うちゅうてきなとりで

The Cosmological Fort 無職戦闘員による本メモ、創作、外国語の勉強その他

2015-02-02から1日間の記事一覧

『機械発達史』中山秀太郎

技術の発展とともに人類の生活は改善されてきたが、弊害もまたおこった。技術の歴史を振り返ることによって、人類と技術との関係、文明とはなにかを考え直すべきである。 *** 古代、てこ、滑車、斜面、ねじ、輪軸が発明されたが、これを単一機械といい、いま…

『ハザール事典』ミロラド・パヴィチ

――二度目の人生は、別のある修道院の僧に挑んでチェスに明け暮れたが、但しチェス盤も駒も使用しなかった。対局は一手ごとに一年をかけ、黒海からカスピ海に拡がる広大な空間を使った。駒には動物を用い、対局者は交互にその動物めがけて鷹を放ち…… 牝牛亭は…

『バルバロッサ作戦』パウル・カレル

1941年6月22日からはじまった独ソ戦の歴史を書く。文庫本3巻からなる大著で、著者の戦記はほかに『彼らは来た』を読んだことがあるのみだ。 *** 上巻 フランス侵攻において、ヒトラーは地形的に不利なアルデンヌ地方を抜け、マジノ線を突破した。 ――…

『兵士イワン・チョンキンの華麗なる冒険』ヴォイノーヴィチ

間抜けで朴訥な兵隊イワン・チョンキンが、ソヴィエトの巨大な官僚組織……軍隊、秘密警察、新聞、学界を混乱におとしいれる物語。墜落機の見張りのために村に派遣される前半部は退屈だが、秘密警察がチョンキンに目をつけ、逮捕状をもってやってくるあたりか…

『ハムレットもしくはヘカベ』カール・シュミット

ハムレットはヨーロッパが数世紀をかけて解釈にとりくんできた作品であり、その奥行きはとてつもなく広い。従来の心理主義的解釈や、文献学的成果をふまえつつ、シュミットは作品がつくられた当時の時代状況と照らし合わせて、「ハムレット」内のなぞにせま…