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うちゅうてきなとりで

the cosmological fort 無職戦闘員による本メモ、創作、外国語の勉強その他

『政治過程論』伊藤光利、真渕勝、田中愛治 その2

つづき 政治過程を考える上での、一通りの分野が網羅されている。興味のある事項はさらに専門的な本を読んで調べることができる。 3部 組織化 7 利益団体 今日の政治は、利益団体の存在を無視して考えることができない。 大別……セクター団体は経済的利益を…

『政治過程論』伊藤光利、真渕勝、田中愛治 その1

教科書 モデル、理論を利用して政治現象を実証的に研究し、さらにモデル等を発展させていく今日の政治過程論について教育するもの。各分野における研究について説明する。 1部 理論と概念 1 理論と方法 政治過程論は、政治家、政党、官僚、利益団体、市民…

『新版暗号技術入門 秘密の国のアリス』結城浩

暗号技術をわかりやすく紹介する入門書。特に情報技術の発展した現在では、暗号技術に対する理解が不可欠である。 暗号というと原始的なトンツーを思い出してしまうが、中心はコンピュータである。 *** 1部 暗号 1 暗号の世界ひとめぐり 暗号は、機密性、…

『田中清玄自伝』

何をしたのかよくわからない人物の自伝。本書だけを読んでも、客観的な経歴や成果を知ることはできないようだ。 1 自分の一生は次のとおりであると説明する。 ・コミンテルンと共産党の仕事で上海に渡る。 ・治安維持法で逮捕され1930年から1941年…

『現代のイスラム金融』北村歳治 吉田悦章

1 歴史 イスラム金融は「利子」の禁止、現物取引の前提、PLS(損益分担方式)、アルコール等の忌避ビジネス等を特徴とする。 イスラムの経済的活動は近代になると西洋に押され低調となり、またオスマン帝国がヨーロッパの銀行制度を用いたため退潮した。…

『英米法総論』田中英夫 その4

7 法の実現方法 総説 英米法とくにアメリカでは、「民事上の救済もまた法の目的とするところの実現の手段であるということを強調し、民事上の救済手段にも、法違反に対する制裁、法違反の抑止という機能を積極的に期待する」。 同様に法の実現においては私…

『英米法総論』田中英夫 その3

4 コモンウェルス 植民地統治はエリザベス1世の時代から始まった。 第1次大戦後は各自治領が準独立国の地位を得て、1931年ウェストミンスター憲章によりカナダ、オーストラリア、ニュージーランド、南アフリカ、アイルランド、ニューファンドランドは…

『英米法総論』田中英夫 その2

2 イギリス法の歴史 1066年ノルマンコンクエストによりノルマンディー公ウィリアム1世が国王となった。1085年の測地はドゥームズデイ・ブックにまとめられた。 1215年、国王ジョンに対し貴族と教会、ロンドン市民が文書をつくり承認させた。こ…

『英米法総論』田中英夫 その1

英米法の解説をもとに、イギリス、アメリカのものの考え方を検討する。 1 概観 英米法はイギリス法の伝統に多く影響を受けた法をさし、イギリス、アメリカの各州、コモンウェルス、インド等の法が該当する。 英米法が大陸法と異なる発展を遂げた原因は、ロ…

『森と芸術』巌谷國士

森をテーマにした美術作品の系譜をたどる。 森の歴史は人類よりも古く、かつて耕作がおこなわれる前、人類は森のなかで生活していた。このため森は「文明」に対する「野蛮」、「野生」の意味合いをこめてえがかれた。 旧約聖書の楽園は森に囲まれている。 森…

『The Essential Chomsky』

言語学者ノーム・チョムスキーの文章を集めた本。 言語学についてはわたしの素人知識では読みにくい部分が多いが、政治的なエッセイは明快だった。 ◆感想 チョムスキーの政治的立場は、自由主義、人権、民主主義を重んじるものである。かれは大国による侵略…

『戦争における「人殺し」の心理学』デーヴ・グロスマン

「敵を殺すこと」について心理学の視点から検討する本。 戦争は人間の活動の中心であり、歴史以前から続いてきた。時代や技術レベルが変わろうとも、敵を殺すこと、つまり殺人が戦争の中核であることは否定しようがない。 著者は軍人だが、殺人の経験はない…

『文化の国際関係』ミッチェル

本書は文化交流の性格と発展、その組織と運営、実践されている活動について論じる。 *** 文化交流、文化外交は、国際関係において重要な位置を占めている。文化交流の本質は理解することであり、文化の相互理解が友好に役立つ。 文化外交や文化宣伝は、それ…

『ゴルギアス』プラトン

弁論とは何かについて。プラトンの善に対する強烈な思い入れが感じられる。 ◆メモ 『ゴルギアス』はソフィスト・ゴルギアスとソクラテスらの対話である。 ゴルギアスは「すぐれた弁論術」をもつ弁論家である。弁論術とは「言論について」(p.17)の技術であ…

『統合失調症』林公一

1 医師が病気について勉強するときはまず症例を調べる。本書は統合失調症の症例をわかりやすく示すことを目的とする。 統合失調症は脳の病気であり薬を飲まなければ何も始まらない。 2 統合失調症は100人に1人の割合で発症する。主に20歳前後に発症…

『公認会計士VS特捜検察』細野祐二

本書は粉飾決算を関係者とともに共謀したとして逮捕され、東京地検特捜部から起訴された公認会計士の体験を題材とするものである。 1 経緯 公認会計士細野は株式会社キャッツの経営アドバイスを行っていた。キャッツの社長である大友と、経営首脳の村上らは…

『不確定性原理』都筑卓司

量子力学の根幹である不確定性原理について、たとえ話を用いて説明する本。 体系的にわかりやすく理解させるのではなく、エピソードを通して、あくまでも量子力学や不確定性原理の本質やイメージを伝えることを目的としているようだ。 *** ラプラスの悪魔は…

『国会事故調報告書』東京電力福島原子力発電所事故調査委員会

原発事故についての調査報告書。分厚いが、内容を理解しやすいように書かれている。 結論 共有認識……東日本大震災に伴う東京電力福島原子力発電所事故は現在も収束しておらず被害が継続している。 根本的な原因……シビアアクシデント対策や住民保護など、東京…

『日本の統治構造』飯尾潤

日本の政治制度について説明する本。特にシステム面について検討した本であり、読みやすい。 はじめに 議院内閣制は、行政権の成立根拠を議会すなわち政権党に置く制度である。 ――本書は、日本における議院内閣制の分析を通し、国会、内閣、官庁、政治家、官…

『国際宇宙ステーションとはなにか』若田光一

国際宇宙ステーションの概要から、宇宙飛行士の仕事までを説明する。宇宙飛行士はパイロットと同様、心身ともに高い水準を要求される。最後のスローガンは子供のように単純だが、それを実行するのは大変困難である。 1 ミニ地球 国際宇宙ステーションIntern…

『頭脳勝負』渡辺明

竜王が将棋の魅力を紹介する。 将棋は技術だけでなく精神力も要求される。相手との駆け引きや、態度が勝負を左右する。 どのような手を打つか考えるためには、長時間にわたる集中力のコントロールが必要である。 戦型には大別して居飛車と振り飛車の2つがあ…

『生命とはなにか』シュレーディンガー

物理学者シュレーディンガーによる、生物を物理の言葉で説明する本。生物もまた物理法則に基づく現象の1つであることを示す。 若干難しいのでさらに勉強が必要だと感じた。 生きている生物体の空間的境界の内部でおこる時間・空間的事象が、物理学と化学に…

『慈悲』中村元

古来、日本人の精神に大きな影響を及ぼしてきた「慈悲」の観念について考えることを目的とする。 *** 1 慈悲は仏教の中心的な徳であり、仏そのものともいわれる。 慈悲の重要性は現代において高まっている。それは、宗教の相対性が強く浮彫になったからであ…

『DNA』ジェームス・ワトソン アンドリュー・ベリー

本書の目的……DNAの謎を解明するまでの歴史を概説し、DNAとは何かを説明する。DNA研究と社会との関わりについても詳しく書かれている。 著者はDNA解明に寄与した科学者であり、上下分冊だが大変読みやすい。 *** 1 メンデルは遺伝子の存在を予見したが…

『社会科学のリサーチ・デザイン』キング コヘイン ヴァーバ

定性的な研究において妥当な因果的推論や記述的推論を行うためのアプローチを発展させることを目的とする本。 *** 1 社会科学の「科学性」 定量的研究と定性的研究とはどちらも、根源的な推理の論理に基づいているか、体系的か、科学的かが重要である。 科…

『生物兵器と化学兵器』井上尚英

化学兵器・生物兵器の歴史と代表的な種類を説明する本。 化学兵器はハーグ陸戦条約、ジュネーブ条約などで制限されてきたが、こうした施策は完全なものではなく、現代においても各戦争において使用され、またテロリストの攻撃手段としても利用されている。 *…

『社会生物学の勝利』オルコック

目的……宗教的・倫理的な観点から批判されることの多かった社会生物学を解説する。 1 何だ 社会生物学はダーウィンの進化理論と動物行動学を結びつける学問分野である。この分野の創始者O.E.ウィルソンによれば「すべての社会行動の生物学的基礎の総合的な研…

『動物分類学』松浦啓一

生物多様性の概念は近年になり提唱された。生物多様性が、地球環境の維持に貢献しているというもので、頻繁に取り上げられている。しかし、その多様性の実質である種の数についてはいまだにわかっていない。少なく見積もっても1000万以上の生物が存在す…

『Walden; Or, Life in the Woods』Henry David Thoreau

アメリカ合衆国の作家・思想家ソローによる代表作。 ウォールデン湖のほとりで仙人のような生活を送ろうとする人物の本。現在の経済活動の大部分に背を向けるよう主張している。 ムダな労働をしない、着飾らない、必要以上に作物をつくらない。気候に耐える…

『アヘン王国潜入記』高野秀行

1995年、著者がミャンマーのワ州に滞在した記録をまとめたもの。政治的な文章や偏見、主義主張はそこまでうるさくないので読みやすい。 1 アヘン生産地帯 東南アジアのゴールデントライアングルとは、ミャンマー、タイ、ラオスの3点で囲まれた国境地帯…

『現場刑事の掟』小川泰平

窃盗犯専門の刑事による体験談。著者は相撲部出身の屈強な人物らしく、文章もどことなく頭が悪そうだが人格の良さは伝わってくる。 警察官は犯罪者や悪そうな人間に対して弱気でいてはいけない。体力がまず重要である。 犯人を捕まえて自首させるまでが刑事…

『大学生物学の教科書3』サダヴァ

内容:情報伝達、遺伝子工学、免疫、発生と分化 *** 12 細胞の情報伝達 細胞に影響を及ぼすさまざまなシグナルについて説明する。どのようなシグナルであっても、それに応答できる細胞には受容体タンパク質が存在する。 細胞は、外部環境からの情報を処理…

『大学生物学の教科書2』サダヴァ

本書は「染色体と細胞分裂、メンデル遺伝学、DNAの構造と複製、DNAをもとにタンパク質が合成される過程、遺伝子発現制御、ウイルス、細菌の遺伝学」を取り扱う。 6 染色体、細胞周期及び細胞分裂 ヘンリエッタ・ラックスから摘出されたHeLa細胞は…

『生物から見た世界』ユクスキュル クリサート

人間や動物は主体である。主体が知覚するものは知覚世界となり、主体が作用するものはすべて作用世界となる。この2つを合わせて「環世界」Umweltとなる。本書はこの環世界を紹介するものである。 *** 動物主体は知覚と作用によって客体をつかむ。 ――……動物…

『原子爆弾』山田克哉

目的……原子爆弾の原理、放射能とは何か、等について説明すること、原子爆弾の理論を歴史を追って書くこと。 原爆と原子力発電の原理はほとんど同一である。原爆を理解することは、原子力行政の理解にもつながる。 *** 原子爆弾とは正確には原子核の分裂を利…

『創造』エドワード・ウィルソン

目的……自然保護を有効に推進する社会的な勢力の形成にある。その勢力とは「愛と科学をもって、あるいは冷静かつ合理的な利害計算をもって生物多様性に対処する非宗教的な勢力と、神による創造を信じるキリスト教的な宗教世界に暮らしつつ、神に想像された自…

『ブラック・チャイナ』田雁

起源 中国黒社会の起源は「幇会(バンホイ)」と呼ばれる秘密結社である。当初は職能組合だったが、明末に満州族に対抗するために結束し、辛亥革命や軍閥の支配に際して権力と協力し勢力を拡大させてきた。 明末の幕僚洪英がつくった「洪門」は、清の時代に…

『アメリカ人弁護士が見た裁判員制度』コリン・ジョーンズ

本書の目的:陪審制度との比較により裁判員制度が誰のための制度かを論じる。 「陪審制度は個人を公権力から守る最後の砦であるのに対して、率直に言って、私が見る限り、裁判員制度は裁判官と国民が一緒になって悪い人のお仕置きをするかどうか決めるための…

『激論!「裁判員」問題』木村晋介

裁判員制度について賛成派と反対派が議論する本。 1 裁判員制度の概要 適用されるのは重大犯罪のみである。審理は裁判官3名と裁判員6名で行われる。裁判員は事実の認定、法令の適用、刑の量定について権限を持つ。 これらは多数決で決定されるが、有罪の…

『国際テロリズム101問』 安部川元伸

本書は国際テロ組織の概要、組織、地域分布、対策等について概要を説明するもの。 *** テロの類型……大量破壊兵器テロ、サイバーテロ、海事テロ、エコテロ等 現代のテロは大別して左翼組織、民族主義組織、イスラム過激派組織に大別される。左翼主義組織は主…

『極左暴力集団・右翼101問』

警察関係者向けの書籍で、極左と極右の成立経緯、宗派、活動内容等を説明する。 *** 極左暴力集団の歴史は日本共産党の路線転換の歴史であるといわれている。同党の路線転換のたびに分裂を繰り返し、地下組織、非公然組織が生まれてきた。 五流二十数派……革…

『腐敗と寛容 インドネシア・ビジネス』中原洋

インドネシアでの経営経験がある人物が、当該国の文化、経済的慣習等について紹介する本。 1 人と国 インドネシアは多民族、多言語国家である。様々な民族間で共通するのは、楽天、寛容、忍耐の精神である。著者はこうした精神要素が生まれた背景として、豊…

『Sultanistic Regimes』Juan J. Linz, H. E. Chehabi

比較政治学において、政治体制を理解するための単語である「スルタニスム」(スルタン主義体制)を考える。 スルタニスムとは……元はヴェーバーが統治の類型を考える上で「スルタン制」を考案し、後に本書の著者であるリンスが発展させた。 イスラーム世界の…

『アラブ人とユダヤ人』シプラー

目的……「アラブ人とユダヤ人が互いに抱き合っている感情やイメージ、先入観を点検し、彼らの敵意の根にあるものや、イスラエルの支配下で両者がまじりあって暮らす小さな土地での相互作用を、じっくり見ることにある」。 イスラエルでの生活や社会について知…

『絵画を読む―イコノロジー入門』若桑みどり

図像学のはなし。 図像の単純な意味と、その伝習的知識を総合して出された本質を研究するのが、イコノロジーであるという。 歴史上の絵画を取り上げ、描かれたモチーフが示す意味を解説していく。 西洋絵画は常にキリスト教とギリシア文化の影響下にあり、画…

『日本のインテリジェンス機関』大森義夫

内閣情報調査室長を務めた元警察官僚が、内調の成立の経緯、日本における情報の取組、日本におけるインテリジェンスの概要等について説明する本。 著者のメモからの抜き書きなのか、唐突な文章が多いが、納得する点がありおもしろかった。 インテリジェンス…

『ヒルズ黙示録・最終章』大鹿靖明

『ヒルズ黙示録』の続編で、主にライブドアと村上の逮捕のいきさつについて説明する。 検察は、従来の汚職、ワイロ摘発モデルから、経済犯罪を糾弾する新しいモデルへ転換を試みた。検事たちには経済犯罪について付け焼刃の知識しかなく、どうやって堀江らと…

『ヒルズ黙示録』大鹿靖明

ライブドア事件の概要だけでなく、当事者である堀江ら、また、村上世彰、検察官たちの半生がわかり、おもしろかった。事件がおきたときはだいぶニュースになったが、本書を読むとこれまで知らなかった事情も理解できる。 「世論」は、当事者や検察によって簡…

『精神病』笠原嘉

精神病、とくに分裂病(現在の「統合失調症」)について書かれた本。はじめに、精神病の定義について説明する。 心の不調を分類すると、「神経症」、「精神病」、「パーソナリティのゆがみ」の3つになる。 パーソナリティのゆがみは、本人の心の不調によっ…

『近代の奈落』宮崎学

戦前から戦後にかけての部落解放運動家の足跡をたどる本。 部落解放運動には、現実的な要求に基づく運動、アナキズムやマルクス主義に基く運動と様々だが、著者は生活者、部落民としての立場を踏まえた運動に共感しているようだ。 被差別部落はかつて皮革産…