うちゅうてきなとりで

the cosmological fort 無職戦闘員による本メモ、創作、外国語の勉強その他

本メモ

『日本海軍の終戦工作』纐纈厚 その2

4 東条内閣打倒工作 東条首班指名の理由は以下のとおり。 ・木戸幸一が、開戦首相を非皇族にすることで、皇族に責任が及ぶことを回避しようとした。 ・東条が軍の強硬派を抑えることを期待した。 ・天皇が東条を信頼していた。 ――……近衛は開戦後において一…

『日本海軍の終戦工作』纐纈厚 その1

海軍の政治的役割を再検討し、特に海軍への過大評価、善玉評価を見直す。 ◆感想 本書の要点は、日米開戦後から終結までの、責任回避の応酬である。 「海軍善玉論」、「天皇に実権はなかった」、「海軍は初めから戦争に反対していた」といった説は、こうした…

『アフリカ大陸探検史』アンヌ・ユゴン

◆メモ 主に19世紀のアフリカ探検をたどる。 探検家たちの多くは偏見や白人至上主義の持ち主だったが、リヴィングストンやメアリ・キングズリー等、当時の基準からすれば公平な視点を持つ者もいた。 アフリカ探検は文明化の象徴として本国でもてはやされ、…

『詳解武装SS興亡史』ジョージ・スティン その2

4 西部戦線が終結し、ヒトラーは密かにソ連侵攻を計画していた。 1940年から41年にかけて、再び新兵募集をめぐって陸軍と武装SSが対立した。 SS募集担当のベルガ―、SS参謀総長ユットナーらは、陸軍の眼を欺いて新兵募集を行った。併せて、占領…

『詳解武装SS興亡史』ジョージ・スティン その1

目的 ――本書は、これらSSの組織の1つであるナチ・エリート護衛部隊の軍事部門で、ヒムラーの戦時帝国の最大の構成組織であった武装SS(Waffen SS)の実像の解明を目指すものである。中でも特に、武装SSの発展の過程、すなわち、組織の目的、…

『特高警察』荻野富士夫 その2

4 総力戦体制が整備されていくにつれて、特高の業務も強化された。国体の擁護と、聖戦への一致団結がかれらの目的となった。 国家主義者については、これまで重視されてこなかった。しかし血盟団事件や五・一五事件をきっかけに、右翼担当が増員された。国…

『特高警察』荻野富士夫 その1

特高警察の概要について説明する本。特高警察の制度、運用については、現在の公安警察にも残されているという。 回想録に書かれている憲兵と同様、かれらも逃げ足が非常に早く、敗戦間近になると幹部たちの職場放棄が散見され、また書類の焼却がさかんに行わ…

『治安維持法』中澤俊輔 その2

5 1930年代には、治安維持法の適用が拡大した。 33年……司法官複数名が検挙された。また築地警察署において、小林多喜二が特高課の拷問により死亡した。 「赤化華族事件」では、華族が複数起訴された。 30年代には、共産党に並んで、国家主義運動も…

『治安維持法』中澤俊輔 その1

治安維持法は、当初、結社の禁止を目的として、政党によって制定された。本書は特にこの経緯に着目し、治安維持法と政党政治との関係を検討する。 1 治安維持法の主管官庁は内務省(警察)と司法省(検察)だった。2官庁と、政友会と憲政会が、それぞれ対…

『ヒトラー暗殺計画』グイド・クノップ その2

マンシュタイン、ボック、ブッシュら高級将校たちには、謀反などという選択肢は存在しなかった。また、クルーゲはレジスタンスに共感はしたものの、積極的には動かなかった。 ・首謀者と実行者たち……シュラーブレンドルフ、ゲルスドルフ、オルブリヒト、ベー…

『ヒトラー暗殺計画』グイド・クノップ その1

ヒトラー暗殺は複数回試みられたが、すべて失敗した。 本書は、ゲオルク・エルザー、国防軍による暗殺計画をたどる。 国防軍のレジスタンスを率いた中心人物はヘニング・フォン・トレスコウ、また1944年はシュタウフェンベルクである。1938年にはハ…

『「慰安婦」問題とは何だったのか』大沼保昭

メディア、NGOが果たすべき公共的機能という観点から、慰安婦問題を検討する本。 ◆感想 本書が示す各主体の教訓は以下のとおり。 ・政府……消極姿勢、「どう受け止められるか」という広報の軽視 ・NGO……実現不可能な正義の追求、被害者を無視した理想論…

『神の歴史』カレン・アームストロング その4

8 15、16世紀は西洋が東方文明を追い越し、進出を始めた時代である。この過程でキリスト教も激変し、カトリックとプロテスタントに分裂した。 オスマン帝国がコンスタンティノープルを占領し、東ローマ帝国が滅亡したことにより、ギリシア正教はロシア…

『神の歴史』カレン・アームストロング その3

5 イスラームの勃興について。 アラブにはユダヤ・キリスト教が根付かず、部族の団結が主だった。部族は生き残りをかけて互いに抗争し、復讐の掟により安全を保障した。個人は部族に従属し、また男は責任をもって部族の弱者を保護した。 しかし、クライシュ…

『神の歴史』カレン・アームストロング その2

3 ユダヤ教から、キリスト教が派生していく過程について。 ユダヤ教と同じように、キリスト教初期には様々な思想が林立していた。キリスト教は同時代の哲学から多くの要素を吸収した。 ・イエスの存命中、またパウロの時代までは、イエスを神と同一とする考…

『神の歴史』カレン・アームストロング その1

本書は、ユダヤ教・キリスト教・イスラーム教を対象に、人間の神についての認識がどのように変遷してきたかをたどる。 非常に分厚い本だが読んでよかったと考える。 神、自分たちより超越的な存在という観念は、人間の歴史とともに常に存在してきた。しかし…

『太陽系はここまでわかった』コーフィールド

太陽系の各惑星を解説する本。天文学者や惑星探査機の働きに焦点をあてている。 地球の外に生命が存在するのかという疑問は、長年の間、天文学者や技術者たちの関心を集めてきた。 ◆メモ 探査機の無線通信システムについて、また、エウロパやタイタンといっ…

『KGB帝国』エレーヌ・ブラン その2

第2次チェチェン紛争は政府側によって意図的に引き起こされたのではないかと考えるジャーナリストがいる。 ――テロ対策はすべての人を結束させる最高の口実だ。 ――彼(プーチン)はアンドロポフとブレジネフ双方の血を引いた雑種的人物だ。 ――プーチンにとっ…

『KGB帝国』エレーヌ・ブラン その1

本書の目的:1982年から2004年にかけての、ペレストロイカ、ソ連崩壊、プーチン政権誕生までを説明し、情報機関KGB=FSBが国家権力を掌握していった過程を明らかにする。 ◆所見 フランスから見たプーチン・ロシアのイメージの1つ。 KGBが…

『五・一五事件』保阪正康

五・一五事件は1932年に発生した。 五・一五事件をきっかけに台頭した、国民のなかのファシズムと、事件の関与者である愛郷塾の創設者橘孝三郎とを検証する。 厳密には歴史の本ではなく、著者が調査結果をもとに再構成した劇である点に注意する。 *** 橘…

『法華経を読む』鎌田茂雄

法華経の各巻を解説する。聞いたことのある熟語や、たとえ話(増上慢)等も紹介されており、参考になる。 *** 法華経の成立・構成 1世紀にインドで成立後、5世紀、天台大師智顗が「法華経」に基づいて天台宗を成立させた。その後、伝教大師最澄によって日…

『細川日記』細川護貞 その2

近衛文麿が東久邇宮に言ったという言葉。 ――自分としてはこのまま東条にやらせる方がよいと思うと申し上げた。それはもし替えて戦争がうまく行く様ならば当然替えるがよいが、もし万一替えても悪いということならば、せっかく東条がヒットラーと共に世界の憎…

『細川日記』細川護貞 その1

近衛文麿の東条内閣倒閣運動に携わった役人の日記。 第2次近衛内閣の首相秘書官、その後、天皇の弟高松宮の御用掛を務めた。 息子には陶芸家の細川護熙がいる。 高松宮殿下の令旨を受けた細川は、東条内閣下の様子や世界の情勢について情報収集するため、軍…

『暗殺国家ロシア』福田ますみ

報道統制の進むロシアで調査報道を続ける「ノーバヤ・ガゼータ」を追う本。 この新聞は元々、ソ連機関紙の1つだった「コムソモーリスカヤ・プラウダ」の記者たちが独立して設立したものだった。 業績不振や権力からの圧力で危機に見舞われたが、現在もゴル…

『チャーチル』河合秀和 その2

5 海相チャーチルは4人の海事卿(現役提督)とともに、海軍の組織改革に取り組んだ。参謀本部と海軍大学の設立、航空部隊の整備はこのときの成果である。 かれは、今度は社会改革費を削り海軍増強費にあてろと主張した。 仮想敵であるドイツ海軍は海外に植…

『チャーチル』河合秀和 その1

チャーチルは、最後の反革命・帝国主義の政治家だった。かれは第2次世界大戦においてイギリスを勝利に導いたが、一方、かれが理想とした帝国は勝利の過程で解体していった。 ◆メモ ・チャーチルは社会改革にも関心を持っており、貧困者の救済や失業対策等、…

『アメリカ黒人の歴史』本田創造

合衆国に現在約4000万人いるアフリカ系アメリカ人の歴史について。 「黒人」は、人種・血統的であるとともに、政治的なカテゴリーでもある。血統に1人でも黒人が混じっている場合、その人物は白人ではなく黒人として扱われる。 ◆メモ アメリカ人たちの…

『隷属への道』ハイエク その2

*** 経済活動を計画化することは、必然的に人間の全生活の規制と抑圧につながる。 ――……人びとは往々にして、政治的独裁を毛嫌いしつつも経済分野における独裁者を求めるのである。 ハイエクは、市場原理と競争が全てを解決すると考えているわけではない。 独…

『隷属への道』ハイエク その1

第2次大戦末期に書かれた、全体主義への道に警告をおこなう本。 ドイツを例にあげ、善意と情熱が社会主義をつくり、必然的に全体主義にいたることを示す。アメリカ、イギリスも、敵であるドイツと同じく社会主義的、全体主義的な傾向を帯びつつあることを指…

『The killing of Osama Bin Laden』Seymour Hersh その2

軍と軍 オバマはシリア情勢について現実を無視した方策をとり続けている。彼の方針は以下の4つである。 ・アサドは退陣させなければならない。 ・ロシアとの共闘はありえない。 ・トルコはテロとの戦いにおける同盟国である。 ・シリアには米国の支援に値す…