うちゅうてきなとりで

the cosmological fort 無職戦闘員による本メモ、創作、外国語の勉強その他

本メモ

『公安警察スパイ養成所』島袋修

昭和49年から59年にかけての、かなり古い時代の公安警察に関する暴露本。 石垣島出身の沖縄県人であるということで、米軍、日本政府と県民の間に軋轢が存在する点が特殊である。 ◆メモ 現在でもなお共産党対策に莫大な予算と人員が使われているのは、果…

『The Ghost of Freedom』Charles King その5

◆ソ連時代から現代、おわり 第2次世界大戦では、グルジア人のソ連邦英雄も現れた。 一方、北コーカサス部族(チェチェン、イングーシ、カラチャイ、メスへティア・トルコ、クルド)は、ドイツに協力したとして、カザフスタンやシベリアに強制移住させられた…

『The Ghost of Freedom』Charles King その4

◆近代化からロシア革命を経て、ソ連の時代へ 19世紀後半から始まったグルジア人のナショナリズムは、地方エリート、ブルジョワ・リベラルに分かれ、いずれも西洋からの影響が強かった。 20世紀初頭、より過激な若者たちがマルクス主義から影響を受け、第…

『The Ghost of Freedom』Charles King その3

イマーム(Imam)と総督(Viceroy) アヴァール人の王族、ガジ・ムハンマドの子孫であるシャミール(Shamil)は、ダゲスタン・チェチェンにおいて、ロシアに対し長期の抵抗戦を行った。 シャミールはイマームを名乗り、スーフィー教団を基盤として、蜂起した…

『The Ghost of Freedom』Charles King その2

防衛線(the Line)での生活 ・19世紀初頭までのロシアの辺境統治政策は、コサックを住まわせ砦を拠点として防衛させるというものだった(防衛線政策)。 ・実際には、コサックたちは辺境の民、山岳部族(the Mountaineers, the Highlanders)と交流してい…

『The Ghost of Freedom』Charles King その1

◆紹介 政治権力、民族、宗教、言語が複雑に入り乱れるコーカサス地方について、歴史をたどりながら概説する。 歴史上のエピソードや、各民族ごとの違いなどが書かれており、コーカサス世界の多様性を知ることができる。 以前ジョージア共和国を旅行したとき…

『ユーゴスラヴィア現代史』柴宜弘 その2

4 戦後国家の様々な実験 チトーの社会主義は自主管理・非同盟・連邦制を特徴とする。 チトーの政策が最終的にユーゴ解体に至った原因について。 ・連邦制の下、民族の平等が唱えられたが、あくまで理念であり紛争の種は残った。 ・土地改革……対独協力者から…

『ユーゴスラヴィア現代史』柴宜弘 その1

ユーゴスラヴィアとは「南スラヴ」の意味である。 ユーゴの歴史は、第1のユーゴ(1918年の成立からナチスドイツによる占領まで)と、第2のユーゴ(1945年の成立から92年の解体まで)とに分かれる。 ユーゴは、東西キリスト教圏の境目であり、ま…

『古代国家の成立』直木孝次郎 その2

7 クーデター前夜 馬子、聖徳太子が死亡後、推古天皇が死ぬと、後継者をめぐって抗争が起こった。馬子の息子蘇我蝦夷は田村皇子を立てて、皇子は舒明天皇となった。 8 改新断行 蝦夷の子である入鹿は傲慢な人間であり、山背大兄王を自害に追い込んで古人皇…

『古代国家の成立』直木孝次郎 その1

中公「日本の歴史」シリーズの1つ。 大和朝廷の成立をたどる。 聖徳太子の実像は現在新たに研究が進んでいる分野なので、他の文献も読む必要がある。 1 新王朝の出発 飛鳥は大和朝廷の始まりの地である。 大和は朝鮮半島と元々関係が深く、4世紀末には百…

『地獄の日本兵』飯田進

著者はニューギニア島に派遣され、終戦後、オランダ軍によってBC級戦犯として訴追され懲役20年の刑を受けた。 本書は、日本兵の最大の死因である餓死を軸として、若者たちが被った悲惨な従軍の様子を伝えるものである。 国家と軍隊に裏切られた若者の怒…

『Diplomacy』Henry Kissinger その5

~ベトナム戦争から現在へ~ ◆ベトナム戦争の失敗 米国は国益よりも主義・イデオロギーを選んだ。そのため、支援が失敗した場合、自らが乗りこんでベトナム共産化を阻止しなければならなくなった。 ゲリラ戦は、完全に勝利するか、敗北するかのどちらかしか…

『Diplomacy』Henry Kissinger その4

~東西冷戦~ ◆朝鮮戦争に関する米ソの誤算 ・米国は、ソ連との全面戦争あるいは東欧侵略以外を想定していなかった。 ・ソ連は米国の理想主義、「価値」の役割を軽視していた。 北朝鮮が韓国に侵攻すると、米国はすぐに動員をおこなった。あわせて、フランス…

『Diplomacy』Henry Kissinger その3

~戦間期から冷戦の始まりまで~ ◆ヒトラーの台頭 ヒトラーが台頭し、ドイツはヴェルサイユ条約を放棄した。戦勝国は分裂し、国際連盟は、1932年の満州事変で既に明らかになったように、無力だった。 キッシンジャーは、イタリアのエチオピア侵略を黙認…

『Diplomacy』Henry Kissinger その2

~ウィーン体制の終焉から第1次世界大戦まで~ ◆ウィーン体制の終焉 ナポレオン3世とビスマルクの時代……2人の指導者がウィーン体制を終わらせた。 ナポレオン3世はイタリアのカルボナリ(統一運動家)出身であるため、欧州各地のナショナリズム運動を支…

『Diplomacy』Henry Kissinger その1

国際政治の歴史をたどる本。 著者はニクソン、フォード政権において外交を担当した人物である。アメリカ政治に深く関与した人物であり、著者の経歴や立ち位置を理解することが必要である。 キッシンジャー: ・1923年ドイツ・バイエルン州にて、ユダヤ系…

『韓国の軍隊』尹 載善(ユン・ジェソン) その2

3 ・ROTC(Reserve Officer Training Corps) ROTC(予備役将校訓練課程)はアメリカにならって作られた制度であり、士官学校出身者の約7倍にあたる大卒将校が軍を担っている。かれらは2年の義務服務を終えると軍に残るかまたは社会に戻り活躍す…

『韓国の軍隊』尹 載善(ユン・ジェソン) その1

韓国の徴兵制、軍隊、また、歴史的な経緯を説明する本。 兵役を経験した若者の証言なども紹介されており、韓国社会と軍との関係を学ぶことができる。 *** 北朝鮮軍108万の大半は、国境の非武装地帯近辺に配置されている。その施設は地下化されている。 北…

『ペインティッド・バード』コシンスキ

東欧に疎開させられた子供が、迫害を受けながら村から村へ漂流する本。 パルチザンとドイツ軍、赤軍との戦い、湿地のある風景から、舞台はポーランドかどこかではないかと想定される。 野蛮で残酷な村人に、ジプシーまたはユダヤ人として追い立てられ、ドイ…

『詳解 独ソ戦全史』グランツ、ハウス その2

◆1942.11~1943.12 ・1942.10月、北アフリカ軍が壊滅したことで、ヒトラーは東部戦線から戦力を引き抜かねばならなかった。また、絶えず西からの侵攻を恐れており、このため赤軍が優位に立った。 ・1943年から始まった連合国による…

『詳解 独ソ戦全史』グランツ、ハウス その1

――ここに登場する内容とは、指導のひどい誤りであり、戦争の圧迫のもとでの将兵の生き方であり、大変な規模での破壊と殺戮であり、独ソ双方の一般市民の信じられないほどの忍耐の物語である。これらの物語を理解することこそ、第2次世界大戦に関するいくつ…

『別荘』ホセ・ドノソ

『夜のみだらな鳥』を書いたチリの小説家による、空想を細かく書き込んでいく物語。 *** あらすじ 1 大人たちは、30人の子供たちをマルランダと呼ばれる別荘に残してハイキングにいく。敷地の外には人食い人種が住んでおり、また塔にはアドリアノという一…

『「民族浄化」を裁く』多谷千香子 その3

ミロシェヴィッチはガス会社の社長を務めた後、共産党の政治家として出世したが、80年代のコソヴォ民族主義(コソヴォに住むセルビア人は、アルバニア人の中で少数派だった)に同調して穏健派を追い出し、指導者となった。かれは恩師を失脚させ1990年…

『「民族浄化」を裁く』多谷千香子 その2

3 虐殺はなぜ起こったか セルビア人勢力…… ・ミロシェヴィッチ(セルビア首相) ・カラジッチ(スルプスカ共和国大統領)とムラジッチ(ボスニアの軍人) ・タリッチ(ボスニアのユーゴ人民軍中将)とブルダニン(ボスニアの政治家) ――タリッチは、自発的…

『「民族浄化」を裁く』多谷千香子 その1

ユーゴスラヴィア内戦における「民族浄化」の実像を突き止める本。また、当時の国際社会の対応についても反省する。 著者は旧ユーゴスラヴィア国際刑事裁判所(ICTY)の判事を務めた。 ――「民族浄化」の実像は、よく言われるように、血で血を洗うバルカ…

『永遠平和のために』カント

カントは、永遠平和の達成のためにどのような具体的な策が必要かを考えた。 1章 国家間の永遠平和のための予備条項 1「将来の戦争の種をひそかに保留して締結された平和条約は、決して平和条約とみなされてはならない」 2「独立しているいかなる国家も、…

『昭和天皇独白録』寺崎英成

本書は、敗戦直後に宮内庁職員が天皇からの聞き取りという形式で作成したもので、当時の東京裁判対策(天皇免責対策)と関連がある。 軍に翻弄される、無力な平和主義者の天皇という図像について検討するきっかけとなる本。 昭和天皇と宮内庁の基本的な主張……

『ドクトル・ジバゴ』パステルナーク

ロシア人文学者パステルナークは、海外詩の翻訳者、詩人としても有名とのことである。本作『ドクトル・ジバゴ』はソ連において発禁となり、パステルナークはその後ノーベル文学賞を受賞したがソ連当局の反対により辞退させられた。 物語は映画版とそこまで変…

『Moscow 1941』Rodric Braithwaite その3

工場が閉鎖し、また食料配給も止まったため、労働者たちの不満が蓄積した。市から逃亡しようとする工場長や幹部たちを労働者がとらえ、車両や荷物を破壊し、市内に連れ戻した。 市内の恐慌を知らされたスターリンは外出禁止令を発し、また工場や商店を通常通…

『Moscow 1941』Rodric Braithwaite その2

正規軍に加えて、大量の義勇兵が徴発された。多くの男女学生、農民、映画関係者、文学者たちが義勇兵として戦争に参加した。 しかし、モスクワにおいてはその大多数が志願であり、だれもが前線に行きたがった。 従軍作家シモノフは、前線の様子が、かつての…