うちゅうてきなとりで

the cosmological fort 無職戦闘員による本メモ、創作、外国語の勉強その他

◆その他の本

『お寺の収支報告書』橋本英樹

――本書は、仏教界を堕落させているお金や制度の問題について、内側を知る立場から隠すことなく述べ、みなさんといっしょになって考えていただくために書かれました。 現役僧侶が住職の堕落を嘆く本であり、笑える箇所が多々ある。 時代に合わない制度や強欲…

『福島第一原発 真相と展望』アーニー・ガンダーセン

元原発技術者が福島第一原発の状況について説明する本。 著者は大学で原子力工学を学び原子炉設計に携わっていたが、炉の欠陥を訴える内部告発をきっかけに追放され、以後、原発廃止論者となった。 インタビューを並べたもので構成は漫然としているが、原子…

『Rationalism in Politics and Other Essays』Michael Oakeshott その6

◆保守的であること 保守的であることとは、今あるものに満足し、未来のより良き善を求めず、失われた過去を偶像化しない傾向を指す。保守主義は身近なものを信じる。また、変化と革新を好まず、現状維持をよしとする。例え改善が行われる場合でも、それは漸…

『Rationalism in Politics and Other Essays』Michael Oakeshott その5

4 現代政治についての考察 ◆代議制民主主義における大衆 大衆の起源について考える。個人という概念が生まれたのは、14、15世紀のヨーロッパである。人間が共同体の一部にすぎず、個人という意識を持たなかった時代が変わり、自律し、自らの行動と選択…

『Rationalism in Politics and Other Essays』Michael Oakeshott その4

3 ホッブズについて ◆リヴァイアサンについて ホッブズは政治哲学の古典を生み出した。ヨーロッパの思想における3つの伝統とは、理性と自然、意志と人為、合理的意志である。それぞれ、プラトン『国家』、ホッブズ『リヴァイアサン』、ヘーゲル『歴史哲学…

『Rationalism in Politics and Other Essays』Michael Oakeshott その3

2 合理主義の解剖 ◆合理的行為 混乱を呼ぶ「合理的」という語を、特に行為との関連から検討し、その起源や経緯について考える。本章では、合理的行為を望ましいもの、知的な行為として解釈する。 合理主義とは:人間の脳には理性が備わっており、この理性の…

『Rationalism in Politics and Other Essays』Michael Oakeshott その2

◆政治教育 政治は、イデオロギーや原理を原動力とする、組織への参加である。理想や原理原則がなければ、わたしたちの政治的行為は気まぐれな反応に過ぎなくなる。原理原則を持たない人間は政治を担う資格がない。 政治的行為の基礎をなすイデオロギーは、ゼ…

『Rationalism in Politics and Other Essays』Michael Oakeshott その1

イギリスの政治学者オークショットの代表的なエッセイを集めたもの。 近代以降の政治思想を、合理主義という観点から見直す。 伝統や慣習の価値を再検討し、フランス革命やロシア革命のような政治を否定する。オークショットの保守主義は、地道な改善、修正…

『労働法入門』水町勇一郎

各国の労働法は、その国の労働観、宗教観に深く影響されている。 日本の労働法は欧州の考え方と、日本の伝統的な思考とが混ざったものであり、本書はその本質と特徴を明らかにするものである。 労働法の成り立ちから、労働法の枠組み、日本における運用と問…

『憲法』芦部信喜 その2

10 経済的自由権 職業選択の自由、居住・移転の自由、財産権を総称していう。精神的自由に比べてより多くの、広範にわたる規制を受ける。 規制が合憲であるかどうかは、「合理性」を基準に審査される。 財産権はフランス人権宣言においては神聖かつ不可侵…

『憲法』芦部信喜 その1

◆感想 憲法には理想・理念が詰め込まれている。しかし、実際にどう運用されているかが問題である。 理念はそれだけでは国家権力を服従させることができない。人力によって目的を達成することが必要である。 平和主義、特に9条については、自衛隊創設時から…

『私にとってオウムとは何だったのか』早川紀代秀

オウム信徒の死刑囚が自分の半生について書いた本。 「正しいことをせよ」という意識の強い一般人が、どのようにしてオウムに入会し、犯罪行為に加担したかが書かれている。 著者は若い時、宗教的なものには違和感を覚えたが、ハルマゲドンやノストラダムス…

『司法官僚』新藤宗幸

日本の司法の問題は消極的である点である。 本来、司法は市民にとって「簡便」な政治や社会を変えていく制度である。しかし現状では、裁判所が守ろうとしているのが政治行政のしくみなのか、裁判所の権威なのか、裁判官のキャリアなのかは不明である。 裁判…

『ワヤンを楽しむ』松本亮

ワヤンはインドネシアの伝統芸能であり村や町で人を集めて開催される。マハーバーラタやラーマーヤナを基にした劇が半日かけて、または夜を徹して行われるため、観客は好きな時に昼寝したり歓談したりする。ガムラン演奏者もうとうとしていることがよくある…

『裁判員の教科書』橋爪大三郎

目的……裁判員を務めるための教科書である。 著者は裁判員制度の問題点を認めつつも、国民による法システムの自己統治を可能とする制度として肯定する立場である。 1 ルール 裁判員裁判は刑事裁判を対象とする。犯罪を裁く法律は刑法の他に「破壊活動防止法…

『検察の正義』郷原信郎

検察官として勤務した経験をもとに、検察の構造、問題点等を説明する。 1 著者は東大理学部を出て三井金属鉱山に入社したのち、官僚的な雰囲気に幻滅し退社、2年かけて司法試験に合格し検事となった。 検察の特殊部として公安部と特捜部があり、著者は数年…

『神は妄想である』ドーキンス その2

6 道徳の起源は宗教であるといわれるがドーキンスはこれを否定し、道徳は宗教に先行すると主張する。 『利己的な遺伝子』の誤解から、ダーウィン主義は道徳と相容れないと考えられている。利己的なのは遺伝子であって、個体や種ではない。 個人がお互いに利…

『神は妄想である』ドーキンス その1

『利己的な遺伝子』の著者による、書名だけで論争を招きそうな本。 宗教の害を論じ、無神論者であることを正々堂々と主張することを目的とする。宗教が無くとも道徳は成り立つというのがドーキンスの考えである。 特に、宗教的な色彩の強いアメリカ合衆国を…

『言語を生みだす本能』スティーヴン・ピンカー その2

7 ――……人間の音声知覚はピラミッドの下から上へ働くだけでなく、上から下へも働いているといえそうである。……音韻ルール、統語ルール、この世では誰が誰になにをする傾向があるかというステレオタイプな認識、相手がそのときなにをいいそうかという勘にいあ…

『言語を生みだす本能』スティーブン・ピンカー その1

言語を習得する本能について説明する本。著者は特に言語学等の一般向け書籍を多く書いており、本書も文章、構成ともに明快で読みやすい。 1 ヒトの最大の特徴は言語能力である。従来の説や先入見と異なり、著者は、言語は人間の本能に基づく能力であり、文…

『新しいウイルス入門』武村政春

ウイルスは生物とはみなされていないが、ではいったい何なのか。 *** 1 生物に限りなく近い物質 ウイルスは生物に限りなく近い物質である。生物学では細胞を持つものが生物であると定めているが、ウイルスは細胞を持たない。 形……核酸がタンパク質の殻で囲…

『日本の象徴詩人』窪田般弥

ヨーロッパの象徴主義運動を解説した後、日本における受容や、日本の象徴詩について考える本。前提となる知識が足りないので、読みにくかった。 エドマンド・ウィルソンによれば、「フランスの象徴主義の運動は、ロマン主義者が手をつけずにいた韻律の諸法則…

『ニコマコス倫理学』アリストテレス その2

つづき 徳のある情念及び行為とは、それらが随意的(アクシオン)である場合に限る。すなわち、自覚的になされたものであるということ。 ――……大いなるうるわしきことがらに対する代償として何らか醜悪な苦痛的なるものに耐えるのであれば、ときとしては、こ…

『ニコマコス倫理学』アリストテレス その1

第2巻より……この本は、われわれが善き人となるためのものであり、純粋な研究ではない。 何をなすべきか、なさないべきかを知らなければ、人間は自然に悪い方向に流れていく。そういう人間は自分の生活がうまくいかず惨めな状態に陥ることになる。 ◆メモ 古…

『シュルレアリスムとは何か』巖谷國士

シュルレアリスム、メルヘン、ユートピアについての講演。それぞれの様式が、どのような意図で作られているのかを考える。 1 シュルレアリスムの定義について、誤った解釈が広まっている。シュルレアリスムは写実性、客観性を重視する。 シュルレアル=超現…

『ワンダフル・ライフ』スティーヴン・ジェイ・グールド

1章 バージェス頁岩の研究を通して、生物進化の歴史を説明する。 バージェス頁岩はカナダのブリティッシュ・コロンビア州東端ヨーホー国立公園内のロッキー山中にあり、無脊椎動物の化石群を擁する。頁岩の化石動物群は、5億7千万年前の多細胞生物の爆発…

『政治過程論』伊藤光利、真渕勝、田中愛治 その2

つづき 政治過程を考える上での、一通りの分野が網羅されている。興味のある事項はさらに専門的な本を読んで調べることができる。 3部 組織化 7 利益団体 今日の政治は、利益団体の存在を無視して考えることができない。 大別……セクター団体は経済的利益を…

『政治過程論』伊藤光利、真渕勝、田中愛治 その1

教科書 モデル、理論を利用して政治現象を実証的に研究し、さらにモデル等を発展させていく今日の政治過程論について教育するもの。各分野における研究について説明する。 1部 理論と概念 1 理論と方法 政治過程論は、政治家、政党、官僚、利益団体、市民…

『新版暗号技術入門 秘密の国のアリス』結城浩

暗号技術をわかりやすく紹介する入門書。特に情報技術の発展した現在では、暗号技術に対する理解が不可欠である。 暗号というと原始的なトンツーを思い出してしまうが、中心はコンピュータである。 *** 1部 暗号 1 暗号の世界ひとめぐり 暗号は、機密性、…

『田中清玄自伝』

何をしたのかよくわからない人物の自伝。本書だけを読んでも、客観的な経歴や成果を知ることはできないようだ。 1 自分の一生は次のとおりであると説明する。 ・コミンテルンと共産党の仕事で上海に渡る。 ・治安維持法で逮捕され1930年から1941年…