うちゅうてきなとりで

the cosmological fort 無職戦闘員による本メモ、創作、外国語の勉強その他

本メモ

『地獄の日本兵』飯田進

著者はニューギニア島に派遣され、終戦後、オランダ軍によってBC級戦犯として訴追され懲役20年の刑を受けた。 本書は、日本兵の最大の死因である餓死を軸として、若者たちが被った悲惨な従軍の様子を伝えるものである。 国家と軍隊に裏切られた若者の怒…

『Diplomacy』Henry Kissinger その5

~ベトナム戦争から現在へ~ ◆ベトナム戦争の失敗 米国は国益よりも主義・イデオロギーを選んだ。そのため、支援が失敗した場合、自らが乗りこんでベトナム共産化を阻止しなければならなくなった。 ゲリラ戦は、完全に勝利するか、敗北するかのどちらかしか…

『Diplomacy』Henry Kissinger その4

~東西冷戦~ ◆朝鮮戦争に関する米ソの誤算 ・米国は、ソ連との全面戦争あるいは東欧侵略以外を想定していなかった。 ・ソ連は米国の理想主義、「価値」の役割を軽視していた。 北朝鮮が韓国に侵攻すると、米国はすぐに動員をおこなった。あわせて、フランス…

『Diplomacy』Henry Kissinger その3

~戦間期から冷戦の始まりまで~ ◆ヒトラーの台頭 ヒトラーが台頭し、ドイツはヴェルサイユ条約を放棄した。戦勝国は分裂し、国際連盟は、1932年の満州事変で既に明らかになったように、無力だった。 キッシンジャーは、イタリアのエチオピア侵略を黙認…

『Diplomacy』Henry Kissinger その2

~ウィーン体制の終焉から第1次世界大戦まで~ ◆ウィーン体制の終焉 ナポレオン3世とビスマルクの時代……2人の指導者がウィーン体制を終わらせた。 ナポレオン3世はイタリアのカルボナリ(統一運動家)出身であるため、欧州各地のナショナリズム運動を支…

『Diplomacy』Henry Kissinger その1

国際政治の歴史をたどる本。 著者はニクソン、フォード政権において外交を担当した人物である。アメリカ政治に深く関与した人物であり、著者の経歴や立ち位置を理解することが必要である。 キッシンジャー: ・1923年ドイツ・バイエルン州にて、ユダヤ系…

『韓国の軍隊』尹 載善(ユン・ジェソン) その2

3 ・ROTC(Reserve Officer Training Corps) ROTC(予備役将校訓練課程)はアメリカにならって作られた制度であり、士官学校出身者の約7倍にあたる大卒将校が軍を担っている。かれらは2年の義務服務を終えると軍に残るかまたは社会に戻り活躍す…

『韓国の軍隊』尹 載善(ユン・ジェソン) その1

韓国の徴兵制、軍隊、また、歴史的な経緯を説明する本。 兵役を経験した若者の証言なども紹介されており、韓国社会と軍との関係を学ぶことができる。 *** 北朝鮮軍108万の大半は、国境の非武装地帯近辺に配置されている。その施設は地下化されている。 北…

『ペインティッド・バード』コシンスキ

東欧に疎開させられた子供が、迫害を受けながら村から村へ漂流する本。 パルチザンとドイツ軍、赤軍との戦い、湿地のある風景から、舞台はポーランドかどこかではないかと想定される。 野蛮で残酷な村人に、ジプシーまたはユダヤ人として追い立てられ、ドイ…

『詳解 独ソ戦全史』グランツ、ハウス その2

◆1942.11~1943.12 ・1942.10月、北アフリカ軍が壊滅したことで、ヒトラーは東部戦線から戦力を引き抜かねばならなかった。また、絶えず西からの侵攻を恐れており、このため赤軍が優位に立った。 ・1943年から始まった連合国による…

『詳解 独ソ戦全史』グランツ、ハウス その1

――ここに登場する内容とは、指導のひどい誤りであり、戦争の圧迫のもとでの将兵の生き方であり、大変な規模での破壊と殺戮であり、独ソ双方の一般市民の信じられないほどの忍耐の物語である。これらの物語を理解することこそ、第2次世界大戦に関するいくつ…

『別荘』ホセ・ドノソ

『夜のみだらな鳥』を書いたチリの小説家による、空想を細かく書き込んでいく物語。 *** あらすじ 1 大人たちは、30人の子供たちをマルランダと呼ばれる別荘に残してハイキングにいく。敷地の外には人食い人種が住んでおり、また塔にはアドリアノという一…

『「民族浄化」を裁く』多谷千香子 その3

ミロシェヴィッチはガス会社の社長を務めた後、共産党の政治家として出世したが、80年代のコソヴォ民族主義(コソヴォに住むセルビア人は、アルバニア人の中で少数派だった)に同調して穏健派を追い出し、指導者となった。かれは恩師を失脚させ1990年…

『「民族浄化」を裁く』多谷千香子 その2

3 虐殺はなぜ起こったか セルビア人勢力…… ・ミロシェヴィッチ(セルビア首相) ・カラジッチ(スルプスカ共和国大統領)とムラジッチ(ボスニアの軍人) ・タリッチ(ボスニアのユーゴ人民軍中将)とブルダニン(ボスニアの政治家) ――タリッチは、自発的…

『「民族浄化」を裁く』多谷千香子 その1

ユーゴスラヴィア内戦における「民族浄化」の実像を突き止める本。また、当時の国際社会の対応についても反省する。 著者は旧ユーゴスラヴィア国際刑事裁判所(ICTY)の判事を務めた。 ――「民族浄化」の実像は、よく言われるように、血で血を洗うバルカ…

『永遠平和のために』カント

カントは、永遠平和の達成のためにどのような具体的な策が必要かを考えた。 1章 国家間の永遠平和のための予備条項 1「将来の戦争の種をひそかに保留して締結された平和条約は、決して平和条約とみなされてはならない」 2「独立しているいかなる国家も、…

『昭和天皇独白録』寺崎英成

本書は、敗戦直後に宮内庁職員が天皇からの聞き取りという形式で作成したもので、当時の東京裁判対策(天皇免責対策)と関連がある。 軍に翻弄される、無力な平和主義者の天皇という図像について検討するきっかけとなる本。 昭和天皇と宮内庁の基本的な主張……

『ドクトル・ジバゴ』パステルナーク

ロシア人文学者パステルナークは、海外詩の翻訳者、詩人としても有名とのことである。本作『ドクトル・ジバゴ』はソ連において発禁となり、パステルナークはその後ノーベル文学賞を受賞したがソ連当局の反対により辞退させられた。 物語は映画版とそこまで変…

『Moscow 1941』Rodric Braithwaite その3

工場が閉鎖し、また食料配給も止まったため、労働者たちの不満が蓄積した。市から逃亡しようとする工場長や幹部たちを労働者がとらえ、車両や荷物を破壊し、市内に連れ戻した。 市内の恐慌を知らされたスターリンは外出禁止令を発し、また工場や商店を通常通…

『Moscow 1941』Rodric Braithwaite その2

正規軍に加えて、大量の義勇兵が徴発された。多くの男女学生、農民、映画関係者、文学者たちが義勇兵として戦争に参加した。 しかし、モスクワにおいてはその大多数が志願であり、だれもが前線に行きたがった。 従軍作家シモノフは、前線の様子が、かつての…

『Moscow 1941』Rodric Braithwaite その1

ロシア・ソヴィエトの首都であるモスクワと、その住民、また政治家や軍人を中心に、かれらがいかにドイツ軍の侵略に耐えたかを説明する。 当時のモスクワの様子が細かく書かれており、知らなかった情報が多数含まれていた。 この本は、中国を旅行している最…

『短篇集 死神とのインタヴュー』ノサック

ハンブルク空襲の最中に、若い軍人に助けられた女の話。語り手は、女から軍人本人または軍人の親類ではないかと勘違いされる。 ――大きな激動の時代には、われわれはみんな互いに似通ってくるのだろうか。あるいは、こういう時代には、個々人のもつ考えが壊れ…

『エネルギー問題入門』リチャード・ムラー その2

3 代替エネルギー 太陽、水力、風力、原子力等、それぞれに強力な信奉者がついておりまともな議論は容易ではない。 太陽エネルギーは急速に発展しているが、かぎとなるのは導入コストや維持費、効率である。運用に人件費がかかることから、途上国で発達する…

『エネルギー問題入門』リチャード・ムラー その1

エネルギーに関する正確な知識を得ることにより、正しいエネルギー政策を導くことが重要である。 エネルギーは軍事経済の両面において国家の安全保障の中核に位置する。 また、エネルギーに関する定説や報道は、しばしば実態とかけはなれていることが多いた…

『帰ってきたヒトラー』ティムール・ヴェルメシュ

現代ドイツによみがえったヒトラーは芸人としてテレビに登場し、やがて人気者となる。 ネオナチに襲撃されて以降は、自由の闘士として各政党からもスカウトが殺到し、ヒトラーは自分の政党を新たに立ち上がる。スローガンは「悪いことばかりじゃなかった」。…

『今日われ生きてあり』神坂次郎

特攻隊員の遺書、整備員や周辺住民の手記等をまとめた本。 著者は航空基地の通信員として働いた経験のある作家ということである。 特攻隊員の陰に隠れて、批判から逃れようとする戦争指導者や指揮官の姿勢はよくない。 *** 特攻に志願した者の大半は学徒出陣…

『ソドムの百二十日』サド

フランスの小説家サドによる幻想文学。 本書の構成は以下のとおり。 ・背景 ・登場人物 ・計画 ・訓示 ・日課次元 ・記録 計画によって集められた少年少女は、4人の変態権力者の変態行為の犠牲になる。あわせて、4人の中年女が自分の経験した変態行為を話…

『続・突破者』宮崎学

『突破者』を出版した後の著者の活動について自ら回想する本。 宮崎学は、現代日本をとりまく抽象的な正義を否定する。それは清潔な市民による正義であり、社会から不潔なものを全て抹消しようとする世界観である。 平沼騏一郎が司法官僚の時代、かれは被差…

『外人部隊』フリードリヒ・グラウザー

モロッコ駐留の外人部隊に所属する兵隊たちの話。それぞれ違う国からやってきた隊員たちは、真偽の怪しい自分の経歴について話す。逃げ出した者、高貴な生まれだが没落したもの、社会から外れたものが多数存在する。 部隊では尼僧院での売春が蔓延しており、…

『堕落論・日本文化私観』坂口安吾

評論・エッセイ類を集めた本。 だいぶ昔に一通り読んだが、改めていくつかを読み直した。 ◆小説・文学について 現実の代用としての言葉を否定し、絶対的な言葉こそが芸術となる。言葉は現実の模写や代用品ではない。 ――言葉には言葉の、音には音の、色にはま…