うちゅうてきなとりで

the cosmological fort 無職戦闘員による本メモ、創作、外国語の勉強その他

本メモ

『Yugoslavia: Death of a Nation』Laura Silber その2

・1991年3月 セルビアの野党ヴク・ドラシュコヴィッチVuk Draskovicは、ミロシェヴィッチの独裁に反対し、ベオグラードにおいて大規模なデモを扇動した。 ミロシェヴィッチとヨヴィッチは、警察にデモを阻止させた。このとき17歳の学生が殺害された。…

『Yugoslavia: Death of a Nation』Laura Silber その1

◆所感 ユーゴスラヴィア内戦を、連邦解体からボスニア紛争終結までたどる。紛争の概要や経緯をよく理解することができた。 内戦の非常に大雑把な経緯は以下のとおりである。 ・ユーゴスラヴィア連邦のうち、最大国であるセルビアがミロシェヴィッチの指導の…

『Cybersecurity and Cyberwar』P.W.Singer, Allan Friedman その2

◆サイバー戦争の実際 ・ネットワーク中心の戦争Network Centric War……戦争におけるネットワークとコンピュータの比重の増大 ・サイバー攻撃によって、物理的な破壊と死をもたらすのは簡単ではない。しかし、いずれそういう事態は起こるだろう。 ◆米軍とサイ…

『Cybersecurity and Cyberwar』P.W.Singer, Allan Friedman その1

サイバーセキュリティとサイバー戦争について、初心者や専門外の人間にも理解できるよう書かれた本。 著者は軍事関係の話題を扱う解説書で有名である(『戦争請負会社』や、無人機、少年兵等)。 *** サイバーセキュリティの重要性は高まりつつあるが、専門…

『世界の名著 モンテスキュー』その3

11 国家構造との関係において政治的自由を構成する法 国家における政治的自由とは、法の許すすべてをなしえる権利である。 専制には自由は存在せず、穏和政体にのみ存在する。 国家には立法権、万民法執行権、私法執行権の三権が存在する。これを言い換え…

『世界の名著 モンテスキュー』その2

「法の精神」 1748年に出版され、政治における権力分立の重要性を唱え、後の政治思想に影響を与えた本。 1 法について 法とは事物の本性に由来する必然的関係である。物理的な法と同じく、正義の法や衡平の法も、人間以前に存在する。 例えば、社会の掟…

『世界の名著 モンテスキュー』 その1

◆メモと感想 政治や社会に関するモンテスキューの意見は、現代にも受け継がれている。一方、いまの基準では偏見や間違いととらえられる文言もある。 ・モンテスキューは政治体制を専制、君主制、共和制に分類する。共和制は、さらに貴族制と民主制に細分化さ…

『十七歳の硫黄島』秋草鶴次

海軍通信科員として硫黄島の戦いに参加した人物の手記。 戦闘の具体的な経過、実際の様子を詳しく記録している。 秋草氏は悲惨な戦況のなかで自らも負傷するが、絶対に生き延びるという強い意志を持っていた。このことは、回想録の各所で伺える。玉砕を選ぶ…

『非公認版聖書』フォックス その2 

・追加と削除 ――……キリスト教のテクストは、それが誕生した最初の100年間は、いわばテクストの入れ替えと書き直しの戦場のようなものだった。 ――こうした問題はたしかに、ある人たちを除けばそれほど重要ではないのかもしれない。ある人たちとはどんな人…

『非公認版聖書』フォックス その1

「旧約聖書」および「新約聖書」を歴史家の視点から検証した本。 聖書の成り立ちや、そこに含まれる事実誤認、フィクション、改変の要素について大変細かく説明する。聖書を通読したことがないと、個々のエピソードの検討を完全に把握するのは難しい。 元々…

『シベリア出兵』麻田雅文 その2

3 赤軍の攻勢、緩衝国家の樹立 イギリス:チャーチル戦争相はデニーキンに肩入れしたが、デニーキン軍がモスクワ総攻撃に失敗するとイギリス軍は撤兵を開始した。 干渉戦争の発端となったチェコ軍団は、チェコスロヴァキア成立後も英仏の駒として使われ、内…

『シベリア出兵』麻田雅文 その1

◆所見 シベリア出兵Siberian Interventionは日本の歴史を学ぶ上で非常に興味深い事項である。 出兵の顛末は、その後の日中戦争だけでなく、歴史上の様々な失敗戦争と共通する点が多い。 ・どのように撤退するかの見通しが甘いまま派兵する ・ゲリラ戦に引き…

『だから、国連はなにもできない』リンダ・ポルマン

◆所感 国連の平和維持活動の実態について報告する本。 理想とかけはなれた現実や、悲惨な事例を、実体験、報道記事を交えて紹介する。また、随所で紹介される細かい事実がおもしろい。 国連は加盟国……つまり国際社会のリソースと意思決定によって成り立って…

『プリンセス・マサコ』ベン・ヒルズ その2

6 皇太子の結婚は進まなかった。アンケートの結果、日本女性の大半は皇太子との結婚を望んでいないことがわかった。なぜなら自由を奪われ、窮屈な環境で生活させられるからである。 弟の秋篠宮は都内で遊び歩いている悪評が立っており、解決策として兄より…

『プリンセス・マサコ』ベン・ヒルズ その1

◆所感 雅子の結婚にまつわる話、宮内庁の実態について。本書は宮内庁と外務省から圧力がかかり発売禁止にされかけたとのことである。ウィキペディアによれば、大手新聞・週刊誌のほぼすべてが広告掲載を自粛したという。 外国人から見た日本の奇妙な点、理解…

『バガヴァッド・ギーターの世界』上村勝彦 その2

7 ・ヨーガは平等の境地であり、それはブラフマンとの合一であり、知性(ブッディ)の確立である。 ・ヒンドゥー教の三大目的は、ダルマ(法)アルタ(実利)カーマ(享楽)である。人生の時期に応じて追求すべきとするのが一般的な教えである。 ・ブラフマ…

『バガヴァッド・ギーターの世界』上村勝彦 その1

『バガヴァッド・ギーター』の内容に沿って、思想や当時の物の見方を説明していく。ヒンドゥー教の世界観は、日本仏教の中にも根付いている。 ◆メモ 『ギーター』の核心は、カーラ(時間)に翻弄される存在のむなしさ、義務を果たし、結果に執着せず行為する…

『America's War for the Greater Middle East』Andrew Bacevich その4

14 どうやって終わらせるのか 2004年、在イラク連合軍司令官がサンチェスからジョージ・ケイシー・JrGeorge Casey Jrに交代した。かれは治安を改善し1年程度で米軍を撤退させられると宣言した。 ケイシーの戦略にはCOIN(Counter Insurgency、…

『America's War for the Greater Middle East』Andrew Bacevich その3

9 バルカン余談 クロアチア停戦監視やボスニア紛争におけるセルビア勢力空爆作戦(Operation Deliberate Force)は、大中東戦争のなかではよく機能した軍事作戦だった。 空爆は、合衆国主導の停戦交渉の基盤となった。その後の停戦監視は、ソマリアの教訓を…

『America's War for the Greater Middle East』Andrew Bacevich その2

◆80年代から90年代にかけて、合衆国は中東の紛争に介入を繰り返した。軍は徐々に深入りし、駐留の負担も増加した。 4 銀幕6番の呼び出し レーガンはレバノンにおいて米軍の存在感を示すために海兵隊を進駐させたが失敗に終わり、朝鮮戦争以来の敗北を…

『America's War for the Greater Middle East』Andrew Bacevich その1

◆著者について 著者ベースヴィッチは元米陸軍大佐で、引退後国際関係や歴史学に関する著作を発表している。特にイラク戦争以後、一貫して合衆国の軍事政策に反対している。 息子のベースヴィッチ中尉はイラク戦争に従軍しIEDにより殺害された。 ja.wikipe…

『Let Our Fame be Great』Bullough Oliver その3

3代目イマームであるシャミールは1832年のギムリの戦いを生き延びた後、チェチェンおよびダゲスタン(岩山の多いダゲスタンと、森の深いチェチェン)のイマームとなった。かれはスパイを各地に潜ませ政敵や反逆者を摘発・処刑した。 かれの名前はユダヤ…

『Let Our Fame be Great』Bullough Oliver その2

◆メモ 本書は、コーカサス各地域に住む民族の歴史を説明する。このとき、ソ連時代からロシア帝政時代へと記述がめまぐるしく変化する。 2 山岳トルコ人The Mountain Turks、1943~4 スターリンの民族政策について。 ・スターリンは、ドイツ軍に一度占…

『Let Our Fame be Great』Bullough Oliver その1

イギリス出身、モスクワ在住歴の長い著者が、コーカサス地方や、コーカサス人ディアスポラの集落等、様々な場所を見分しながら、「まつろわぬもの」たる北コーカサスの民族の歴史をたどる。 ◆メモ 著者はコーカサス地方や、コーカサス人の移住先を訪問し、現…

『馬仲英の逃亡』スヴェン・ヘディン

探検家スヴェン・ヘディンが新疆(シンキャン)を探検した際、軍閥(Warlord)である馬仲英(マー・チュンイン)の軍と遭遇した事件について書かれた本。 1933年、ヘディンは南京中央政府から新疆自動車道路設計のための探検指導を委任された。 一行は馬…

『テイクダウン』下村努、ジョン・マーコフ

サンディエゴのスーパーコンピュータ・センターで働くコンピュータ科学者の下村(Tsutomu Shimomura)は、自宅のPCを悪名高いハッカー、ケヴィン・ミトニックに乗っ取られたことに気が付く。 下村は弟子のアンドリューや、コンピュータ業界の友人たちとと…

『韓流スターと兵役』康熙奉

在日韓国人の著者が、韓流スターのファンに向けて、兵役制度とその実際についてわかりやすく説明する。 わたしは映画で観たウォンビンやイ・ジュンギ、有名なペ・ヨンジュンくらいしか知らないが、芸能界と兵役との関わりは、日本にはない独特の要素である。…

『The Indian Mutiny』Saul David その4

15 反動 東インド会社軍マドラス軍のニール大佐(Col. James Neill)は、ベナレス(Benares)とアラハバード(Allahabad)を奪回し、悪名高い市民虐殺を行った。 インド総督カニングは、カーンプル虐殺の報を受けて、イギリス人の敵意がインド人そのものに…

『The Indian Mutiny』Saul David その3

10 「嵐は去った」 アーグラー(Agra)は北西地方政府の首都であり、ヒマラヤのふもとから中央インドのジャバルプル(Jabalpur)までを担任し、デリー、ベナレス(Benares)、アラハバード(Allahabad)、ミルザブール(Mirzapur)、カーンプル(Cawnpore…

『The Indian Mutiny』Saul David その2

4 Go to Hell, Don't bother me! 東インド会社軍の問題は、インド人傭兵だけではなかった。ヨーロッパ人将校も、様々な問題を抱えていた。 ・一般的な会社の将校は、低い階級出身で、学はなく、純粋に金銭的動機によって就職した者たちである。 イギリスの…