うちゅうてきなとりで

the cosmological fort 無職戦闘員による本メモ、創作、外国語の勉強その他

◆その他の本

『隷属への道』ハイエク その2

*** 経済活動を計画化することは、必然的に人間の全生活の規制と抑圧につながる。 ――……人びとは往々にして、政治的独裁を毛嫌いしつつも経済分野における独裁者を求めるのである。 ハイエクは、市場原理と競争が全てを解決すると考えているわけではない。 独…

『隷属への道』ハイエク その1

第2次大戦末期に書かれた、全体主義への道に警告をおこなう本。 ドイツを例にあげ、善意と情熱が社会主義をつくり、必然的に全体主義にいたることを示す。アメリカ、イギリスも、敵であるドイツと同じく社会主義的、全体主義的な傾向を帯びつつあることを指…

『オウムと私』林郁夫

著者はオウム信者であり、地下鉄サリン事件その他の犯罪に関与したため無期懲役の判決を受けた。 本書では、生い立ちから、医者として働く生活、オウムへの入信、犯罪への加担までが書かれる。 全編にわたって、オウムの細かい教義や、ワーク(修行)の説明…

『白熱講義! 日本国憲法改正』小林節

憲法の役割を改めて説明し、特に9条、二院制、人権条項について部分的な改正の必要性を主張する本。 憲法に対する評価や改正方針は論者によって様々である。著者は憲法調査会で集団的自衛権解釈を否定した学者の一人であり、テレビ等への出演が多い。 近年…

『ぼくはアメリカを学んだ』鎌田遵

岩波新書『ネイティブ・アメリカン』の著者が、自身のアメリカ生活について書いた本。 ◆感想 著者は、留学資金は持っていたかもしれないが、一般的な学歴からは外れた人物である。放浪と異国生活を通して、生きる上で何が重要かを考えた。それは非常に参考に…

『公安警察スパイ養成所』島袋修

昭和49年から59年にかけての、かなり古い時代の公安警察に関する暴露本。 石垣島出身の沖縄県人であるということで、米軍、日本政府と県民の間に軋轢が存在する点が特殊である。 ◆メモ 現在でもなお共産党対策に莫大な予算と人員が使われているのは、果…

『永遠平和のために』カント

カントは、永遠平和の達成のためにどのような具体的な策が必要かを考えた。 1章 国家間の永遠平和のための予備条項 1「将来の戦争の種をひそかに保留して締結された平和条約は、決して平和条約とみなされてはならない」 2「独立しているいかなる国家も、…

『エネルギー問題入門』リチャード・ムラー その2

3 代替エネルギー 太陽、水力、風力、原子力等、それぞれに強力な信奉者がついておりまともな議論は容易ではない。 太陽エネルギーは急速に発展しているが、かぎとなるのは導入コストや維持費、効率である。運用に人件費がかかることから、途上国で発達する…

『エネルギー問題入門』リチャード・ムラー その1

エネルギーに関する正確な知識を得ることにより、正しいエネルギー政策を導くことが重要である。 エネルギーは軍事経済の両面において国家の安全保障の中核に位置する。 また、エネルギーに関する定説や報道は、しばしば実態とかけはなれていることが多いた…

『続・突破者』宮崎学

『突破者』を出版した後の著者の活動について自ら回想する本。 宮崎学は、現代日本をとりまく抽象的な正義を否定する。それは清潔な市民による正義であり、社会から不潔なものを全て抹消しようとする世界観である。 平沼騏一郎が司法官僚の時代、かれは被差…

『誘拐』本田靖春

小原保(こはら たもつ)による村越吉展誘拐殺人について書かれた本。 事件の状況、警察による捜索と取り調べ、被害者と犯人の生い立ちなどを検討していく。文章は落ち着いているが、事件を通して浮かび上がる世の中の特性が細かく書かれている。 犯人の生い…

『全貌ウィキリークス』 その2

6 アメリカ外交公電が公開され、一般には秘匿されていた各国の政治的方針、取引、また米外務省職員による各国首脳の悪口等が曝露された。 また、ヒラリー・クリントンが国連や経済会議の場で盗聴、身辺調査をするよう指令を出していたことも明らかになった…

『全貌ウィキリークス』 その1

内部告発サイトであるウィキリークスと、その創設者ジュリアン・アサンジについての本。 ウィキリークスはサイバー空間におけるセキュリティに対しても影響を与えた。 *** ジュリアン・アサンジの方針 本書から読み取れるのは、アサンジが技術者であるととも…

『暴露:スノーデンが私に託したファイル』グレン・グリーンウォルド その2

――しかし、社会の自由を計るほんとうの尺度は、その社会が反対派やマイノリティをどう扱っているかということにあるのであって、「善良な」信奉者をどう扱っているのかということにあるのではない。……人はただ国家の監視に怯えたくないからといって、権力者…

『暴露:スノーデンが私に託したファイル』グレン・グリーンウォルド その1

元NSA(合衆国国家安全保障局)職員のスノーデンが、NSAによる違法な国民監視活動を告発する。 現行憲法は国民のプライバシーを保障しているが、NSAはこれに違反した行為を秘密裏に実施していた。 建前上は、外国諜報活動監視裁判所の許可を得た対…

『ルポ 貧困大国アメリカ2』堤未果

オバマが大統領となった時期に出た本。 読んだ印象では前作以上に感情的な本で、アメリカの悲惨な実態が列挙される。 全く知らなかった問題もあるので参考にはなる。 1 公教育 アメリカにおける大学の学費は70年代から上昇していき、現在は大半の学生がロ…

『捜査心理学』渡辺昭一

警察庁の付属機関である科学警察研究所犯罪行動科学部の成果をまとめた本。捜査心理学、行動科学の基礎的な入門書だという。 *** 序章 犯罪捜査は、情報収集、捜査推論、捜査活動実施からなる。犯罪捜査を支援するために、近年、捜査心理学の重要性は高まっ…

『ルポ 貧困大国アメリカ』堤未果

米国の貧困状況や社会問題を紹介する本(2008年)。 見習うべきでない政策・事例が多数ある。 サブプライムローンは、低所得者層に高利率で住宅ローンを貸し付けるビジネスである。当時、このローンを十分な知識がないまま契約させられ、破綻する移民や…

『「仮想通貨」の衝撃』カストロノヴァ その2

4 貨幣とは物につけられるラベルである。貨幣の機能は、交換の媒介、価値の尺度、価値の貯蔵である。価値は人びとの主観的な判断によって生まれる。 著者は、従来の貨幣の3つの機能に加えて、オンラインゲームにおける仮想通貨の隆盛を踏まえ、「喜びを提…

『「仮想通貨」の衝撃』カストロノヴァ その1

原題は「Wildcat currency」で、19世紀のアメリカにおける、民間の貨幣発行銀行を意味する。銀行は、ヤマネコしか住んでいないような僻地に設置され、金を担保に貨幣を製造し、容易に換金されないようにし流通を図った。 *** 貨幣の問題とは、「取引をする…

『個人と国家』樋口陽一

人権主体としての個人と、主権の担い手としての国家とを考える本。 個人の自由に対する保障をより強化していこうという考えが貫かれている。 個別の事例にあれこれコメントする形式をとっており、漫談に近い。しかし、憲法とは何か、立憲主義とは何か、国家…

『ダーウィンの危険な思想』デネット その4

16 道徳と進化の関わりについて考える。 道徳の起源を論じた学者として、ホッブズ、ニーチェに言及する。 ニーチェはダーウィンの影響を受けているが、同時代の社会ダーウィニズムについては厳しく批判した。 ニーチェは、道徳が成立することによって、そ…

『ダーウィンの危険な思想』デネット その3

10 ダーウィン主義に対して大きな影響を及ぼした、批判者の1人であるグールドについて。 スティーヴン・グールドは、進化論を普及させる上では素晴らしい業績を残した。しかし、彼の説は進化論に「スカイフック」(何者かが進化を今あるように導いたとす…

『ダーウィンの危険な思想』デネット その2

6 現在の生命の形は、DNA配列により可能な無数の形の中のごく一部に過ぎない。それらは、盲目的で無作為な過程によってつくられた生物学的秩序である。 種は非行為者であり、自然淘汰が様々な問題を解決していく。デザインは知性を必要とするが、それは…

『ダーウィンの危険な思想』デネット その1

ダーウィンの持つ重要性をわかりやすく説明するための本。 具体的には、ダーウィン革命が既存の世界観をどのように変えてしまうのか、ダーウィン思想が、その反論に対し、いかに耐えてきたか、ダーウィン思想がヒトにも適用されうることを説明する。 *** 1…

『思考する言語』スティーブン・ピンカー その2

4 わたしたちの認識の基礎をなす空間、時間、因果性について。 わたしたちは、空間、時間、因果性によって世界を認識する。それは世界そのものとは一致しないが、わたしたちはこの心を通じて世界を認識する。 著者は、物質、空間、時間、因果というカントの…

『思考する言語』スティーブン・ピンカー その1

本書は、言語における意味について考える。 人間が自分の思考や感覚をどのように言葉にするかを検討し、人間の性質について探ろうというものである。 特に、具体的な言語の使用例や、日常生活に即して言語における意味について考えようとする方法に特徴があ…

『立憲主義について』佐藤幸治

立憲主義の成立過程と現状を明らかにする本。 特に重要となる現代立憲主義は次のようなものをいう。 ――主権者である人民が憲法制定権力者として、人権の保障と権力分立ないし抑制・均衡の統治構造を定める憲法典を制定して政府を創設し、立法権を含む政治権…

『獄中記』佐藤優

逮捕された元外務省職員の本。大量の本を出しており粗製乱造の感もあるが、本書は獄中での読書やメモをまとめた割と初期のものである。 もし独房に入れられたり軟禁されたりしたら、とりあえず外国語勉強に専念しようという感想を持った。 著者によれば、政…

『The Image』Daniel J. Boorstin その2

3 旅行者から観光者へ 観光業の発展によって、かつては人生の一大イベントであり、限られた人びとしか経験できなかった海外旅行が、誰でも手に入る商品となった。 旅行は陳腐化し、冒険や計画、リスク等の要素は薄れていった。 美術館、国内旅行、ホテル、…