うちゅうてきなとりで

The Cosmological Fort 無職戦闘員による本メモ、創作、外国語の勉強その他

2015-01-22から1日間の記事一覧

上から下の運動(2011)

もうひとつの人体が、軽い、 トランプめくりの 音をたてて縄からほどかれる なめらかに加工されず、とげと泡を残したまま 黒くぬりたくられた係留柱を するりとくぐり抜けて、わたしは 人体の予備をとりもどした においにとてもよく反応する、酸化した血のか…

『悪の哲学』シェストフ

時代がかった大仰な文体でドストエフスキーとニーチェを語る。これら二人やトルストイの著作に見られるニヒリズムとはなにかを論じ、ニヒリズムから逃れるために生み出された理想主義を非難する。 シェストフは理想主義と道徳が人間を悲劇に追いやるものとし…

『しあわせな日々/芝居』ベケット

「しあわせな日々」は英文学の授業(落とした)で映像作品をすでに見ていた。おしゃべりで活発な老婆と、ほとんどあいづちをうつだけの老人の生活をテーマにしている。老婆はこれぞしあわせな日々といっているが、舞台設定(老婆は体の半分まで荒地に埋もれ…

『勝負の終わり/クラップの最後のテープ』ベケット

「勝負の終わり」 窓の二つある部屋のなかに、ゴミ箱に入れられた老夫妻と目の見えない老人、始終立っている男がいる。全員老化に直面しており、自分のこれまでの人生が無意味だったのではないかという疑いにとりつかれている。神はいないのではないかという…