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うちゅうてきなとりで

the cosmological fort 無職戦闘員による本メモ、創作、外国語の勉強その他

◆その他の本

『全貌ウィキリークス』 その2

6 アメリカ外交公電が公開され、一般には秘匿されていた各国の政治的方針、取引、また米外務省職員による各国首脳の悪口等が曝露された。 また、ヒラリー・クリントンが国連や経済会議の場で盗聴、身辺調査をするよう指令を出していたことも明らかになった…

『全貌ウィキリークス』 その1

内部告発サイトであるウィキリークスと、その創設者ジュリアン・アサンジについての本。 ウィキリークスはサイバー空間におけるセキュリティに対しても影響を与えた。 *** ジュリアン・アサンジの方針 本書から読み取れるのは、アサンジが技術者であるととも…

『暴露:スノーデンが私に託したファイル』グレン・グリーンウォルド その2

――しかし、社会の自由を計るほんとうの尺度は、その社会が反対派やマイノリティをどう扱っているかということにあるのであって、「善良な」信奉者をどう扱っているのかということにあるのではない。……人はただ国家の監視に怯えたくないからといって、権力者…

『暴露:スノーデンが私に託したファイル』グレン・グリーンウォルド その1

元NSA(合衆国国家安全保障局)職員のスノーデンが、NSAによる違法な国民監視活動を告発する。 現行憲法は国民のプライバシーを保障しているが、NSAはこれに違反した行為を秘密裏に実施していた。 建前上は、外国諜報活動監視裁判所の許可を得た対…

『ルポ 貧困大国アメリカ2』堤未果

オバマが大統領となった時期に出た本。 読んだ印象では前作以上に感情的な本で、アメリカの悲惨な実態が列挙される。 全く知らなかった問題もあるので参考にはなる。 1 公教育 アメリカにおける大学の学費は70年代から上昇していき、現在は大半の学生がロ…

『捜査心理学』渡辺昭一

警察庁の付属機関である科学警察研究所犯罪行動科学部の成果をまとめた本。捜査心理学、行動科学の基礎的な入門書だという。 *** 序章 犯罪捜査は、情報収集、捜査推論、捜査活動実施からなる。犯罪捜査を支援するために、近年、捜査心理学の重要性は高まっ…

『ルポ 貧困大国アメリカ』堤未果

米国の貧困状況や社会問題を紹介する本(2008年)。 見習うべきでない政策・事例が多数ある。 サブプライムローンは、低所得者層に高利率で住宅ローンを貸し付けるビジネスである。当時、このローンを十分な知識がないまま契約させられ、破綻する移民や…

『「仮想通貨」の衝撃』カストロノヴァ その2

4 貨幣とは物につけられるラベルである。貨幣の機能は、交換の媒介、価値の尺度、価値の貯蔵である。価値は人びとの主観的な判断によって生まれる。 著者は、従来の貨幣の3つの機能に加えて、オンラインゲームにおける仮想通貨の隆盛を踏まえ、「喜びを提…

『「仮想通貨」の衝撃』カストロノヴァ その1

原題は「Wildcat currency」で、19世紀のアメリカにおける、民間の貨幣発行銀行を意味する。銀行は、ヤマネコしか住んでいないような僻地に設置され、金を担保に貨幣を製造し、容易に換金されないようにし流通を図った。 *** 貨幣の問題とは、「取引をする…

『個人と国家』樋口陽一

人権主体としての個人と、主権の担い手としての国家とを考える本。 個人の自由に対する保障をより強化していこうという考えが貫かれている。 個別の事例にあれこれコメントする形式をとっており、漫談に近い。しかし、憲法とは何か、立憲主義とは何か、国家…

『ダーウィンの危険な思想』デネット その4

16 道徳と進化の関わりについて考える。 道徳の起源を論じた学者として、ホッブズ、ニーチェに言及する。 ニーチェはダーウィンの影響を受けているが、同時代の社会ダーウィニズムについては厳しく批判した。 ニーチェは、道徳が成立することによって、そ…

『ダーウィンの危険な思想』デネット その3

10 ダーウィン主義に対して大きな影響を及ぼした、批判者の1人であるグールドについて。 スティーヴン・グールドは、進化論を普及させる上では素晴らしい業績を残した。しかし、彼の説は進化論に「スカイフック」(何者かが進化を今あるように導いたとす…

『ダーウィンの危険な思想』デネット その2

6 現在の生命の形は、DNA配列により可能な無数の形の中のごく一部に過ぎない。それらは、盲目的で無作為な過程によってつくられた生物学的秩序である。 種は非行為者であり、自然淘汰が様々な問題を解決していく。デザインは知性を必要とするが、それは…

『ダーウィンの危険な思想』デネット その1

ダーウィンの持つ重要性をわかりやすく説明するための本。 具体的には、ダーウィン革命が既存の世界観をどのように変えてしまうのか、ダーウィン思想が、その反論に対し、いかに耐えてきたか、ダーウィン思想がヒトにも適用されうることを説明する。 *** 1…

『思考する言語』スティーブン・ピンカー その2

4 わたしたちの認識の基礎をなす空間、時間、因果性について。 わたしたちは、空間、時間、因果性によって世界を認識する。それは世界そのものとは一致しないが、わたしたちはこの心を通じて世界を認識する。 著者は、物質、空間、時間、因果というカントの…

『思考する言語』スティーブン・ピンカー その1

本書は、言語における意味について考える。 人間が自分の思考や感覚をどのように言葉にするかを検討し、人間の性質について探ろうというものである。 特に、具体的な言語の使用例や、日常生活に即して言語における意味について考えようとする方法に特徴があ…

『立憲主義について』佐藤幸治

立憲主義の成立過程と現状を明らかにする本。 特に重要となる現代立憲主義は次のようなものをいう。 ――主権者である人民が憲法制定権力者として、人権の保障と権力分立ないし抑制・均衡の統治構造を定める憲法典を制定して政府を創設し、立法権を含む政治権…

『獄中記』佐藤優

逮捕された元外務省職員の本。大量の本を出しており粗製乱造の感もあるが、本書は獄中での読書やメモをまとめた割と初期のものである。 もし独房に入れられたり軟禁されたりしたら、とりあえず外国語勉強に専念しようという感想を持った。 著者によれば、政…

『The Image』Daniel J. Boorstin その2

3 旅行者から観光者へ 観光業の発展によって、かつては人生の一大イベントであり、限られた人びとしか経験できなかった海外旅行が、誰でも手に入る商品となった。 旅行は陳腐化し、冒険や計画、リスク等の要素は薄れていった。 美術館、国内旅行、ホテル、…

『The Image』Daniel J. Boorstin その1

1960年代に書かれたアメリカのメディアと国民の性質に関する本。メディア論の古典で、現代にも通じる指摘事項が含まれている。 著者いわく、アメリカ人は「過度の期待」に支配されている。 かれらは世界や人生、自己にあまりに多くを期待しすぎて、自分…

『三島瑞穂の自衛隊へのアドバイス』

元米陸軍の日系アメリカ人が書いた本。この人物の著作は、ほかに自身の体験を元にした『地上最強のアメリカ陸軍特殊部隊』を読んだことがある。 グリーンベレーとしてベトナム戦争に従軍しており、価値観や経験は、当然、日本人とは異質である。 海外に派遣…

『飛行船の歴史と技術』牧野光雄

日本語では数少ない飛行船関連書籍だという。 1 序論 現在航空機のほとんどは翼の揚力を利用する。一方、空気より軽い気体を使う気球や飛行船は軽航空機Lighter Than Air aircraft略してLTAと分類される。 飛行船は軍事利用できず衰退したが、その欠点は…

『ヤクザと原発』鈴木智彦

暴力団ライターが原発作業員として現場に潜入する手記。 ヤクザと原発事業との関係を体系的に説明するのではなく、潜入手記・メモの形をとっている。 原発事業は東電を頂点としてプラントメーカー(東芝、日立等)、その下に下請けピラミッドが構成されてい…

『Urban Warfare in Iraq 2003-2006』J.Stevens

イラク戦争における市街戦について簡単に解説する本。 白黒の写真とイラストがついており、市街戦の基礎的な事項が理解できる。1つ1つの項目における説明はあっさりしているが、全体の印象としてはおぞましいゲリラ戦、近接戦闘の風景が浮かび上がる。 ***…

『お寺の収支報告書』橋本英樹

――本書は、仏教界を堕落させているお金や制度の問題について、内側を知る立場から隠すことなく述べ、みなさんといっしょになって考えていただくために書かれました。 現役僧侶が住職の堕落を嘆く本であり、笑える箇所が多々ある。 時代に合わない制度や強欲…

『福島第一原発 真相と展望』アーニー・ガンダーセン

元原発技術者が福島第一原発の状況について説明する本。 著者は大学で原子力工学を学び原子炉設計に携わっていたが、炉の欠陥を訴える内部告発をきっかけに追放され、以後、原発廃止論者となった。 インタビューを並べたもので構成は漫然としているが、原子…

『Rationalism in Politics and Other Essays』Michael Oakeshott その6

◆保守的であること 保守的であることとは、今あるものに満足し、未来のより良き善を求めず、失われた過去を偶像化しない傾向を指す。保守主義は身近なものを信じる。また、変化と革新を好まず、現状維持をよしとする。例え改善が行われる場合でも、それは漸…

『Rationalism in Politics and Other Essays』Michael Oakeshott その5

4 現代政治についての考察 ◆代議制民主主義における大衆 大衆の起源について考える。個人という概念が生まれたのは、14、15世紀のヨーロッパである。人間が共同体の一部にすぎず、個人という意識を持たなかった時代が変わり、自律し、自らの行動と選択…

『Rationalism in Politics and Other Essays』Michael Oakeshott その4

3 ホッブズについて ◆リヴァイアサンについて ホッブズは政治哲学の古典を生み出した。ヨーロッパの思想における3つの伝統とは、理性と自然、意志と人為、合理的意志である。それぞれ、プラトン『国家』、ホッブズ『リヴァイアサン』、ヘーゲル『歴史哲学…

『Rationalism in Politics and Other Essays』Michael Oakeshott その3

2 合理主義の解剖 ◆合理的行為 混乱を呼ぶ「合理的」という語を、特に行為との関連から検討し、その起源や経緯について考える。本章では、合理的行為を望ましいもの、知的な行為として解釈する。 合理主義とは:人間の脳には理性が備わっており、この理性の…

『Rationalism in Politics and Other Essays』Michael Oakeshott その2

◆政治教育 政治は、イデオロギーや原理を原動力とする、組織への参加である。理想や原理原則がなければ、わたしたちの政治的行為は気まぐれな反応に過ぎなくなる。原理原則を持たない人間は政治を担う資格がない。 政治的行為の基礎をなすイデオロギーは、ゼ…

『Rationalism in Politics and Other Essays』Michael Oakeshott その1

イギリスの政治学者オークショットの代表的なエッセイを集めたもの。 近代以降の政治思想を、合理主義という観点から見直す。 伝統や慣習の価値を再検討し、フランス革命やロシア革命のような政治を否定する。オークショットの保守主義は、地道な改善、修正…

『労働法入門』水町勇一郎

各国の労働法は、その国の労働観、宗教観に深く影響されている。 日本の労働法は欧州の考え方と、日本の伝統的な思考とが混ざったものであり、本書はその本質と特徴を明らかにするものである。 労働法の成り立ちから、労働法の枠組み、日本における運用と問…

『憲法』芦部信喜 その2

10 経済的自由権 職業選択の自由、居住・移転の自由、財産権を総称していう。精神的自由に比べてより多くの、広範にわたる規制を受ける。 規制が合憲であるかどうかは、「合理性」を基準に審査される。 財産権はフランス人権宣言においては神聖かつ不可侵…

『憲法』芦部信喜 その1

◆感想 憲法には理想・理念が詰め込まれている。しかし、実際にどう運用されているかが問題である。 理念はそれだけでは国家権力を服従させることができない。人力によって目的を達成することが必要である。 平和主義、特に9条については、自衛隊創設時から…

『私にとってオウムとは何だったのか』早川紀代秀

オウム信徒の死刑囚が自分の半生について書いた本。 「正しいことをせよ」という意識の強い一般人が、どのようにしてオウムに入会し、犯罪行為に加担したかが書かれている。 著者は若い時、宗教的なものには違和感を覚えたが、ハルマゲドンやノストラダムス…

『司法官僚』新藤宗幸

日本の司法の問題は消極的である点である。 本来、司法は市民にとって「簡便」な政治や社会を変えていく制度である。しかし現状では、裁判所が守ろうとしているのが政治行政のしくみなのか、裁判所の権威なのか、裁判官のキャリアなのかは不明である。 裁判…

『ワヤンを楽しむ』松本亮

ワヤンはインドネシアの伝統芸能であり村や町で人を集めて開催される。マハーバーラタやラーマーヤナを基にした劇が半日かけて、または夜を徹して行われるため、観客は好きな時に昼寝したり歓談したりする。ガムラン演奏者もうとうとしていることがよくある…

『裁判員の教科書』橋爪大三郎

目的……裁判員を務めるための教科書である。 著者は裁判員制度の問題点を認めつつも、国民による法システムの自己統治を可能とする制度として肯定する立場である。 1 ルール 裁判員裁判は刑事裁判を対象とする。犯罪を裁く法律は刑法の他に「破壊活動防止法…

『検察の正義』郷原信郎

検察官として勤務した経験をもとに、検察の構造、問題点等を説明する。 1 著者は東大理学部を出て三井金属鉱山に入社したのち、官僚的な雰囲気に幻滅し退社、2年かけて司法試験に合格し検事となった。 検察の特殊部として公安部と特捜部があり、著者は数年…

『神は妄想である』ドーキンス その2

6 道徳の起源は宗教であるといわれるがドーキンスはこれを否定し、道徳は宗教に先行すると主張する。 『利己的な遺伝子』の誤解から、ダーウィン主義は道徳と相容れないと考えられている。利己的なのは遺伝子であって、個体や種ではない。 個人がお互いに利…

『神は妄想である』ドーキンス その1

『利己的な遺伝子』の著者による、書名だけで論争を招きそうな本。 宗教の害を論じ、無神論者であることを正々堂々と主張することを目的とする。宗教が無くとも道徳は成り立つというのがドーキンスの考えである。 特に、宗教的な色彩の強いアメリカ合衆国を…

『言語を生みだす本能』スティーヴン・ピンカー その2

7 ――……人間の音声知覚はピラミッドの下から上へ働くだけでなく、上から下へも働いているといえそうである。……音韻ルール、統語ルール、この世では誰が誰になにをする傾向があるかというステレオタイプな認識、相手がそのときなにをいいそうかという勘にいあ…

『言語を生みだす本能』スティーブン・ピンカー その1

言語を習得する本能について説明する本。著者は特に言語学等の一般向け書籍を多く書いており、本書も文章、構成ともに明快で読みやすい。 1 ヒトの最大の特徴は言語能力である。従来の説や先入見と異なり、著者は、言語は人間の本能に基づく能力であり、文…

『新しいウイルス入門』武村政春

ウイルスは生物とはみなされていないが、ではいったい何なのか。 *** 1 生物に限りなく近い物質 ウイルスは生物に限りなく近い物質である。生物学では細胞を持つものが生物であると定めているが、ウイルスは細胞を持たない。 形……核酸がタンパク質の殻で囲…

『日本の象徴詩人』窪田般弥

ヨーロッパの象徴主義運動を解説した後、日本における受容や、日本の象徴詩について考える本。前提となる知識が足りないので、読みにくかった。 エドマンド・ウィルソンによれば、「フランスの象徴主義の運動は、ロマン主義者が手をつけずにいた韻律の諸法則…

『ニコマコス倫理学』アリストテレス その2

つづき 徳のある情念及び行為とは、それらが随意的(アクシオン)である場合に限る。すなわち、自覚的になされたものであるということ。 ――……大いなるうるわしきことがらに対する代償として何らか醜悪な苦痛的なるものに耐えるのであれば、ときとしては、こ…

『ニコマコス倫理学』アリストテレス その1

第2巻より……この本は、われわれが善き人となるためのものであり、純粋な研究ではない。 何をなすべきか、なさないべきかを知らなければ、人間は自然に悪い方向に流れていく。そういう人間は自分の生活がうまくいかず惨めな状態に陥ることになる。 ◆メモ 古…

『シュルレアリスムとは何か』巖谷國士

シュルレアリスム、メルヘン、ユートピアについての講演。それぞれの様式が、どのような意図で作られているのかを考える。 1 シュルレアリスムの定義について、誤った解釈が広まっている。シュルレアリスムは写実性、客観性を重視する。 シュルレアル=超現…

『ワンダフル・ライフ』スティーヴン・ジェイ・グールド

1章 バージェス頁岩の研究を通して、生物進化の歴史を説明する。 バージェス頁岩はカナダのブリティッシュ・コロンビア州東端ヨーホー国立公園内のロッキー山中にあり、無脊椎動物の化石群を擁する。頁岩の化石動物群は、5億7千万年前の多細胞生物の爆発…