うちゅうてきなとりで

The Cosmological Fort 無職戦闘員による本メモ、創作、外国語の勉強その他

◆歴史の本

『軍事力と現代外交』ゴードン、クレイグ その2

第2次世界大戦から冷戦を経て、ポスト冷戦へ: ・民主主義と全体主義 民主主義国と全体主義国(ドイツ、ソ連、イタリア等)との外交の行き違いについて。 ソ連は当初外交儀礼をまったく無視したために諸外国から警戒された。さらに、民主主義諸国の転覆を目…

『軍事力と現代外交』ゴードン、クレイグ その1

平和を実現するための方策である国際システムと、戦争……国際的な暴力の関係について考える。さらに、外交上の基本となる交渉、国際社会における倫理と道徳についても検討する。 1989年に初版が刊行された。 ◆所感 主にヨーロッパの国際政治をたどりつつ…

『The Bosnia List』Kenan Trebincevic その2

・ルカLukaの強制収容所は、現在でも運送集配所として使われていた。 父の部下だった収容所のギャング、ランコRankoは、父と兄の命は助けたが、その他のボスニア人、クロアチア人を拷問・処刑した。看守は、収容された兄弟同士を性行為させた後射殺した。ま…

『The Bosnia List』Kenan Trebincevic その1

◆所感 子供時代にボスニア紛争を生き延びて、ニューヨーク市民となったボスニア人が書いた本。 タイトルは、戦争を生き延びた著者が、故郷であるボスニアに戻ったらやりたいことをリスト化した作業に基づく。 戦争は少年時代の著者に衝撃を与え、その傷は長…

『Yugoslavia: Death of a Nation』Laura Silber その3

・民族浄化 民族浄化は、戦争の副産物ではなく、根幹をなした。 6月にはマッケンジーや国連の尽力により、サラエボ空港が国連軍に引き渡された。 サラエボにマスメディアの関心が集中している状態は、カラジッチやセルビア人勢力にとって好都合だった。 1…

『Yugoslavia: Death of a Nation』Laura Silber その2

・1991年3月 セルビアの野党ヴク・ドラシュコヴィッチVuk Draskovicは、ミロシェヴィッチの独裁に反対し、ベオグラードにおいて大規模なデモを扇動した。 ミロシェヴィッチとヨヴィッチは、警察にデモを阻止させた。このとき17歳の学生が殺害された。…

『Yugoslavia: Death of a Nation』Laura Silber その1

◆所感 ユーゴスラヴィア内戦を、連邦解体からボスニア紛争終結までたどる。紛争の概要や経緯をよく理解することができた。 内戦の非常に大雑把な経緯は以下のとおりである。 ・ユーゴスラヴィア連邦のうち、最大国であるセルビアがミロシェヴィッチの指導の…

『十七歳の硫黄島』秋草鶴次

海軍通信科員として硫黄島の戦いに参加した人物の手記。 戦闘の具体的な経過、実際の様子を詳しく記録している。 秋草氏は悲惨な戦況のなかで自らも負傷するが、絶対に生き延びるという強い意志を持っていた。このことは、回想録の各所で伺える。玉砕を選ぶ…

『非公認版聖書』フォックス その2 

・追加と削除 ――……キリスト教のテクストは、それが誕生した最初の100年間は、いわばテクストの入れ替えと書き直しの戦場のようなものだった。 ――こうした問題はたしかに、ある人たちを除けばそれほど重要ではないのかもしれない。ある人たちとはどんな人…

『非公認版聖書』フォックス その1

「旧約聖書」および「新約聖書」を歴史家の視点から検証した本。 聖書の成り立ちや、そこに含まれる事実誤認、フィクション、改変の要素について大変細かく説明する。聖書を通読したことがないと、個々のエピソードの検討を完全に把握するのは難しい。 元々…

『シベリア出兵』麻田雅文 その2

3 赤軍の攻勢、緩衝国家の樹立 イギリス:チャーチル戦争相はデニーキンに肩入れしたが、デニーキン軍がモスクワ総攻撃に失敗するとイギリス軍は撤兵を開始した。 干渉戦争の発端となったチェコ軍団は、チェコスロヴァキア成立後も英仏の駒として使われ、内…

『シベリア出兵』麻田雅文 その1

◆所見 シベリア出兵Siberian Interventionは日本の歴史を学ぶ上で非常に興味深い事項である。 出兵の顛末は、その後の日中戦争だけでなく、歴史上の様々な失敗戦争と共通する点が多い。 ・どのように撤退するかの見通しが甘いまま派兵する ・ゲリラ戦に引き…

『だから、国連はなにもできない』リンダ・ポルマン

◆所感 国連の平和維持活動の実態について報告する本。 理想とかけはなれた現実や、悲惨な事例を、実体験、報道記事を交えて紹介する。また、随所で紹介される細かい事実がおもしろい。 国連は加盟国……つまり国際社会のリソースと意思決定によって成り立って…

『プリンセス・マサコ』ベン・ヒルズ その2

6 皇太子の結婚は進まなかった。アンケートの結果、日本女性の大半は皇太子との結婚を望んでいないことがわかった。なぜなら自由を奪われ、窮屈な環境で生活させられるからである。 弟の秋篠宮は都内で遊び歩いている悪評が立っており、解決策として兄より…

『プリンセス・マサコ』ベン・ヒルズ その1

◆所感 雅子の結婚にまつわる話、宮内庁の実態について。本書は宮内庁と外務省から圧力がかかり発売禁止にされかけたとのことである。ウィキペディアによれば、大手新聞・週刊誌のほぼすべてが広告掲載を自粛したという。 外国人から見た日本の奇妙な点、理解…

『バガヴァッド・ギーターの世界』上村勝彦 その2

7 ・ヨーガは平等の境地であり、それはブラフマンとの合一であり、知性(ブッディ)の確立である。 ・ヒンドゥー教の三大目的は、ダルマ(法)アルタ(実利)カーマ(享楽)である。人生の時期に応じて追求すべきとするのが一般的な教えである。 ・ブラフマ…

『バガヴァッド・ギーターの世界』上村勝彦 その1

『バガヴァッド・ギーター』の内容に沿って、思想や当時の物の見方を説明していく。ヒンドゥー教の世界観は、日本仏教の中にも根付いている。 ◆メモ 『ギーター』の核心は、カーラ(時間)に翻弄される存在のむなしさ、義務を果たし、結果に執着せず行為する…

『America's War for the Greater Middle East』Andrew Bacevich その4

14 どうやって終わらせるのか 2004年、在イラク連合軍司令官がサンチェスからジョージ・ケイシー・JrGeorge Casey Jrに交代した。かれは治安を改善し1年程度で米軍を撤退させられると宣言した。 ケイシーの戦略にはCOIN(Counter Insurgency、…

『America's War for the Greater Middle East』Andrew Bacevich その3

9 バルカン余談 クロアチア停戦監視やボスニア紛争におけるセルビア勢力空爆作戦(Operation Deliberate Force)は、大中東戦争のなかではよく機能した軍事作戦だった。 空爆は、合衆国主導の停戦交渉の基盤となった。その後の停戦監視は、ソマリアの教訓を…

『America's War for the Greater Middle East』Andrew Bacevich その2

◆80年代から90年代にかけて、合衆国は中東の紛争に介入を繰り返した。軍は徐々に深入りし、駐留の負担も増加した。 4 銀幕6番の呼び出し レーガンはレバノンにおいて米軍の存在感を示すために海兵隊を進駐させたが失敗に終わり、朝鮮戦争以来の敗北を…

『America's War for the Greater Middle East』Andrew Bacevich その1

◆著者について 著者ベースヴィッチは元米陸軍大佐で、引退後国際関係や歴史学に関する著作を発表している。特にイラク戦争以後、一貫して合衆国の軍事政策に反対している。 息子のベースヴィッチ中尉はイラク戦争に従軍しIEDにより殺害された。 ja.wikipe…

『Let Our Fame be Great』Bullough Oliver その3

3代目イマームであるシャミールは1832年のギムリの戦いを生き延びた後、チェチェンおよびダゲスタン(岩山の多いダゲスタンと、森の深いチェチェン)のイマームとなった。かれはスパイを各地に潜ませ政敵や反逆者を摘発・処刑した。 かれの名前はユダヤ…

『Let Our Fame be Great』Bullough Oliver その2

◆メモ 本書は、コーカサス各地域に住む民族の歴史を説明する。このとき、ソ連時代からロシア帝政時代へと記述がめまぐるしく変化する。 2 山岳トルコ人The Mountain Turks、1943~4 スターリンの民族政策について。 ・スターリンは、ドイツ軍に一度占…

『Let Our Fame be Great』Bullough Oliver その1

イギリス出身、モスクワ在住歴の長い著者が、コーカサス地方や、コーカサス人ディアスポラの集落等、様々な場所を見分しながら、「まつろわぬもの」たる北コーカサスの民族の歴史をたどる。 ◆メモ 著者はコーカサス地方や、コーカサス人の移住先を訪問し、現…

『馬仲英の逃亡』スヴェン・ヘディン

探検家スヴェン・ヘディンが新疆(シンキャン)を探検した際、軍閥(Warlord)である馬仲英(マー・チュンイン)の軍と遭遇した事件について書かれた本。 1933年、ヘディンは南京中央政府から新疆自動車道路設計のための探検指導を委任された。 一行は馬…

『韓流スターと兵役』康熙奉

在日韓国人の著者が、韓流スターのファンに向けて、兵役制度とその実際についてわかりやすく説明する。 わたしは映画で観たウォンビンやイ・ジュンギ、有名なペ・ヨンジュンくらいしか知らないが、芸能界と兵役との関わりは、日本にはない独特の要素である。…

『The Indian Mutiny』Saul David その4

15 反動 東インド会社軍マドラス軍のニール大佐(Col. James Neill)は、ベナレス(Benares)とアラハバード(Allahabad)を奪回し、悪名高い市民虐殺を行った。 インド総督カニングは、カーンプル虐殺の報を受けて、イギリス人の敵意がインド人そのものに…

『The Indian Mutiny』Saul David その3

10 「嵐は去った」 アーグラー(Agra)は北西地方政府の首都であり、ヒマラヤのふもとから中央インドのジャバルプル(Jabalpur)までを担任し、デリー、ベナレス(Benares)、アラハバード(Allahabad)、ミルザブール(Mirzapur)、カーンプル(Cawnpore…

『The Indian Mutiny』Saul David その2

4 Go to Hell, Don't bother me! 東インド会社軍の問題は、インド人傭兵だけではなかった。ヨーロッパ人将校も、様々な問題を抱えていた。 ・一般的な会社の将校は、低い階級出身で、学はなく、純粋に金銭的動機によって就職した者たちである。 イギリスの…

『The Indian Mutiny』Saul David その1

1857年、デリー(Dheli)近郊のメーラト(Meerut)から始まったインド反乱についての歴史。 東インド会社によるインド侵略の経緯から始まり、反乱の推移を細かく記述する。 反乱の鎮圧を担当した東インド会社軍の将校たちは、イギリス軍将校とも異なる、…