うちゅうてきなとりで

the cosmological fort 無職戦闘員による本メモ、創作、外国語の勉強その他

◆歴史の本

『Diplomacy』Henry Kissinger その5

~ベトナム戦争から現在へ~ ◆ベトナム戦争の失敗 米国は国益よりも主義・イデオロギーを選んだ。そのため、支援が失敗した場合、自らが乗りこんでベトナム共産化を阻止しなければならなくなった。 ゲリラ戦は、完全に勝利するか、敗北するかのどちらかしか…

『Diplomacy』Henry Kissinger その4

~東西冷戦~ ◆朝鮮戦争に関する米ソの誤算 ・米国は、ソ連との全面戦争あるいは東欧侵略以外を想定していなかった。 ・ソ連は米国の理想主義、「価値」の役割を軽視していた。 北朝鮮が韓国に侵攻すると、米国はすぐに動員をおこなった。あわせて、フランス…

『Diplomacy』Henry Kissinger その3

~戦間期から冷戦の始まりまで~ ◆ヒトラーの台頭 ヒトラーが台頭し、ドイツはヴェルサイユ条約を放棄した。戦勝国は分裂し、国際連盟は、1932年の満州事変で既に明らかになったように、無力だった。 キッシンジャーは、イタリアのエチオピア侵略を黙認…

『Diplomacy』Henry Kissinger その2

~ウィーン体制の終焉から第1次世界大戦まで~ ◆ウィーン体制の終焉 ナポレオン3世とビスマルクの時代……2人の指導者がウィーン体制を終わらせた。 ナポレオン3世はイタリアのカルボナリ(統一運動家)出身であるため、欧州各地のナショナリズム運動を支…

『Diplomacy』Henry Kissinger その1

国際政治の歴史をたどる本。 著者はニクソン、フォード政権において外交を担当した人物である。アメリカ政治に深く関与した人物であり、著者の経歴や立ち位置を理解することが必要である。 キッシンジャー: ・1923年ドイツ・バイエルン州にて、ユダヤ系…

『韓国の軍隊』尹 載善(ユン・ジェソン) その2

3 ・ROTC(Reserve Officer Training Corps) ROTC(予備役将校訓練課程)はアメリカにならって作られた制度であり、士官学校出身者の約7倍にあたる大卒将校が軍を担っている。かれらは2年の義務服務を終えると軍に残るかまたは社会に戻り活躍す…

『韓国の軍隊』尹 載善(ユン・ジェソン) その1

韓国の徴兵制、軍隊、また、歴史的な経緯を説明する本。 兵役を経験した若者の証言なども紹介されており、韓国社会と軍との関係を学ぶことができる。 *** 北朝鮮軍108万の大半は、国境の非武装地帯近辺に配置されている。その施設は地下化されている。 北…

『詳解 独ソ戦全史』グランツ、ハウス その2

◆1942.11~1943.12 ・1942.10月、北アフリカ軍が壊滅したことで、ヒトラーは東部戦線から戦力を引き抜かねばならなかった。また、絶えず西からの侵攻を恐れており、このため赤軍が優位に立った。 ・1943年から始まった連合国による…

『詳解 独ソ戦全史』グランツ、ハウス その1

――ここに登場する内容とは、指導のひどい誤りであり、戦争の圧迫のもとでの将兵の生き方であり、大変な規模での破壊と殺戮であり、独ソ双方の一般市民の信じられないほどの忍耐の物語である。これらの物語を理解することこそ、第2次世界大戦に関するいくつ…

『「民族浄化」を裁く』多谷千香子 その3

ミロシェヴィッチはガス会社の社長を務めた後、共産党の政治家として出世したが、80年代のコソヴォ民族主義(コソヴォに住むセルビア人は、アルバニア人の中で少数派だった)に同調して穏健派を追い出し、指導者となった。かれは恩師を失脚させ1990年…

『「民族浄化」を裁く』多谷千香子 その2

3 虐殺はなぜ起こったか セルビア人勢力…… ・ミロシェヴィッチ(セルビア首相) ・カラジッチ(スルプスカ共和国大統領)とムラジッチ(ボスニアの軍人) ・タリッチ(ボスニアのユーゴ人民軍中将)とブルダニン(ボスニアの政治家) ――タリッチは、自発的…

『「民族浄化」を裁く』多谷千香子 その1

ユーゴスラヴィア内戦における「民族浄化」の実像を突き止める本。また、当時の国際社会の対応についても反省する。 著者は旧ユーゴスラヴィア国際刑事裁判所(ICTY)の判事を務めた。 ――「民族浄化」の実像は、よく言われるように、血で血を洗うバルカ…

『昭和天皇独白録』寺崎英成

本書は、敗戦直後に宮内庁職員が天皇からの聞き取りという形式で作成したもので、当時の東京裁判対策(天皇免責対策)と関連がある。 軍に翻弄される、無力な平和主義者の天皇という図像について検討するきっかけとなる本。 昭和天皇と宮内庁の基本的な主張……

『Moscow 1941』Rodric Braithwaite その3

工場が閉鎖し、また食料配給も止まったため、労働者たちの不満が蓄積した。市から逃亡しようとする工場長や幹部たちを労働者がとらえ、車両や荷物を破壊し、市内に連れ戻した。 市内の恐慌を知らされたスターリンは外出禁止令を発し、また工場や商店を通常通…

『Moscow 1941』Rodric Braithwaite その2

正規軍に加えて、大量の義勇兵が徴発された。多くの男女学生、農民、映画関係者、文学者たちが義勇兵として戦争に参加した。 しかし、モスクワにおいてはその大多数が志願であり、だれもが前線に行きたがった。 従軍作家シモノフは、前線の様子が、かつての…

『Moscow 1941』Rodric Braithwaite その1

ロシア・ソヴィエトの首都であるモスクワと、その住民、また政治家や軍人を中心に、かれらがいかにドイツ軍の侵略に耐えたかを説明する。 当時のモスクワの様子が細かく書かれており、知らなかった情報が多数含まれていた。 この本は、中国を旅行している最…

『今日われ生きてあり』神坂次郎

特攻隊員の遺書、整備員や周辺住民の手記等をまとめた本。 著者は航空基地の通信員として働いた経験のある作家ということである。 特攻隊員の陰に隠れて、批判から逃れようとする戦争指導者や指揮官の姿勢はよくない。 *** 特攻に志願した者の大半は学徒出陣…

『謀略戦 陸軍登戸研究所』斎藤充功

元職員らの証言を聞き出し全貌を明らかにするという形式をとる。 *** ・登戸研究所は各特務機関や中野学校と密接なつながりがあった。職員の中には、終戦後すぐに行方不明となり、中国人になりすまして生活をしていた者もいたという。 ・特に、米本土に影響…

『近現代日本を史料で読む』御厨貴

各時代ごとの政治家、官僚、軍人等の日記を紹介する。 1つ1つの章は短く、各歴史的人物とその日記のガイドのようなものである。 日記は歴史的事件から間をおかずに書かれるため、改変の度合いが少なく、当時の状況を細部まで知ることができる。 一方で、記…

『陸軍登戸研究所の真実』伴繁雄 その2

植物、作物に対する病原菌兵器の開発が行われ、大陸で実験された。しかし結果は不明確である。 風船爆弾に牛の病原菌兵器を搭載し米本土を攻撃する計画もあったが、中止になった。 電波兵器(1科) 怪力光線、殺人光線ともいわれる「く」号は、怪力電波によ…

『陸軍登戸研究所の真実』伴繁雄 その1

陸軍登戸研究所は川崎市生田に1939年設立された陸軍所管の研究機関であり、陸軍中野学校、関東軍情報部、特務機関等と連携して、生物化学兵器、電波兵器、風船爆弾、中国紙幣の偽札など様々な謀略戦兵器を開発した。 本書は創設から研究所及び中野学校等…

『ペリリュー・沖縄戦記』ユージン・スレッジ その2

もっとも精神を痛めつける武器は砲弾で、特に無防備な状態で砲撃にさらされることは、ベテラン兵士であっても耐えがたいものだったという。 海兵隊は仲間の絆を重視し、実際、信頼関係があったからこそ力を発揮できたと著者は回想する。 ――珊瑚礁岩の染みを…

『ペリリュー・沖縄戦記』ユージン・スレッジ その1

海兵隊に志願し、パラオ諸島ペリリュー島の戦い、沖縄戦に参加した兵隊の回想録。太平洋戦争の様子が細かく書かれており、兵隊たちの悲惨な状況を知ることができる。 構成は次のとおり。 ・志願とブートキャンプ ・ペリリュー島の戦い ・沖縄戦 著者は戦争に…

『幕末の天皇』藤田覚 その2

4 鎖国攘夷主義の天皇 孝明天皇即位の時代には、外国船が次々に訪れ開国と通商を要求していた(1844年以降)。 幕府はアヘン戦争の二の舞を避けるために、朝廷や諸国大名に助言を求めた。 1853年のペリー来航後、幕府は日米和親条約、日英和親条約…

『幕末の天皇』藤田覚 その1

本書の趣旨:光格天皇は天皇の権威復興に力を注いだ。続く孝明天皇は幕府の方針に反対し、鎖国攘夷を強硬に主張した。その後主張を翻すが、過激派を制御できず、結果的に民族主義を高揚させ、討幕運動を巻き起こした。 明治天皇は新たに王政復古の下で政治を…

『生物兵器』ケン・アリベック

ソ連による生物兵器開発の概要と、崩壊後、一連の技術が北朝鮮、イラン、過激派等に流出していった疑惑についての本。 著者は元ソ連生物兵器製造組織最高責任者であり、アメリカに亡命後この本を出版した。 生物兵器の危険は間近にせまっている。病原体は安…

『たった一人の30年戦争』小野田寛郎

新聞で連載されていた文章を集めたもの。 作者は徴兵後、予備士官学校を卒業、中国語等の語学力を買われ中野学校二俣分校に入校しゲリコマ戦術を学ぶ。終戦間近にフィリピンのルバング島においてゲリラ戦の指導を命じられた。このときの命令が、絶対に玉砕せ…

『茶道の美学』田中仙翁

茶道における美とは何かという原理を考える本。 冒頭から床の間や内装の細かい美的感覚についての薀蓄が始まる。大まかな歴史に沿って説明されてはいるが、茶道知識のまったくない人間には大変読みにくい。 *** 1 床の間、土壁、茶器を手に取ったときの感触…

『ヒンドゥー教』森本達雄 その2

*** インドの浄・不浄観には、日本をはじめとする他の文化と共通する点もある。 ヒンドゥー教は死、血、屍を特に忌み嫌う。女性に対する蔑視は、生理、月経、出産等の血を伴う現象にも由来するという。 インドにおいて清浄とされるのは水、火、クシャ草、牛…

『ヒンドゥー教』森本達雄 その1

ヒンドゥー教について説明する本であり、素人にもわかりやすかった。 ヒンドゥー教は一神教や仏教から見ても異質な面がある。しかし、ヒンドゥーの神々、儀礼、思想等は、日本にも受け継がれている。 七福神の半数はヒンドゥーの神々由来であり、輪廻(サン…