うちゅうてきなとりで

The Cosmological Fort 無職戦闘員による本メモ、創作、外国語の勉強その他

2015-05-29から1日間の記事一覧

蜂の影(2012)

端子の島にむけて、ある日、虫と動物の影が投げ込まれた 狭い土壁の家を出て、共同の墓地をすり抜けた かれらは、その中でも、わたしと昔から住んでいる老人は 黒土の上に残された石の幕舎に向かった。 不穏な熱と磁力を帯びた影がレリーフに映りこむと、か…

『裸者と死者』ノーマン・メイラー

太平洋戦争における米軍と日本軍との戦闘を題材に、軍隊組織の性質について考える小説。 アノポペイ島に上陸する前夜、夜明け前の輸送船から話ははじまる。主人公はレッドという北欧人で、長身痩躯である。彼と敵対するのが脳みそも筋肉でできている好戦的な…

『セクサス』ヘンリー・ミラー その2

ユートピア的政治組織はいつも人間を自由にすると約束する。 ウルリック曰く芸術家はよろこびを手に入れるために食事や金を抑制する。いったい金持ちが貧乏人のように食事を楽しむだろうか? 芸術家はふだんは働かないがもっともゆたかである……そしてミラー…

『セクサス』ヘンリー・ミラー その1

『薔薇色の十字架三部作』の一作目。 彼はマーラに「なぜ本を書かないのか」と言われる。 ――大人は、おのれのまちがった生活によって鬱積した毒物をはき出すために書くのである……だが彼が(書くことによって)なしうるのは、せいぜい自己幻滅のヴィールスを…

銀の水とところ(2012)

あるとき、ちょうど、湿地のとぎれるところ ゴム靴の裏から、冷たい対応の人たち 窓とのりしろの それからかれらは抜けた 自分たちの色と紙のついた像が足から はるか水平線まで延びている なんと間抜けな引き延ばされた かれらのにせのすがた。 銀色のみず…