うちゅうてきなとりで

the cosmological fort 無職戦闘員による本メモ、創作、外国語の勉強その他

◆歴史の本

『Putin's Russia』Anna Politkovskaya その1

著者は反プーチンで知られた『ノヴァヤ・ガジェタ』紙の記者で、2006年に路上で射殺された。 国民から自由を奪い専制を強めるプーチンを批判する。 本書では、国家の末端で残酷な取り扱いを受ける人びとに注目する。 プーチン自身の行動ではなく、かれの…

『アデナウアー』板橋拓己 その2

3 アデナウアーは外交を最優先させた。その目標は、ドイツの主権確立と、西側諸国の統合である。 アメリカを欧州に引き留めるため、再軍備を決定した。 かれはソ連に対しては融和を拒否した。スターリン・ノート(ドイツを中立国として統一させるスターリン…

『アデナウアー』板橋拓己 その1

アデナウアーは現在でもドイツの復興、繁栄、建国イメージに結び付けられているが、その実像は複雑である。 また、日本ではヒトラーに比べて無名である。 本書は、自由民主主義体制の定着と西側路線への決断を軸にして、西欧化していくドイツの歴史を、アデ…

『Blowing up Russia』Alexander Litvinenko その2

6 ブイナクスク、モスクワ、ヴォルゴドンスクでの爆弾テロについて。様々な状況証拠や、報道から、著者はFSBが自作自演によって引き起こしたと考える。 ・事前に計画や動きが漏れており、また直後に亡命したFSB士官からの暴露があった。 ・使用された…

『Blowing up Russia』Alexander Litvinenko その1

ソ連崩壊以降、KGB(ソ連国家保安委員会)がいかに権力を掌握してきたかを論じる。 本書はロシアでは発禁とのことである。 著者のリトビネンコは元FSB職員であり、暗殺指令を拒否しイギリスに亡命した。2006年に同僚に放射性物質ポロニウム210…

『The Great Game』Peter Hopkirk その3

3 終盤 クリミア戦争の結果、ロシアでは反英論(Anglophobe)が高まっていた。 1858年、アレクサンドル2世は、若い軍人イグナティエフ(Ignatiev)をヒヴァ、ブハラに派遣した。かれはその後北京に向かい、アロー戦争中の清国と英国との仲介になり、1…

『The Great Game』Peter Hopkirk その2

2 中盤 中央アジア、特にアフガニスタンを傘下に入れようと、英露の対立が強まり、紛争が各地で勃発した。 1831年頃、ベンガルインド軍のアーサー・コノリー(Arthur Conolly)は、モスクワからインドにかけて探検し、コーカサス地方~カイバル峠間、カ…

『The Great Game』Peter Hopkirk その1

グレートゲームThe Great Gameとは、中央アジアを南下するロシア帝国と、インドを拠点とする大英帝国との紛争を示す言葉である。 なお、この言葉の生みの親とされるイギリス東インド会社のコノリー(Conolly)大佐は、1842年、ブハラ・ハン国(現在のウ…

『サウジアラビア』保坂修司

矛盾を多く抱えた国家について解説する。 アメリカの同盟国であると同時に、9.11実行者の大多数を輩出し、また冷戦期にビンラディンやアフガン・アラブを支援した国でもある。 日本人の視点からは非常に不思議な社会であり、抱える問題もわたしたちとは…

『Hitler』Joachim C. Fest その3

6 準備期間 大統領の死に伴いヒトラーは総統及び首相の兼任となった。 国民投票では、社会民主党支持者とカトリック(中央党)がまだヒトラーを拒絶していた。 ・恫喝外交と宥和政策……1935年の英独海軍協定、ヴェルサイユ条約破棄と徴兵制復活、ベルリ…

『Hitler』Joachim C. Fest その2

3 長い待機 ランツベルク刑務所に収監された期間を、ヒトラーは「国費による大学」と形容した。かれは『わが闘争』を執筆し、ヘスらの編集を経た後出版された。この本にはゴビノーの人種理論を曲解したドイツ民族主義、反セム主義が強く反映されている。 1…

『Hitler』Joachim C. Fest その1

ヒトラーの伝記。 フェストは「ヒトラー最期の12日間」の原作者でもあり、本書もヒトラー研究の古典とのこと。 歴史観について……もしヒトラーがポーランド侵攻前に死んでいれば、かれはナポレオンやアレキサンダーに連なる古代的な偉人として称えられ、反…

『在日朝鮮人 歴史と現在』水野直樹、文京洙

19世紀末から現代までの、在日朝鮮人の歴史を解説する本。 在日朝鮮人は特殊な歴史的経緯をもって日本に定住しており、そうした事情を理解することができる。 1 朝鮮人が日本にやってくるのは、1899年頃からである。九州の炭鉱会社や、朝鮮で軍事施設…

『The Ghost of Freedom』Charles King その5

◆ソ連時代から現代、おわり 第2次世界大戦では、グルジア人のソ連邦英雄も現れた。 一方、北コーカサス部族(チェチェン、イングーシ、カラチャイ、メスへティア・トルコ、クルド)は、ドイツに協力したとして、カザフスタンやシベリアに強制移住させられた…

『The Ghost of Freedom』Charles King その4

◆近代化からロシア革命を経て、ソ連の時代へ 19世紀後半から始まったグルジア人のナショナリズムは、地方エリート、ブルジョワ・リベラルに分かれ、いずれも西洋からの影響が強かった。 20世紀初頭、より過激な若者たちがマルクス主義から影響を受け、第…

『The Ghost of Freedom』Charles King その3

イマーム(Imam)と総督(Viceroy) アヴァール人の王族、ガジ・ムハンマドの子孫であるシャミール(Shamil)は、ダゲスタン・チェチェンにおいて、ロシアに対し長期の抵抗戦を行った。 シャミールはイマームを名乗り、スーフィー教団を基盤として、蜂起した…

『The Ghost of Freedom』Charles King その2

防衛線(the Line)での生活 ・19世紀初頭までのロシアの辺境統治政策は、コサックを住まわせ砦を拠点として防衛させるというものだった(防衛線政策)。 ・実際には、コサックたちは辺境の民、山岳部族(the Mountaineers, the Highlanders)と交流してい…

『The Ghost of Freedom』Charles King その1

◆紹介 政治権力、民族、宗教、言語が複雑に入り乱れるコーカサス地方について、歴史をたどりながら概説する。 歴史上のエピソードや、各民族ごとの違いなどが書かれており、コーカサス世界の多様性を知ることができる。 以前ジョージア共和国を旅行したとき…

『ユーゴスラヴィア現代史』柴宜弘 その2

4 戦後国家の様々な実験 チトーの社会主義は自主管理・非同盟・連邦制を特徴とする。 チトーの政策が最終的にユーゴ解体に至った原因について。 ・連邦制の下、民族の平等が唱えられたが、あくまで理念であり紛争の種は残った。 ・土地改革……対独協力者から…

『ユーゴスラヴィア現代史』柴宜弘 その1

ユーゴスラヴィアとは「南スラヴ」の意味である。 ユーゴの歴史は、第1のユーゴ(1918年の成立からナチスドイツによる占領まで)と、第2のユーゴ(1945年の成立から92年の解体まで)とに分かれる。 ユーゴは、東西キリスト教圏の境目であり、ま…

『古代国家の成立』直木孝次郎 その2

7 クーデター前夜 馬子、聖徳太子が死亡後、推古天皇が死ぬと、後継者をめぐって抗争が起こった。馬子の息子蘇我蝦夷は田村皇子を立てて、皇子は舒明天皇となった。 8 改新断行 蝦夷の子である入鹿は傲慢な人間であり、山背大兄王を自害に追い込んで古人皇…

『古代国家の成立』直木孝次郎 その1

中公「日本の歴史」シリーズの1つ。 大和朝廷の成立をたどる。 聖徳太子の実像は現在新たに研究が進んでいる分野なので、他の文献も読む必要がある。 1 新王朝の出発 飛鳥は大和朝廷の始まりの地である。 大和は朝鮮半島と元々関係が深く、4世紀末には百…

『地獄の日本兵』飯田進

著者はニューギニア島に派遣され、終戦後、オランダ軍によってBC級戦犯として訴追され懲役20年の刑を受けた。 本書は、日本兵の最大の死因である餓死を軸として、若者たちが被った悲惨な従軍の様子を伝えるものである。 国家と軍隊に裏切られた若者の怒…

『Diplomacy』Henry Kissinger その5

~ベトナム戦争から現在へ~ ◆ベトナム戦争の失敗 米国は国益よりも主義・イデオロギーを選んだ。そのため、支援が失敗した場合、自らが乗りこんでベトナム共産化を阻止しなければならなくなった。 ゲリラ戦は、完全に勝利するか、敗北するかのどちらかしか…

『Diplomacy』Henry Kissinger その4

~東西冷戦~ ◆朝鮮戦争に関する米ソの誤算 ・米国は、ソ連との全面戦争あるいは東欧侵略以外を想定していなかった。 ・ソ連は米国の理想主義、「価値」の役割を軽視していた。 北朝鮮が韓国に侵攻すると、米国はすぐに動員をおこなった。あわせて、フランス…

『Diplomacy』Henry Kissinger その3

~戦間期から冷戦の始まりまで~ ◆ヒトラーの台頭 ヒトラーが台頭し、ドイツはヴェルサイユ条約を放棄した。戦勝国は分裂し、国際連盟は、1932年の満州事変で既に明らかになったように、無力だった。 キッシンジャーは、イタリアのエチオピア侵略を黙認…

『Diplomacy』Henry Kissinger その2

~ウィーン体制の終焉から第1次世界大戦まで~ ◆ウィーン体制の終焉 ナポレオン3世とビスマルクの時代……2人の指導者がウィーン体制を終わらせた。 ナポレオン3世はイタリアのカルボナリ(統一運動家)出身であるため、欧州各地のナショナリズム運動を支…

『Diplomacy』Henry Kissinger その1

国際政治の歴史をたどる本。 著者はニクソン、フォード政権において外交を担当した人物である。アメリカ政治に深く関与した人物であり、著者の経歴や立ち位置を理解することが必要である。 キッシンジャー: ・1923年ドイツ・バイエルン州にて、ユダヤ系…

『韓国の軍隊』尹 載善(ユン・ジェソン) その2

3 ・ROTC(Reserve Officer Training Corps) ROTC(予備役将校訓練課程)はアメリカにならって作られた制度であり、士官学校出身者の約7倍にあたる大卒将校が軍を担っている。かれらは2年の義務服務を終えると軍に残るかまたは社会に戻り活躍す…

『韓国の軍隊』尹 載善(ユン・ジェソン) その1

韓国の徴兵制、軍隊、また、歴史的な経緯を説明する本。 兵役を経験した若者の証言なども紹介されており、韓国社会と軍との関係を学ぶことができる。 *** 北朝鮮軍108万の大半は、国境の非武装地帯近辺に配置されている。その施設は地下化されている。 北…