うちゅうてきなとりで

the cosmological fort 無職戦闘員による本メモ、創作、外国語の勉強その他

◆歴史の本

『It Doesn't Take a Hero』Schwarzkopf その2

ノーマン・シュワルツコフは、その後、ウェストポイントでの教官、ペンタゴンでのデスクワーク(とても時間のかかる業務)についた後、大佐となり、アラスカの旅団指揮官となる。 評判の悪かった指揮官は、毎週金曜朝に、全員にマラソンをさせ、砂場で格闘技…

『It Doesn't Take a Hero』Schwarzkopf その1

CENTCOM司令官として湾岸戦争を指揮した人物が、子供時代から陸軍に入り退役するまでを書く自伝。 *** 著者の父は警察署長、軍人で、母は看護師である。 両親の教え……男は女を守らなければならない、嘘をつかない、白人のプロテスタントとして生まれ…

『廃墟のなかのロシア』ソルジェニーツィン

ソ連崩壊後、混乱から立ち直らないロシアについて、『収容所群島』の作者が、どうすればいいかを考える本。 ロシア側が考えるロシア救済策・ナショナリズムは、あまり耳に入ってこないので新鮮に感じた。 明らかに、欧州や合衆国とは異質の思考であり、冷戦…

『南京事件』笠原十九司

本書の目的……東京裁判や南京軍事法廷の判決とは異なる「歴史」として、南京事件の全体像を解明しようと試みる。 1 1937年7月に盧溝橋事件、8月に第2次上海事変が発生し、日中戦争がはじまった。この月、木更津から発進した海軍機により南京渡洋爆撃…

『はじめての部落問題』角岡伸彦

自らも部落民出身であるライターが部落問題についてわかりやすく説明する。 *** 部落の起源はかつては江戸時代の政治制度とされていたが現在では否定され、中世から賤民階級の形成が始まっていたという。穢多、非人以外にも無数の被差別身分があり、由来や職…

『Embracing Defeat』John Dower その2

5 犯罪 東京裁判と、各地で行われたB・C級戦犯裁判について。 アジアにおける軍事裁判は特にオランダ、イギリス、フランスが多く実施し、日本兵や朝鮮・台湾出身の兵を処刑した。 東京裁判の特徴…… ・GHQとキーナン判事は天皇免責工作を行った。 ・A…

『Embracing Defeat』John Dower その1

邦訳は『敗北を抱きしめて』。 当時の出版物や新聞記事、証言、またはデータを基に、日本人がどのように終戦と占領を受け入れたかを検討する。 日本人の占領に対する意識は驚くほど多様だった。また、米軍による政治指導者たちの処罰や施政方針は、戦争責任…

『日中戦争 殲滅戦から消耗戦へ』小林英夫

日中戦争を日本の殲滅戦略(ハードパワー)と中国の消耗戦略(ソフトパワー)との衝突としてとらえ、検討する。その際、2003年公開された憲兵隊の検閲記録を参考とする。 前半は、著者の提唱する枠組みから日中戦争を検討する。 後半は、検閲された通信…

『Eichmann in Jerusalem』Hannah Arendt その2

8 良民の義務 アイヒマンはカントの定言命法を引用し、自らの規律にのっとって行動した、と弁明した。しかし、最終的解決の決定以降はカントに限界を感じ、命令者ヒトラーの原則を自分の原則と考え行動した。 ハンガリーはドイツの干渉を嫌うため、ユダヤ人…

『Eichmann in Jerusalem』Hannah Arendt その1

副題「悪の凡庸性について」 アイヒマン裁判についての記録。 1963年に出版されたこの本は、欧米やイスラエルのユダヤ人から非難を浴びた。 アイヒマンを悪の権化ではなく、凡庸な、思考停止した愚か者と解釈したこと、そのような凡庸な人物が悪をなすこ…

『昭和天皇』古川隆久

目的……昭和天皇について実証的な研究を行い、実像の把握につとめる。 *** 1 思想形成 裕仁は大正天皇の子供として生まれた。学習院で初等教育を終えてからは、東宮御学問所で様々な教科を学んだ。このときにダーウィンの進化論や実証史学に触れており、天皇…

『『コーラン』を読む』井筒俊彦

イスラームの神髄はコーランにあるため、この原典をまず正しく読む姿勢が重要であるという。講演を収録したものらしく、文は平明で読みやすい。 1 コーランはムハンマドの口を借りた神の言葉として成立した。 コーランの語源は「口に出して読む」という言葉…

『金正日の料理人』藤本建二

つい最近も訪朝しメディアに登場した著者の本。 著者は寿司職人として北朝鮮に呼ばれ、金正日に気に入られて専属料理人として働いた。 金正日と幹部らの生活はアラビアの君主を思わせる。かれらは毎日ぜいたくな料理を食べ、スポーツカー、バイクを乗り回し…

『聖書考古学』長谷川修一

◆独り言 自分はキリスト教徒ではないが、聖書に書かれている世界や、キリスト教文化には関心がある。 旧約聖書の、奇怪なエピソード、荒涼とした世界に一方的に憧れを持っている。また、キリスト教の文化と思考方式が人間の歴史に及ぼした影響は大きいと感じ…

『赤軍大粛清』シュトレビンガー

ソ連における大粛清と、ドイツ情報部門の謀略とをつなぎ合わせて検討する。 1 謀略 1936年からスターリンは古参党員の抹殺を開始した。この本のテーマは1937年6月に行われたトハチェフスキーら将官の粛清である。 ボリシェヴィキの政権掌握後、亡…

『黒檀』カプシチンスキ

アフリカについての文章を集めたもの。作者はポーランド人のジャーナリストで、世界各国からの現地報告が多い。 *** ガーナ編 ガーナは戦後のアフリカ諸国独立の旗手として、先頭に立っていた。 タンガニカ編 アフリカの黒人らは独立したが、白人による統治…

『The Scramble for Africa』Thomas Pakenham

『The Boer war』の著者。 本書では探検家デイヴィッド・リヴィングストンの死の直後である1876年から1912年までをアフリカ争奪戦の時代とする。 アフリカ探検(侵攻)と植民地化の歴史は錯綜としているが、この本はほぼ全体をカバーしている。 欧州…

『黒いスイス』福原直樹

一般的に知られていないスイスの歴史や社会を紹介する。 焦点は、スイス社会の閉鎖性と、第2次世界大戦を生き延びるためにどのような方策をとったかとにあてられている。 1 政府は優生学に基づき1920年代から70年代まで、ロマ族の子供を誘拐し施設に…

『The Israel lobby and U.S. foreign policy』John Mearsheimer, Stephen M. Walt その2

2部 ロビー活動 イスラエルロビーは、合衆国のイスラエル支援を維持させることと、中東のバランスをイスラエルに有利な方向に変えさせることを目標としている。かれらは、イスラエルと合衆国の国益が同一であり同様であると主張する。 著者は、このような動…

『The Israel lobby and U.S. foreign policy』John Mearsheimer, Stephen M. Walt その1

合衆国政治に影響力を持つイスラエル・ロビーについての本。事前知識のない私でも理解しやすく書かれていた。 2人の著者はどちらも合衆国の国際政治学者である。 ロビーの概要について検討した後、どのように対処することが合衆国にとって適切なのかを考え…

『Hitler and Stalin』Alan Bullock その2

11 総統国家 ヒトラー政治の特徴……法律および官僚制への軽蔑、部下たちの対立内紛を温存し、自らの権力に依存させる方針、既存の統治基盤や経済構造の利用。 4か年計画……4年以内に軍と経済を戦争遂行可能状態にするというもの。ヒトラーの大原則はドイツ…

『Hitler and Stalin』Alan Bullock その1

ヒトラーとスターリンの対比列伝。2人の独裁者を比較することにより、ナチ党ドイツとスターリン下のソ連の政治体制を違いを検討する。 両者は、共通する点もあれば異なる点もある。どちらも、急激な社会の変化がなければ、ここまで甚大な影響を持つ地位は得…

『中国人民解放軍』矢吹晋

5、6年間本棚に埋もれていた。1996年出版とだいぶ古いので現状と異なる箇所(特に部隊編制等)もある。 著者は他に『トウ小平』等の著作がある。 *** 「党から軍が生まれ、銃口から政権が生まれる」 本書の目的……解放軍の成立、党と軍の関係、組織編制…

『華僑』游仲勲

華僑についての概要を解説する本。1990年に書かれたので内容は相当古い。 1 中国人の海外移住 中国人は大陸民族であり常に移動していた。大規模な人口流出はアヘン戦争後からで、特に広東省、福建省から多くの中国人が労働力として東南アジア、新大陸等…

『経済学の歴史』根井雅弘

近代の経済学の変遷について紹介する本。旅行中に読んだのでメモがどこかにいってしまった。 ――経済学の歴史を学ぶ理由のひとつは、私見によれば、現代経済学の背後に隠されている古の哲学や思想の痕跡を再発見し、現代理論を妄信する危険性を防ぐことにある…

『Weapons and Warfare in Renaissance Europe』Bert S. Hall

ルネサンス期における戦争方法の変遷を、とくに火薬に焦点をあてて論じる。 あらゆる時代を通して、戦争に用いられる技術については、古いものと新しいものが併用されている。 西洋の騎士は剣による戦いを好んだが、必ずしも彼らが伝統墨守に固まっていたと…

『宇垣一成』渡辺行男

宇垣一成についての概説本。 2・26事件以降も、宇垣はたびたび後継首班候補に指名された。これは軍縮と近代化を達成したかれの業績と、「陸軍を抑える」ことを期待してのことだった。 宇垣が清浦内閣の陸相に就任したとき、陸軍は薩摩系の上原勇作率いる上…

『知られざるスターリン』メドヴェージェフ

……体制変革を経て公開されるようになったソ連時代のアルヒーフ(文書)をもとに、これまで知られなかったスターリンのさまざまな言行を明らかにする。 内容として、スターリンの死、スターリンの後継者選び、スターリンの個人文書、スターリン批判の前後、ス…

『古代インドの文明と社会』山崎元一

古代インドの要素は今もなお残っているため、古代インドを理解することが、現代インドの理解にもつながる。 王朝の変遷は複雑で、人名も覚えにくい。 *** インド亜大陸は中央のヴィンディヤー山脈を境に南北に分かれ、北においては西のインダス河流域と東の…

『戊辰戦争』佐々木克

鳥羽伏見戦争から函館戦争の終結までを時系列に沿って記述する。 明治維新の時点ですでに天皇が政治の道具、「物体」のような扱いを受けていることに注目すべきである。薩長側は天皇を正統性を付与するものとしてたくみに利用しようと試みた。 明治維新が2…

『ミグ25事件の真相』大小田八尋

1976年のミグ25事件について、当事者によって書かれた本。 「本書は、二四年有余も封印されていた「事実上の防衛出動」の実態を、法務官の目を通し、陸上自衛隊を中心に描いたものである」。 *** 一九七六年、函館空港にソ連戦闘機ミグ25が強行着陸…

『誓い』ハッサン・バイエフ

――殺戮の脅威や長年の戦争によって、わたしたちチェチェン人は、人間的感情の表出が敵の眼に弱さと見られることを恐れて、できるだけ自分の感情を隠すように条件づけられてしまった。 *** チェチェン人ハッサン・バイエフの自伝。 医者になり、チェチェン戦…

『Mohammed and Charlemagne』Henri Pirenne

イスラム帝国の成立が、ヨーロッパ世界を誕生させたと主張する本。著者のアンリ・ピレンヌはベルギーの歴史家で、本書は死後の1937年に刊行されたとのこと。 「ムハンマドなくしてシャルルマーニュなし」という命題が、マルク・ブロックらアナール学派に…

『スカルノとスハルト』白石隆

インドネシア初代大統領スカルノと2代大統領スハルトの伝記。 著者によれば、スカルノは貴族の子であり、ロマン主義者である。一方、スハルトは小役人の子であり、現実主義者である。 *** 1 スカルノはオランダ東インド統治下、ジャワ島スラバヤで生まれた…

『地図の歴史』織田武雄

地図は文字よりも古く、その当時の人間の世界観をよく表している。本書は古代から近代までの地図の発展をたどる。 *** 地図は未開民族の間でもつくられていた。 古代……初期ギリシア人は、世界は平面であり、オケアノスという海に囲まれていると考えた。 アレ…

『暗号を盗んだ男たち』桧山良昭

日本における軍事暗号利用の歴史を辿る本。一部、脚色があるという。 暗号技術の発展により危機感を抱いた日本陸軍は、第1次大戦後誕生したポーランドから将校を招き暗号の基礎を学んだ。この将校の教え子たちが後の日本陸軍暗号の基礎を作り上げた。 参謀…

『フランス植民地主義の歴史』平野千果子

フランスは広大な植民地を保有していた国であり、その影響は今でも残っている。「文明化」をキーワードとして、フランスの植民地主義の歴史を分析する。 具体的な征服の行程よりも、当時の思潮や思想傾向の把握に重点を置いている。 植民地の歴史は、16世…

『ローマの歴史』モンタネッリ

本書の目的はわかりやすいローマの歴史を書くことである。 ローマ史にはギボン、モムゼン等有名なものがたくさんあるが、価格ではこの本が一番安い(1冊なので当然だが)。 *** ロムルスとレムスは都市の礎を建てるが、兄弟げんかからロムルスは兄レムスを…

『虚飾の帝国』デヴィッド・キャナダイン

本書の目的……イギリスとその帝国が間違いなく形成する「全体的な相互システム」として、両者の歴史に取り組むこと。同時に、イギリス帝国の社会のつくりを提示すること。 イギリス帝国は、「イギリスの社会構造を世界の最果てまで拡大しようとした原動力だっ…

『失敗の本質―日本軍の組織論的研究』戸部良一

本書の目的:日中戦争・太平洋戦争における日本軍の作戦失敗例からその組織的欠陥や特性を析出し、組織としての日本軍の失敗にこめられたメッセージを現代的に解読すること。 *** 1 ノモンハン 作戦目的があいまい、中央と現地との連携不足、情報不足、精神…

『ハルツームのゴードン』W・S・ブラント

チャールズ・ゴードン将軍はイギリスの軍人であり、太平天国の乱のとき、中国人傭兵からなる「常勝軍」を率いて活躍した。その後、1885年、マフディー叛乱鎮圧の際包囲されて死亡した。 ゴードンに関する本は、日本語では本書くらいしか出ていないようだ…

『蝦夷と東北戦争』鈴木拓也

奈良時代前半から光仁天皇、桓武天皇治世にかけての蝦夷との戦争を淡々と説明する本。 律令国家成立後、九州の隼人と東北の蝦夷は王朝に従わぬ分子として問題視されていた。蝦夷の反乱が始まると朝廷は彼らの「王化」のための政策を実行する。 ――「征夷」と…

『動物たちの日本史』中村禎里

日本人が動物をどのようにとらえてきたのか、日本人の動物観をたどる。 古来より日本人とかかわりの深い動物はヘビ、キツネ、ウマ、ウシ、サル、タヌキ、等である。 神にかかわりがあるとされた動物については、ヘビが最も古く、やがて1000年前後にキツ…

『関ヶ原合戦と大坂の陣』笠谷和比古

関ヶ原の合戦以後も徳川方の領地は全国の3分の1にとどまり、京都以西は旧族系または豊臣系外様が占めていた。関ヶ原合戦は徳川体制の盤石の基ではない。 合戦は豊臣体制内部の分裂により生じた。それは以下のとおり。 1 正室北の政所と秀頼生母淀殿との対…

『黒社会 中国を揺るがす組織犯罪』何頻・王兆軍

――中国語の「黒」という言葉には「秘密」「邪悪」「非合法」「非公然」という匂いが強い。「黒社会」という単語そのものは、英語のアンダーワールド・ソサエティから来たものだ。……本書で述べる「黒社会」とは、凝集性、職業性、隠ぺい性などの特徴を帯びた…

『サンディーノ戦記』高橋均

1920年代のニカラグアで行われた戦争について。ヨーロッパに対しては距離を置いていた印象のある合衆国だが、アメリカ大陸では積極的に活動を行っていた。 中央アメリカ共和国は19世紀、メキシコの独立に乗じてスペインからの独立を果たす。当初はメキ…

『インドネシアから考える』白石隆

1965年~1966年にかけてのインドネシア共産党員虐殺を指揮したのが、当時政権を掌握したスハルトだった。この事件は映画「アクト・オブ・キリング」の題材にもなった。 本書はスハルトの統治と経済政策を概説し、また97年アジア経済危機によるスハ…

『中国革命の起源1915-1949』ルシアン・ビアンコ

中華人民共和国成立の経緯を研究する。 1 アヘン戦争により清朝は打撃を受け、反王朝を掲げる太平天国の乱がおこった。日清戦争ではさらに義和団の乱が発生した。孫文は革命運動を進め、1910年、清王朝が消滅し中華民国が成立した。しかし、革命勢力に…

『A history of modern Israel』Colin Shindler

イスラエルは建国から60年ほどを経て驚くべき成功を収めたが、いまだに多くの問題を抱えている。著者は具体例として軍事力への依存、汚職、貧富の差、宗教主義と世俗主義の対立、そしてパレスチナ問題等をあげる。 本書はイスラエルのたどった歴史を説明す…

『若き将軍の朝鮮戦争』白善ヨップ

韓国軍人が書いた自伝で、朝鮮戦争期の韓国軍について知ることができる。また、著者は植民地時代には日本軍人として勤務しているため、当時の日本、日本軍の様子についても言及されている。 韓国も合衆国との複雑な関係に悩まされている国であり、日本の歴史…