うちゅうてきなとりで

the cosmological fort 無職戦闘員による本メモ、創作、外国語の勉強その他

とりでポエム

ハテナの笛

はっきりと、輪郭をととのえる ふちどりを、紺と藍の 二重のひもで 神明にちかって 形をころすことが、いま その年だ わたしは、監視を続けたい 天の一角と、大顔の 面をかぶった大きな仏僧たちが 分列行進しながら 笛を吹いている、その あの人たちを わた…

敵の声・敵の部屋

今読んでいる本はハンナ・アーレントの『The Origins of Totalitarianism』(全体主義の起源)で、近代に生まれた反ユダヤ主義が、帝国主義の時代を経て、最終的に、20世紀の特異な現象である全体主義(ナチスドイツやスターリン体制)を生み出した経緯を…

鉄鋼だより

皮ふはどれも黒い 非常に、それは 長い間の 火の中での仕事を かたどるもの だからだ 砂の中の、白と青の 互いに絡まりあう 経典文様の 慈悲の像に囲まれて いや、正しくは 像たちの上に おおいかぶさるように 施設の熱が高まり わたしたちは、機械を 操作す…

王の集団墓地

緑と青の クローブの匂いがする 野原の 王たちの埋まる墓 くじらの腹より大きな 穴の底に 無数の胴体 ひとつひとつ、金と銀の飾り 色とりどりの衣裳 それは、はぎとられ 枯れ枝と 骨ばった、足の裏、土と灰のくっついた 黒い指

脳的な畑・水資源

◆クロアチア独立国 ワールドカップでクロアチアが脚光を浴びたのを受けて、またバルカン半島の歴史に興味が湧きました。 今読んでいるのは、デイトン合意(ボスニア内戦に関する停戦合意)をまとめたアメリカの役人の著作です。 To End a War: The Conflict …

魚虫の塔

わたしたちの ことばにとりつく 敵は、粉において 兵隊の皮ふを食べる そうして かれらのことばは、もう、うそのことばだ 炭をしきつめた 塔に、夜がやってきた やがて、号令が鳴り、 かれらは絞り出された わたしは、敵が、 エンジンの音をたてて やってく…

おとずれ、墓

山の中に 列になり、銀で塗り固められた 声がする 音は環となって かれら、名主の 耕す、べトンの畑に まかれたということ。 それはもう ほこらと、ほこらの間を ふくろうたちの航路を越えた やわらかい国。 役人は、べトンを耕す 役人の、その下の人夫はく…

低温の神

わたしは、1羽のふくろうとして、 メンフクロウの姿を手に入れて 黒い眼をうごかした。 朝の霧が 土のすきまからのぼり、 森の中に 日が差すころ、 一団の兵隊が、歩いてくるのを わたしは見た。

城壁は声をひそめる

粘土が積み上げられ、 草の 黄色と茶色の きびしい壁に わたしたちは 行く手をはばまれた。 壁にはりつき、 列の奥から、奥からは 教徒たち、山の、小柄な 戦闘員たち、また 山と森の、スカーフを 巻いた人たち そういった、雇われた外国の人びとが ライフル…

ぶどう作業

頭上から 緑の釣り下がる ぶどうの領域で 水をやる 晴れて おだやかな気温の日に ぶどうはふくらんでいく つると葉の陰から 蝶が出現した 人の頭からぶどうの 実がなるのは いつだろうかと考える

古代との連接歌

黄金の什器と踊るカフカスの木靴の音にひびくめんどり トロイアにて敵の首を斬るコマンドオは智慧のはさみでのど切り開く のこぎりの雪山越えて立哨の首切り落とし道に鈴蘭

写字生の歌

足の裏ににじむブドウと鈴蘭の小人をつまむような音の葉 大伽藍を囲む鐘楼中二階の奥でふやけた土星がのぞく

ルブアルハリ五輪

シリアに入国したジャーナリスト(と、素性の怪しい人物)がISに拉致され人質となり、斬首された。このとき、周囲の無職同志たち……本来は自国の人びとや土地を守るべき立場の人間が、人質を口汚く罵っているのを聞いて、非常に嫌な気分になった。 実現可能…

中二階の窓から

僧侶が鐘を鳴らした。 緑の草のすきまから、 虫が飛び出し、藪のなかにいる 小型の猫が声をだした かれらは、中二階の窓にひたいを 押しつけて、頭上をにらみつける。 僧侶たちの、黒い装備がはためき、 ひげと帽子にはさまれた 顔から、ぶどうのにおいが放…

群生

トンネルを抜けて 雪と土の下から モグラが顔を出した 鼻と歯で、硬くなった 地面に穴をあけた。 その後、 黒い道を、車列が 通り過ぎた。 ラッパと、放送の音が 後に続いたので、 森の生き物たちは 耳をふさいだ。 かれらの声が 電線をつたって、拡声器から…

歩兵はパレードする

兵隊によるパレードの準備には3か月以上かかるため、この間、たくさんの作業員が全国から集められ、ひたすら行進や会場運営の練習をすることになった。また、大量の燃料、食糧費、移動費を消費した。 わたしはパレードの意義が見いだせず、同じ人数を集めれ…

たとひわれ死のかげの谷を農王系 18 うばわれた敵

18 うばわれた敵 たとひわれ死のかげの谷を農王系 - 18 うばわれた敵 たとひわれ死のかげの谷を農王系 たとひわれ死のかげの谷を農王系 あらすじ…… 石英の星の下に生まれたわたし、ナーナーが農王系に拉致され、教育戦を指揮し、敵を亡ぼす物語 たとひわ…

電線

夕焼けには 赤い手が 扉をひらく音がする 雲をつくような 手がぬっとあらわれて 神父の目をふさぐ 夏の空に 切り込みをいれるのは だれだ 森から森へ 鉄による、毛糸の 巻き取りの作業 送信は続く。 地面が冷えて 羽虫たちが 兵舎に帰っていくだろう。

ねじり技師たち

技師1が扉をあけたとき、 そのとき 彗星の糸とともに 石ころの音がなった。 技師2は 「この音は、この世の終わりがなっている音」 「生きているものの国が、崩れ落ちる音」 と言った。 だれかがそれを聞いた。

眠りの日

霧のなかから にじみだす 朝の波 鳥の巣とともに 黄金の 煙が吹く 舟のへさきに 日がぶつかり その日の丸い顔が 浮かび上がった 翅の音に あわせて 調子をそろえるように 労農軍が 鋤を振り 溝をほり 夏にはかれらの 子供を植える

たとひわれ死のかげの谷を農王系 17 さまよえるコデックス

17 さまよえるコデックス たとひわれ死のかげの谷を農王系 - 17 さまよえるコデックス たとひわれ死のかげの谷を農王系 たとひわれ死のかげの谷を農王系 あらすじ…… 石英の星の下に生まれたわたし、ナーナーが農王系に拉致され、教育戦を指揮し、敵を亡…

電線

夕焼けには 赤い手が 扉をひらく音がする 雲をつくような 手がぬっとあらわれて 神父の目をふさぐ 夏の空に 切り込みをいれるのは だれだ 森から森へ 鉄による、毛糸の 巻き取りの作業 送信は続く。 地面が冷えて 油っぽい羽虫たちが 兵舎に帰っていくだろう…

収獲月

壁の中から、音がする。 羽のないイナゴの群れが われこそはブハラの麦ともみ殻を 地面がえぐれてマントルが あらわになるまで齧ろうと 編隊を組んでやってきた。 太陽の顔、雲の足 イナゴを夏のほこらに埋めて 指でかれらをしっくいの 古代の壁にめりこませ…

たとひわれ死のかげの谷を農王系 16 マンガル准将

16 マンガル准将 たとひわれ死のかげの谷を農王系 - 16 マンガル准将 たとひわれ死のかげの谷を農王系 たとひわれ死のかげの谷を農王系 あらすじ…… 石英の星の下に生まれたわたし、ナーナーが農王系に拉致され、教育戦を指揮し、敵を亡ぼす物語 たとひわ…

晩夏

わたしの顔も かれらの顔も 灰色になり 空の影が、門に続く 階段に重なる。 木が腐れば 石段は落ち葉と枝で 覆われて 祠の格子の奥から 6倍に肥大した ふくれあがった探検家の 顔面が出現する。

よみがえる水文

シャチの腹には 船底でつけられた 港の景色がある 沿海州の、冷たい氷の上に 赤い葉が落ちて 流氷の、隆起していくのに あわせて 溝は落ち葉を吸った シャチの子たる神学校の 生徒たちが 外套をかぶる 雲の山に 照準を向けながら 外国人墓地に 海の胴体は並…

たとひわれ死のかげの谷を農王系 15 途方もない網

15 途方もない網 たとひわれ死のかげの谷を農王系 - 15 途方もない網 たとひわれ死のかげの谷を農王系 たとひわれ死のかげの谷を農王系 あらすじ…… 石英の星の下に生まれたわたし、ナーナーが農王系に拉致され、教育戦を指揮し、敵を亡ぼす物語 たとひわ…

報告歌

スキュラには慈悲はあるのか青々と輝く海で拷問という カザリドリが地下水脈を降りていくじょうろで呑んだマントルの露 尋問部屋に入れば夏の墓堀はソテツの国で虫捕りをする

たとひわれ死のかげの谷を農王系 14 捕獲

14 捕獲 http://ncode.syosetu.com/n2907dt/14/ たとひわれ死のかげの谷を農王系 http://ncode.syosetu.com/n2907dt/

古い沿海地方へ

大気のうすい、晴れた日に 岩にのぼった。 遠い木製の環から 取り外され、積み上げられた 岩の継ぎ目には 力強い 茶色と緑の植物がある。 わたしは、空の対角から 白い虎が現れるのを目撃した。 動物はわたしたちの符号を知っている。 それらは、土をなめて …