うちゅうてきなとりで

The Cosmological Fort 無職戦闘員による本メモ、創作、外国語の勉強その他

2015-05-11から1日間の記事一覧

『想像の共同体』ベネディクト・アンダーソン その4

Ⅸ 歴史の天使 社会主義国同士の戦争に話題を戻す。革命もナショナリズムも、資本主義とマルクス主義と同様、「特許権の設定できない発明品」なのである。カンボジアが革命モジュールの移転された極端な例ならば、ヴェトナムはナショナリズム・モジュールの移…

『想像の共同体』ベネディクト・アンダーソン その3

Ⅵ 公定ナショナリズムと帝国主義 オーストリア=ハンガリーのヨーゼフ二世はドイツ語を国家語に選んだが、これはドイツ語話者と他言語、とくにハンガリー語話者とのあいだに軋轢を生んだ。同じことがオスマン朝のトルコ語でおこった。 国籍のなかったハノー…

『想像の共同体』ベネディクト・アンダーソン その2

Ⅲ 国民意識の起源 国民意識の発生の土壌となったのは、出版物と、資本主義である。 フェーヴルによれば一六〇〇年までに、既に二億冊の本が出版され、フランシス・ベーコンはこれが世界の姿と状態を変えてしまったと嘆いた。ラテン語市場は一五〇年で飽和し…

『想像の共同体』ベネディクト・アンダーソン その1

国民国家論の有名な本。日本語が読みにくい。 Ⅰ 序 インドシナ戦争をみて、マルクス主義諸国もまた、国家という概念のもとに成り立っていることを指摘する。 「ナショナリズムはマルクス主義理論にとって厄介な変則であり続けてきた」。 ナショナリズムのパ…