史から忘れられがちな太平洋諸島と日本の関わりをたどる。 ja.wikipedia.org ◆所感 ・サイパンなどの南洋諸島には10万人超の日本人移民がおり戦闘で半数以上が死んだ(戦死や集…
グーグル検索等のビッグデータを元に人間の行動を検討する。 所感 本書を書いたのは哲学・経済学を研究してきた人物である。 グーグル検索やビッグデータは、それまで偏見や固定概念、主観によってしか説明されてこなかった分野を、真に科学的な手法で分析す…
歴史上の愚行について考える本。 ◆所感 愚行とは、当時から多くの批判や警告を受けていながら、政府や統治者が誤った固定観念や保身のためから愚かな政策を断行することをいう。 本書で題材になっているヴェトナム戦争と同じく、失敗とされる戦争の多くは、…
◆『The Forgotten Soldier』について 著者はドイツに占領されたアルザス地方のフランス人で、未成年で国防軍に徴兵され、はじめは兵站部隊に、その後志願して戦闘職種である「大ドイツ師団」に配属されソ連との戦いに参加する。 ja.wikipedia.org フランス語…
◆所感 アメリカ合衆国におけるインディアンの歴史をたどる本。 数百年の歴史を通じて、徐々自治や自立の権利が認められてきたものの、インディアン(先住民、ネイティブアメリカン)は、平均的にまだ非常に貧しい状態に置かれている。 先住民については、カ…
1870年代の日本や韓国などアジアを旅したイギリス人イザベラ・バードの旅行記。 ja.wikipedia.org 特に、東北の奥地やアイヌの生活が描かれている点が貴重である。 ◆所感 西欧文明に適合しようと、様々な技術や風習を導入しようとする当時の日本の様子が細か…
◆所見 冤罪の生まれる原因は司法制度そのものに由来する。それでも、戦前から戦後にかけて、拷問の軟化や再審制度の運用など、中世的な状態から改善されてきてはいる。 その担い手は、人権や民主主義といった「きれいごと」を実現しようとする弁護士や有志だ…
……米軍での考え方はその反対だった。将校が模範を示さないと兵隊は動かないし、将校は兵隊より立派なるがゆえに、将校なんだという考え方が普通だった。 ◆所感 ドナルド・キーン等の日本研究者(後に日本国籍取得)とも同僚だった元情報将校が書いた本。 祖…
冒頭のLeszek Kolakowskiの言葉……「政治において、騙されたという言い訳は通用しない」。 ロシア語、ウクライナ語の文献からヒトラーやスターリン、独ソ戦を研究する歴史学者による本。『Blood Land』、『Black Earth』などで有名である(その内、本メモをア…
大阪府警堺署による冤罪でっちあげ事件を追った読売新聞の記事を書籍化したものである。 ja.wikipedia.org ◆所感 本書から読み取れる警察及び報道機関の問題点は以下のとおりである。 ・監察の機能不全 警察内部の不正を取り締まる部署の長が、署長よりも弱…
◆メモ en.wikipedia.org 著者Ossendowski(オッセンドウスキ、オッセンドフスキー)はポーランド出身の自然科学者であり、ロシア革命期に白軍に加わり、中央アジアからモンゴルにかけて遠征した。 本書は革命軍の逮捕を逃れた著者の旅行記である。ロシアの辺…
◆メモ ナポレオンはフランス、ヨーロッパ史に大きな影響を残しており、政治的にも、正確な評価を行うのに苦労する対象のようである。 本書はナポレオンが作り上げた制度や社会システムに関して、刊行当時最新の研究成果をまとめたものである。 ナポレオン研…
◆所感 公正に判決を下すことを期待されている裁判官の実情について。 裁判所は各裁判官を厳しく統制しており、また裁判官は業務に追われ狭い職場の中で生きている。統制によりかれらは小役人となり、検察の言うことをそのまま流して事件を手早く処理すること…
◆所見 天皇家・宮家への国家予算の使われ方を細かく解説した本である。 用途のなかには非効率的なもの、疑問の湧くものも多くあり、今後、時代に適応するよう変えていく必要を実感させる。法律上、天皇家を運営しているのは国民なので、そうした議論は当然行…
◆所感 ・アラブ語圏滞在歴の長いジャーナリストが、シリア内戦についての証言を集め組み合わせた本。 シリアのハーフェズ・アル・アサド政権時代からデモ、内戦、難民発生にいたる様子を、当事者の言葉によって描く。 ・シリア人たちの生活や境遇に関して証…
◆ヤセノヴァツとは 著者のBergerはクロアチアのユダヤ人で、ヤセノヴァツ収容所の数少ない生き残りである。 ja.wikipedia.org 第2次世界大戦中、ドイツはクロアチアに傀儡国家「クロアチア独立国」を作った。クロアチア独立国を運営したのは、ナチスと友好関…
◆所感 歌舞伎とはなにかについて解説する本。 歌舞伎の成り立ちや、時代ごとに生まれたテーマや題材、著名な作家の代表作や役者について知ることができる。 ただし、各作品の細かいあらすじは、なかなか追うのが大変である。 明治以降も、ヨーロッパ演劇の要…
江戸時代の犯罪と刑罰について包括的に書かれた本。著者は江戸期の犯罪や、人斬り、敵討ちといったテーマを専門に研究している。 ◆所感 特に興味深いのは、江戸初期における武士たちの振る舞いである。かれらは試し切りや辻斬りなどで身分の低い者を虫けらの…
◆所感 特高警察とともに思想弾圧を担った思想検事について、当時の行政文書や、検事・思想犯らの回顧資料を用いて概説する。 法の拡大解釈による様々な思想の弾圧は、特高と検察が連携することにより達成された。 さらに検察は戦後の人権指令や公職追放をす…
◆所見 いじめの性質やいじめを生む構造を提示するだけでなく、そうした閉鎖集団が社会の基礎部分に蔓延する状況を、中間集団全体主義社会として提示している。 学校や職場で生じる醜い状況をほぼ正確に分析しており、解決策も説得力のあるものである。 この…
著者の2003年時点での認識は2点である。 ・アメリカの力の低下 ・ロシアの協調 9.11以後、アメリカは求心力を低下させた。イラク戦争における仏独、トルコの不服従はその証拠である。 根本的原因は、アメリカが対外政策のための経済的・財政的手段をもはや持…
著者は終戦時、連合艦隊司令部で作戦幕僚を務めていた。その後責任をとるために自殺しようと考えたが司令長官の訓示で思いとどまった。 米海軍の要請により、日本海軍の戦術について回答するために作られた史料編纂部署に配属され、日本海軍の作戦を検討する…
◆メモ 量子コンピュータの仕組みを、専門外の人間にもわかるように解説した本。原理から、その応用、発展が期待できる分野までを紹介する。 ハードウェアの実現には、本書の時点ではまだ時間がかかるとされている。しかし2010年代には、NSAやIBM、中国などが…
◆メモ 陸軍は1870年代から中国情報の収集を続けてきたが最終的に判断を誤った。また現地の将校たちは軍閥に操られ、国民党や中国人民に対して一方的な思い入れを抱くことが多く、最終的に自分たちが帝国主義的対象として排除されることを正しく認識でき…
◆所見 社会心理学の観点から、日本文化を分析する本。 わたしたちは行為の原因をただ「心」に見出すことで、その背後にある因果関係を見落としがちである。一見、行為が心や人格から生じているようにみえて、そこには社会的な環境や他人の行動が深く影響を及…
◆チェコのソヴィエト学校に通っていた著者が、東欧の様子や、社会主義諸国の子弟たちの人物について思い出をまとめた本。 概要 父親の仕事の関係で著者はプラハに住んでいた。 著者の通っていたソヴィエト学校の同級生についての回想が語られる。ソヴィエト…
幕末を生きていた老人たちからの聞き書きを集めたもの。 明治35年から38年にかけて報知新聞に連載された。 幕末における社会の混乱、犯罪、庶民の生活が描かれている。 *** ・芝居 歌舞伎役者に関する話題・スキャンダルは、江戸時代でなポピュラーだっ…
3 犯罪はどんなときに成立するのか 犯罪の成立要件は基本的には行為、結果、因果関係、意志だが、未遂や不注意など犯罪によって必要な要件は変わる。 ・行為客体(やられる対象)と保護法益(侵害された利益)は必ずしも同一ではない。公務執行妨害は、客体…
◆メモ 刑法と刑罰の仕組、その基盤となっている考え方・刑法学についてまとめられている。 ただし、日本の司法運用にまつわる問題は特に取り上げていない。このため、本書だけを見ると非常に理路整然としたきれいなシステムであるかのような印象を受ける。 …
3 外征軍としての徴兵軍隊 日本軍は国民軍の皮をかぶった外征軍隊だった。 日露戦争の動員数100万人のうち8割以上が召集兵だった。 日露戦争により、安上がりな徴兵を前提とした兵力消耗戦が出現した。なお、日清戦争では死者1万5千人のうち1万2千人がコレ…