うちゅうてきなとりで

The Cosmological Fort 無職戦闘員による本メモ、創作、外国語の勉強その他

◆その他の本

『私は負けない』村木厚子ほか

◆概要 障害者団体用郵便料金制度の悪用に絡む、大阪地検による冤罪事件とその後の証拠改ざん事件に関して、当事者となった厚労省官僚が回想・説明する本。 村木氏は大阪地検の見立てによって首謀者に仕立て上げられ、虚偽の自白を迫られた。 本書は、検察に…

『Cybersecurity and Cyberwar』P.W.Singer, Allan Friedman その2

◆サイバー戦争の実際 ・ネットワーク中心の戦争Network Centric War……戦争におけるネットワークとコンピュータの比重の増大 ・サイバー攻撃によって、物理的な破壊と死をもたらすのは簡単ではない。しかし、いずれそういう事態は起こるだろう。 ◆米軍とサイ…

『Cybersecurity and Cyberwar』P.W.Singer, Allan Friedman その1

サイバーセキュリティとサイバー戦争について、初心者や専門外の人間にも理解できるよう書かれた本。 著者は軍事関係の話題を扱う解説書で有名である(『戦争請負会社』や、無人機、少年兵等)。 *** サイバーセキュリティの重要性は高まりつつあるが、専門…

『世界の名著 モンテスキュー』その3

11 国家構造との関係において政治的自由を構成する法 国家における政治的自由とは、法の許すすべてをなしえる権利である。 専制には自由は存在せず、穏和政体にのみ存在する。 国家には立法権、万民法執行権、私法執行権の三権が存在する。これを言い換え…

『世界の名著 モンテスキュー』その2

「法の精神」 1748年に出版され、政治における権力分立の重要性を唱え、後の政治思想に影響を与えた本。 1 法について 法とは事物の本性に由来する必然的関係である。物理的な法と同じく、正義の法や衡平の法も、人間以前に存在する。 例えば、社会の掟…

『世界の名著 モンテスキュー』 その1

◆メモと感想 政治や社会に関するモンテスキューの意見は、現代にも受け継がれている。一方、いまの基準では偏見や間違いととらえられる文言もある。 ・モンテスキューは政治体制を専制、君主制、共和制に分類する。共和制は、さらに貴族制と民主制に細分化さ…

『テイクダウン』下村努、ジョン・マーコフ

サンディエゴのスーパーコンピュータ・センターで働くコンピュータ科学者の下村(Tsutomu Shimomura)は、自宅のPCを悪名高いハッカー、ケヴィン・ミトニックに乗っ取られたことに気が付く。 下村は弟子のアンドリューや、コンピュータ業界の友人たちとと…

『日本の社会保障』広井良典

社会保障を考える上で、年金、医療費といった個別に分けて論じるのではなく、そもそも国家が負担すべき国民のリスクとは何かを検討し、その後、あるべき社会保障の姿を検討する。 制度自体が複雑でわかりにくいため、この本も自分のような素人には読みにくい…

『インテリジェンスの基礎理論』小林良樹 その2

インフォメーションの分析に関して、以下のような問題が生じる。 ・インテリジェンスの政治化(政治に従属し、または政治を操作するために、収集分析が曲げられること) ・ミラー・イメージング(自分がこうだから相手もこうだろう) ・クライアンディズム(…

『インテリジェンスの基礎理論』小林良樹 その1

安全保障政策に直結するインテリジェンスについて体系的に学ぶことを目的とする本。 書名のとおり、基礎事項が網羅されている。個別の事例や、歴史的な変遷については最低限の記述である。 ◆所見 インテリジェンスのプロセス、すなわち情報収集と分析は、国…

『社会変動の中の福祉国家』富永健一

本書の主張…… ・福祉国家の新しい定義は、解体しつつある家族を国家が支える制度、というものである。 ・かつて福祉の中心的な担い手であった家族も地域社会も、それができなくなったため国家が引き受けなければならなくなった。 本書の焦点は、高齢化=介護…

『パンセ』パスカル

パスカルの残した護教論・エッセイで、広く知られた格言(クレオパトラの鼻云々)が含まれる。 難しい用語が使われているわけではないが、一読して意味がわかりにくい箇所が多い。 わたしが本当に理解できたのはごく一部にすぎない。 特にキリスト教の教義に…

『職業としての政治』ヴェーバー その2

政党の変化について。 イギリス、アメリカを例に政党の変容を説明するが、1918年当時の説明であるため、理解しにくい。 ・名望家たちの政党(名望家たちによる集団指導と、党内での官職任命) ・デマゴーグやカリスマを頂く大衆政党(行政の長となった大…

『職業としての政治』ヴェーバー その1

ドイツ敗戦と革命の最中である1918年に、ミュンヘンで行われた講演を記録したもの。ミュンヘンはドイツ革命の特に激しかった地域であり、ヴェーバーの講演も、革命勢力の台頭を念頭に置いた内容となっている。 ◆所見 特に、以下の点については今でも考察…

『太陽系はここまでわかった』コーフィールド

太陽系の各惑星を解説する本。天文学者や惑星探査機の働きに焦点をあてている。 地球の外に生命が存在するのかという疑問は、長年の間、天文学者や技術者たちの関心を集めてきた。 ◆メモ 探査機の無線通信システムについて、また、エウロパやタイタンといっ…

『法華経を読む』鎌田茂雄

法華経の各巻を解説する。聞いたことのある熟語や、たとえ話(増上慢)等も紹介されており、参考になる。 *** 法華経の成立・構成 1世紀にインドで成立後、5世紀、天台大師智顗が「法華経」に基づいて天台宗を成立させた。その後、伝教大師最澄によって日…

『隷属への道』ハイエク その2

*** 経済活動を計画化することは、必然的に人間の全生活の規制と抑圧につながる。 ――……人びとは往々にして、政治的独裁を毛嫌いしつつも経済分野における独裁者を求めるのである。 ハイエクは、市場原理と競争が全てを解決すると考えているわけではない。 独…

『隷属への道』ハイエク その1

第2次大戦末期に書かれた、全体主義への道に警告をおこなう本。 ドイツを例にあげ、善意と情熱が社会主義をつくり、必然的に全体主義にいたることを示す。アメリカ、イギリスも、敵であるドイツと同じく社会主義的、全体主義的な傾向を帯びつつあることを指…

『オウムと私』林郁夫

著者はオウム信者であり、地下鉄サリン事件その他の犯罪に関与したため無期懲役の判決を受けた。 本書では、生い立ちから、医者として働く生活、オウムへの入信、犯罪への加担までが書かれる。 全編にわたって、オウムの細かい教義や、ワーク(修行)の説明…

『白熱講義! 日本国憲法改正』小林節

憲法の役割を改めて説明し、特に9条、二院制、人権条項について部分的な改正の必要性を主張する本。 憲法に対する評価や改正方針は論者によって様々である。著者は憲法調査会で集団的自衛権解釈を否定した学者の一人であり、テレビ等への出演が多い。 近年…

『ぼくはアメリカを学んだ』鎌田遵

岩波新書『ネイティブ・アメリカン』の著者が、自身のアメリカ生活について書いた本。 ◆感想 著者は、留学資金は持っていたかもしれないが、一般的な学歴からは外れた人物である。放浪と異国生活を通して、生きる上で何が重要かを考えた。それは非常に参考に…

『公安警察スパイ養成所』島袋修

昭和49年から59年にかけての、かなり古い時代の公安警察に関する暴露本。 石垣島出身の沖縄県人であるということで、米軍、日本政府と県民の間に軋轢が存在する点が特殊である。 ◆メモ 現在でもなお共産党対策に莫大な予算と人員が使われているのは、果…

『永遠平和のために』カント

カントは、永遠平和の達成のためにどのような具体的な策が必要かを考えた。 1章 国家間の永遠平和のための予備条項 1「将来の戦争の種をひそかに保留して締結された平和条約は、決して平和条約とみなされてはならない」 2「独立しているいかなる国家も、…

『エネルギー問題入門』リチャード・ムラー その2

3 代替エネルギー 太陽、水力、風力、原子力等、それぞれに強力な信奉者がついておりまともな議論は容易ではない。 太陽エネルギーは急速に発展しているが、かぎとなるのは導入コストや維持費、効率である。運用に人件費がかかることから、途上国で発達する…

『エネルギー問題入門』リチャード・ムラー その1

エネルギーに関する正確な知識を得ることにより、正しいエネルギー政策を導くことが重要である。 エネルギーは軍事経済の両面において国家の安全保障の中核に位置する。 また、エネルギーに関する定説や報道は、しばしば実態とかけはなれていることが多いた…

『続・突破者』宮崎学

『突破者』を出版した後の著者の活動について自ら回想する本。 宮崎学は、現代日本をとりまく抽象的な正義を否定する。それは清潔な市民による正義であり、社会から不潔なものを全て抹消しようとする世界観である。 平沼騏一郎が司法官僚の時代、かれは被差…

『誘拐』本田靖春

小原保(こはら たもつ)による村越吉展誘拐殺人について書かれた本。 事件の状況、警察による捜索と取り調べ、被害者と犯人の生い立ちなどを検討していく。文章は落ち着いているが、事件を通して浮かび上がる世の中の特性が細かく書かれている。 犯人の生い…

『全貌ウィキリークス』 その2

6 アメリカ外交公電が公開され、一般には秘匿されていた各国の政治的方針、取引、また米外務省職員による各国首脳の悪口等が曝露された。 また、ヒラリー・クリントンが国連や経済会議の場で盗聴、身辺調査をするよう指令を出していたことも明らかになった…

『全貌ウィキリークス』 その1

内部告発サイトであるウィキリークスと、その創設者ジュリアン・アサンジについての本。 ウィキリークスはサイバー空間におけるセキュリティに対しても影響を与えた。 *** ジュリアン・アサンジの方針 本書から読み取れるのは、アサンジが技術者であるととも…

『暴露:スノーデンが私に託したファイル』グレン・グリーンウォルド その2

――しかし、社会の自由を計るほんとうの尺度は、その社会が反対派やマイノリティをどう扱っているかということにあるのであって、「善良な」信奉者をどう扱っているのかということにあるのではない。……人はただ国家の監視に怯えたくないからといって、権力者…