うちゅうてきなとりで

The Cosmological Fort 無職戦闘員による本メモ、創作、外国語の勉強その他

2015-01-27から1日間の記事一覧

『ナチズム』村瀬興雄

――本書はヒトラーとナチズムについての概説ではない。ヒトラーの青年期、初期ナチズムと末期ナチズムをとらえて、ヒトラーの本質やナチズムの基礎をさぐろうとしたものである。 ワイマール共和国下では各王侯国が独自の憲法をもち、プロイセンにつぐ大国バイ…

『The cold war』Johon Lewis Gaddis

冷戦についての概説本。 *** 1 恐怖ふたたび 冷戦の起源について。 第二次大戦における連合国は、お互いが既に対立状態にある国同士の連合だった。戦争中は互いに協力したが、まもなく自然な状態に戻る。合衆国とソ連には多くの共通点があった。どちらも革…

『秋田連続児童殺害事件』黒木昭雄

畠山鈴香事件を独自に調査し、警察が意図的に「事故」として捜査をおこなったこと、裏づけのため捜査の捏造をおこなったことを指摘する。 畠山と秋田県警とのあいだになんらかのつながりがあることを示唆している。捜査の方向性指示以降は、ほかの著書にも書…

『中国現代化の落とし穴』何清漣

豊富な具体例と中国の実際の制度にまで踏み込んだ説明がされており、読み応えはある。しかし、大変読みにくい。 *** 著者は中国の改革開放体制に批判的である。改革は、貧富の差の拡大、生態系の破壊、汚職腐敗など倫理道徳の退廃をもたらしただけだからであ…

『群衆心理』ル・ボン

19世紀末に書かれた古い本で、群衆の行動を研究する。 群衆の上に立つ為政者・エリートの視点から書かれているので、現代ではわれわれ群衆が好んで読みそうな本だ。 *** 歴史や文明の末期、転変期にとくに力をふるう、野蛮で無知、粗野な、厄介な群衆が、…

『疫病と世界史』マクニール

訳文が読みにくい。追うのが苦痛になる文だ。世界史における判然としない部分、矛盾した部分を、疫病の観点から説明しようと試みる。 *** 疫病が世界史上人類にあたえた影響は大きい。アステカを亡ぼしたのはコルテス率いる小部隊の戦術よりも、彼らが新大陸…