うちゅうてきなとりで

the cosmological fort 無職戦闘員による本メモ、創作、外国語の勉強その他

本メモ

『The Indian Mutiny』Saul David その2

4 Go to Hell, Don't bother me! 東インド会社軍の問題は、インド人傭兵だけではなかった。ヨーロッパ人将校も、様々な問題を抱えていた。 ・一般的な会社の将校は、低い階級出身で、学はなく、純粋に金銭的動機によって就職した者たちである。 イギリスの…

『The Indian Mutiny』Saul David その1

1857年、デリー(Dheli)近郊のメーラト(Meerut)から始まったインド反乱についての歴史。 東インド会社によるインド侵略の経緯から始まり、反乱の推移を細かく記述する。 反乱の鎮圧を担当した東インド会社軍の将校たちは、イギリス軍将校とも異なる、…

『オデッサ・ファイル』フォーサイス

報道記者のミラーは、偶然、SS隊員の互助組織オデッサの存在を知る。かれは、リガの収容所でドイツ系ユダヤ人を虐殺したエドゥアルド・ロシュマンを追うが、そこにはもう1つ強い動機があった。 元SS隊員たちは、イスラエルを消滅させるために、エジプト…

『シルクロード』スヴェン・ヘディン

『馬仲英の逃亡』に続くシルクロード3部作の2作目だが、時系列としては前作よりも前から始まる。 1933年秋、北京のスウェーデン・ハウスに滞在していたヘディンは、国民政府の重役と会談し、民国発展のために新疆への自動車道路開発が有意義なのではな…

『ドキュメント アメリカの金権政治』軽部謙介

アメリカ民主主義の実態について批判的に検討する。 テーマはロビイスト、政治献金、利益誘導、そうした金権政治に抵抗する市民の活動である。 自由民主主義の価値観と制度に立脚していても、権力や金に由来する、不正や金権政治を防止するのは非常に困難で…

『海上護衛戦』大井篤

◆著者の基本的立場 ――なにしろあの太平洋戦争という民族的大悲劇は、決して天災ではなく、まったくの人災だった。しかもこの人災は、戦略計画上の誤算によって引き起こされ、また長期化、深刻化されたとみるべき点が大いにあったと私は思う。 自身の体験を基…

『Obama's Wars』Bob Woodward その2

ウッドワードは、マクリスタル司令官の極秘文書コピーを入手し、新聞で報じた。 報道の前には、慣習により政府に事前通告と調整を行うが、これは報道の自由を重視する米国ならではの手続きである。 ・極秘文書を入手した民間人は、それをどう扱おうと処分さ…

『Obama's Wars』Bob Woodward その1

「オバマの戦争」であるアフガン戦争に関する、大統領とその側近、NSC、軍の意思決定をたどる本。 袋小路に陥っていくアフガンの状況と、オバマと軍との対立が明らかにされる。 ブッシュの戦争であるイラク戦争が一段落し、オバマ陣営はアフガンの状況悪…

『日本の社会保障』広井良典

社会保障を考える上で、年金、医療費といった個別に分けて論じるのではなく、そもそも国家が負担すべき国民のリスクとは何かを検討し、その後、あるべき社会保障の姿を検討する。 制度自体が複雑でわかりにくいため、この本も自分のような素人には読みにくい…

『検証アメリカ500年の物語』猿谷要 その2

3 第1次大戦終結(1918年)まで ・修正憲法により黒人の自由、市民権、選挙権が認められたが、南部各州では黒人差別の合法化がすすめられた。 ・先住民の追放、虐殺も激化し、1871年の法律により先住民は居留地Reservationへ追い込まれた。 ・18…

『CIAと戦後日本』有馬哲夫

アメリカの国立公文書館史料を基に、アメリカが日本の戦後体制にいかに影響を与えてきたかを検討する。 ◆メモ 占領から一貫してアメリカが日本政治に影響を与えてきたことを検討する本。 日本の有力者たちは、金や自己利益のためにCIAのスパイ、工作員に…

『インテリジェンスの基礎理論』小林良樹 その2

インフォメーションの分析に関して、以下のような問題が生じる。 ・インテリジェンスの政治化(政治に従属し、または政治を操作するために、収集分析が曲げられること) ・ミラー・イメージング(自分がこうだから相手もこうだろう) ・クライアンディズム(…

『インテリジェンスの基礎理論』小林良樹 その1

安全保障政策に直結するインテリジェンスについて体系的に学ぶことを目的とする本。 書名のとおり、基礎事項が網羅されている。個別の事例や、歴史的な変遷については最低限の記述である。 ◆所見 インテリジェンスのプロセス、すなわち情報収集と分析は、国…

『ふしぎな部落問題』角岡伸彦

『はじめての部落問題』の著者による続編。 部落問題の矛盾点や、メディアによる偏見や誤情報の拡散、近年の新しい事象(ネットでの情報氾濫など)にも触れている。 同時に部落解放運動の新しい形も紹介しており、現状を知る助けとなる。 *** 近年の部落問題…

『社会変動の中の福祉国家』富永健一

本書の主張…… ・福祉国家の新しい定義は、解体しつつある家族を国家が支える制度、というものである。 ・かつて福祉の中心的な担い手であった家族も地域社会も、それができなくなったため国家が引き受けなければならなくなった。 本書の焦点は、高齢化=介護…

『元禄時代』児玉幸多 その2

6 殉死の禁 家綱の代は、江戸時代には珍しい集団指導体制が敷かれた。保科正之、松平信綱らの死後は、酒井忠清が権勢を誇った。 政治的には安定していたが、火事や災害が絶えなかった。 ・家綱はあまりものをいわず、老中らの言いなりだったため「さようせ…

『元禄時代』児玉幸多 その1

中公「日本の歴史」シリーズの1つ。 江戸成立直後の、野蛮と暴力が残る時代、また江戸の発展や文化について知ることができる。 ◆メモ 綱吉の評価、柳沢吉保、荻原重秀らの評価は学者によって幅があるようだ。 度々火災に見舞われる江戸、人の命の軽さ、綱吉…

『極秘特殊部隊シール・チーム・シックス』ワーズディン

◆メモ 「ビンラディン暗殺!」と表題に書かれているが、冒頭の数ページのみであり、出版の際に急きょ付け足された感が強い。セイモア・ハーシュの報道で八百長と噂になった、疑惑の作戦を解説する。 本の大部分は著者の自叙伝である。SEALでの勤務内容や…

『トルコのもう一つの顔』小島剛一

トルコの少数民族とその言語を調査する日本人の紀行報告。 トルコ共和国は成立以来一貫して少数民族や少数言語を抑圧し、同化政策を進めてきた。 例えばクルド人は「山岳トルコ人」とされ、またクルド語はトルコ語の方言であると定められ、公の場でクルド人…

『従軍慰安婦』吉見義明

◆所見 吉見義明は『毒ガス戦と日本軍』の著者でもある。 長年問題となっていた朝日新聞の従軍慰安婦捏造記事は、本書では資料として使われていない。 政府と軍が支えた強制システムの証拠は豊富に残されており、業者の汚れ仕事に見て見ぬ振りをしつつ、慰安…

『The Looming Tower』Lawrence Wright その3

11 暗黒の王子 本書は元FBI職員のジョン・オニールを、合衆国側の主要人物(狂言回し)として設定している。 FBI本部に着任したジョン・オニールは、ラムジ・ユセフ目撃の報を受けて、パキスタンにおいてただちに「rendition(国外での逮捕連行)」…

『The Looming tower』Lawrence Wright その2

5 奇跡 ビンラディンは未熟なムジャヒディン……アラブ・アフガン達を率いて、パキスタン国境の山に秘密基地を作った。それは、「オサマ(ライオン)」の名をとって「ライオンの洞窟(the Lion's den)」と呼ばれた。 かれらはソ連軍に攻撃を加えようとしたが…

『The Looming Tower』Lawrence Wright その1

エジプトにおけるイスラーム主義運動の勃興から、2001年同時多発テロ事件までをたどる本。アメリカではベストセラーになった。 FBIがアルカイダの名に注目したのは1996年頃である。当時、アメリカに敵対する主だった勢力は、もはや存在しないと思…

『日中アヘン戦争』江口圭一 その2

(2 つづき) 1938年、対中国中央機関である興亜院が設立された。首相を総裁、外相・蔵相・陸相・海相を副総裁とし、政務部、経済部、文化部、技術部が置かれた。 新政策とは、蒙彊においてアヘンを増産し、占領地全域でのアヘン自給により財源を確保す…

『日中アヘン戦争』江口圭一 その1

日中戦争期、日本は利益獲得を目的として、蒙彊政権、満州国、朝鮮等で麻薬の生産と供給を行った。 *** 蒙古聯合自治政府は、蒙彊政権とも呼ばれ、1937年に日本によって内蒙古に作られた傀儡政府である。この政府は興亜院の政策に従ってアヘンの生産と販…

『仏教百話』増谷文雄

――およそ百篇の物語をつらねて、仏教のアウトラインを描き出そうとするのが、この本の企画である。 100話は仏陀の生涯を分割したもので、5つに区分けされる。 1 生涯の前半……出家~ 2 教説:実践的なもの 3 教説:思想的原理 4 生涯の後半から死まで…

『大江戸死体考』氏家幹人

江戸時代、人びとと屍体とが近い距離にあった。本書は、特に試し斬りの専門芸者である山田家を中心に、屍体にまつわる制度や風習を紹介する。 1 ・江戸では身投げが多く水死体がひんぱんに浮かんだ。数が多いので、汐入で発見された屍体は海に突き流せと通…

『ハッカーズ』スティーブン・レビー

コンピュータ黎明期の歴史と、「ハッカーズ」、プログラマーたちに焦点を当てた本。 コンピュータやインターネット、ゲームの歴史を網羅しているのではなく、当時活躍したハッカーたちの倫理と、その倫理が組織化、商業化によって失われていく過程を描いてい…

『日中十五年戦争史』大杉一雄

著者は旭川の陸軍で終戦を迎え、日本開発銀行で勤務した民間人の歴史家であり、学者ではない。 日中戦争当事者の回顧録や、中国側の記録、戦史叢書や記録を参考に、特に日中戦争本格化までの経緯を分析する。 *** 日中戦争を段階的に区分し、それぞれのフェ…

『プーチンと甦るロシア』シュテュルマー その2

6 軍 ・ロシア軍は予算不足と練度不足、装備の老朽化に苦しんでいる。 ・2000年の潜水艦クルスク沈没は、ロシア軍の機能不全、政府の危機管理意識の欠如を明らかにした。 ・2000年代から、ロシア軍はハイテク化、精鋭化を目指し改革を進めた。いず…