うちゅうてきなとりで

The Cosmological Fort 無職戦闘員による本メモ、創作、外国語の勉強その他

『法における常識』ヴィノグラドフ その2

*** 5 立法 法の源(Sources):立法、裁判官のつくる法(慣習法、判決、衡平(Equity)) または自然法を源とする学者もいる。 法律の文理解釈は、裁判所に永久に課せられた仕事である。 裁判所は専門的な事柄に対しても技術的解釈を行わなければならない…

『法における常識』ヴィノグラドフ その1

オックスフォード大教授、1919年初版の、法律入門書。 著者のヴィノグラドフはロシア人だが、帝政ロシアにおいて当局と衝突を繰り返したため、主にイギリスで活動した(最終的に帰化した)。 法律とは何かが簡潔にまとめられている。 調べたところAmazon…

『寺院消滅』鵜飼秀徳

全国には7万7000の寺院があり、うち無住寺院は2万、不活動寺院は2000以上である。寺院消滅の問題は、地方の消滅(高齢化、過疎化、人口流出)とつながっている。 本書は、社会構造の変化と寺院との関係に焦点をあてる。 1 ・長崎県五島列島宇久島…

『フランス革命 歴史における劇薬』遅塚忠躬 ――革命の光と闇

フランス革命が、フランスの歴史、フランス国民にとって劇薬であったことを伝えるという趣旨の本。 著者は、革命が人間の偉大(理想)と悲惨(現実の殺戮、恐怖政治、戦争)を体現していると考える。 岩波ジュニア新書ということで、子供向けにわかりやすく…

最近の買い物 ――日本史、マリオネット、

◆関東大震災 九月、東京の路上で 1923年関東大震災ジェノサイドの残響 作者: 加藤直樹 出版社/メーカー: ころから 発売日: 2014/03/11 メディア: 単行本(ソフトカバー) この商品を含むブログ (48件) を見る 『証言集 関東大震災の直後』が良い本だったので…

『英雄なき島』久山忍 ――硫黄島の戦いと名将の実態

海軍航空隊の要員として硫黄島の戦いに参加した大曲覚(おおまがり・さとる)海軍中尉の回想録。 ◆所感 所在航空部隊である海軍の、さらに下級士官からの視点ということで、末端の雰囲気や状況がよく伝わってくる。 防空壕での日本兵たちの生活は、完全に別…

『チェチェン やめられない戦争』アンナ・ポリトコフスカヤ その2 ――無法者と劣悪軍隊の違い

2 ロシアの現実 ・イングーシ共和国のアウシェフ大統領は、チェチェン難民の受け入れを表明した唯一の隣国だが、連邦政府からにらまれ、強制的に辞任させられた。 後任者は、FSB(連邦保安庁、KGBの後継機関)将官ジャジコフだった。イングーシはただ…

『チェチェン やめられない戦争』アンナ・ポリトコフスカヤ その1 ――無法者と劣悪軍隊の違い

◆メモ 1999年から始まった第2次チェチェン紛争により市民は無政府状態の下に晒された。 本書では「対テロ作戦」、「掃討作戦」によって日々迫害される人びとに注目する。戦争を概説するのではなく、末端の市民と末端の悪党たちの様子を細かく伝えようと…

国家・政治・行政の腐敗とどう戦うか

◆はじめに どうすれば腐敗と戦うことができるのかをGoogleで調べた。 わたしの読んできた歴史の本は、ほとんどが外国政府や権威主義体制・独裁体制に対するテロ活動で、腐敗との戦いにおいて直接参考にはならなかったからである。 The Revolt: Story o…

『By Trust Betrayed』Gallagher その3 ――ナチス・ドイツの安楽死作戦

8 T4作戦と弁護士(The Lawyers) ドイツ人には、社会が安定していた、治安がよかったとしてナチス時代をなつかしむ者もいる。 合衆国の法には権利章典(Bill of Rights)があるが、ドイツの法に個人の自由という概念はなかった。 ナチ政権の代表的な非人…

『By Trust Betrayed』Gallagher その2 ――ナチス・ドイツの安楽死作戦

3 T4作戦の始動 安楽死施設は次のような場所に設置された。 ・グラフェネクGrafeneck(ウルムUrm南西) ・ブランデンブルクBrandenburgの古い監獄(ベルリン南西) ・ハルトハイムHartheim(リンツLinz北西) ・ベルンベルクBernberg(中央ドイツ) ・ハ…

『By Trust Betrayed』Gallagher その1 ――ナチス・ドイツの安楽死作戦

ナチス・ドイツにおける障害者の安楽死(Euthanasia)・大量殺人(Mass Killing)――T4作戦(Aktion T-4)――を検討する本。 著者自身もポリオによって身体障害者となり、同じ境遇だったフランクリン・ルーズヴェルトを研究対象にしている。 ◆所感 ヒトラーは進…

『水俣病』原田正純 ――水俣病の発生から行政・チッソとの交渉、認定まで

水俣病の調査に取り組んだ医学者による本。水俣病発生の経緯から、行政、チッソとの交渉、公害認定と補償にいたるまでをたどる。 ◆所感 チッソ、役所、御用学者、患者を差別する隣人等、人間の悲惨な光景が集約されたような事例である。 東大がチッソを擁護…

国防総省では反逆者、亡命者扱いのスノーデン氏

Permanent Record (English Edition) 作者: Edward Snowden 出版社/メーカー: Macmillan 発売日: 2019/09/17 メディア: Kindle版 この商品を含むブログを見る エドワード・スノーデンの自伝「Permanent Record」は、本人の生い立ちや亡命の経緯が書かれてお…

『ゲシュタポ・狂気の歴史』ジャック・ドラリュ その2 ――フランス人レジスタンスによる概説

4 侵略開始 ヒトラー、ヒムラーは軍をコントロールするため、ゲシュタポのミュラーらに工作活動をさせた。 国防相ブロンベルクは売春婦と再婚した疑いにより失脚させられ、陸軍総司令官フリッチュは同性愛の冤罪をかけられ失脚した。フリッチュの後任は新ナ…

『ゲシュタポ・狂気の歴史』ジャック・ドラリュ その1  ――フランス人レジスタンスによる概説

著者はフランスのレジスタンスであり、厳しい調子で秘密警察の概要を説明する。 ――このとき私は、かれらがまさに、愚昧であると知性あるとを問わず、いずれも個性を欠き、内的な道徳的抑制をもたず、命令に服するや否や、善悪を判断する力ももたない人間であ…

王土をたがやす

鋤をふる、鍬をふる、 土の波をつくり 種をまく わたしたちは、その手足の1つ 1つが、土の力となり 土の成長を点検し 散らかった砂に 荘園をつくる。 何が? というのは、何が 散らかっているかというと それは、 肉、骨、内的器官 すべては動体から 分離…

『諜報・工作』ラインハルト・ゲーレン その2 ――軍事情報業務について

2 パートナーシップ ドイツ敗戦時、かれらは資料を山中に埋めて身を潜め、機を見て米軍に投降した。 米軍と協議したゲーレンらは、ヨーロッパ駐留アメリカ軍総司令部参謀部軍事情報部USFET G2との協定を結ぶ。 内容: 現存勢力を利用し、ドイツ情報機関を設…

『諜報・工作』ラインハルト・ゲーレン その1 ――軍事情報業務について

◆所見 ドイツ陸軍、のちゲーレン機関、BND(ドイツ連邦情報局)で情報機関の親玉として働いた軍人ラインハルト・ゲーレンの回顧録。 独ソ戦時の、参謀本部における勤務要領や、情報組織の整備、経験談など、興味深い話が多い。 ベルリンは東西冷戦におけ…

『不死身のKGB』ゲヴォルキャン その3 ――秘密警察に支配された国

7 西側へ寝返ったスパイたち 亡命したクジーチキンの手紙。 ――イランにおけるソ連植民地のリーダーや党幹部らが、恥知らずにも私腹を肥やすことに血道を上げる信じがたい光景、ツデー党との汚いやりとり、アフガニスタンでの罪のない人びとの死、それにたと…

『不死身のKGB』ゲヴォルキャン その2 ――秘密警察に支配された国

3 保護も権利もなく ――チェキストは子供のおもちゃなどに関心がないかもしれない。だが彼らはこの国の人間の生命と運命を、どんなときでもつねにおもちゃにしてきた。 ソ連公安機関最大の任務は、体制維持のための内部の敵破壊である。 ――要するにKGBと…

『不死身のKGB』ゲヴォルキャン その1 ――秘密警察に支配された国

エリツィン政権時代に書かれたKGBとその未来に関する本。 著者はモスクワの新聞社「モスコーフスキエ・ノーヴォスチ」に所属するジャーナリストであり、ロシアが変わるとしてもKGBとその体質は残るだろうと予言する。 特にソ連崩壊前後のKGBをめぐ…

ゴミゲーム統合プロジェクト

◆自作のガラクタを統合する 本ブログは読書感想文のほかに、作者の制作物も公開していました。 最近はUnityその他のフリーソフトを使ってゲームを作っており、以下はそのリンクです。 今後は、創作物カテゴリーについては、ゲーム関連を除いた純粋制作物(ポ…

ミニキーボードを買った

◆iPhone用Bluetoothキーボード 家の外などでメモや日記を書く際に、iPhoneで入力するのがこれまで不便だったので、キーボードを買った。 サイズはiPhoneSEより少し大きい程度である。少し使ってみたところ非常によかった。 iClever 折りたたみ式Bluetoothキ…

米陸軍の情報教程、またOSINT

◆眠くなる本 参考のために米陸軍の情報教程を読んでいるが、非常に退屈である。 原理原則をまず覚えさせるべきという方針は読み取れるが、無味乾燥とした定義が続くので飛ばし読みになる。 教程が退屈なのは古今東西の軍の宿命なのだろうか。 なるほど、こう…

『細菌戦争の世紀』トム・マンゴールド その2 ――生物兵器開発と使用の実際

13 ソ連の重要施設……ベルズク、ポクロフ、オムトニンスク、ステフノゴルスク 米英のソ連施設査察と、その妨害について。 米英視察団に対する、ソ連側からの一連の妨害は、亡命科学者ケン・アリベックの『生物兵器』に、ちょうど相手の立場から書かれている…

『細菌戦争の世紀』トム・マンゴールド その1 ――生物兵器開発と使用の実際

◆メモ BBCのドキュメンタリー記者らが書いた生物兵器開発についての本。 特に米ソの軍備管理問題、南アフリカにおける生物兵器使用、イラク・北朝鮮・テロ組織による生物兵器利用について、非常に詳しく知ることができる。 ・生物兵器:核兵器に比べはる…

スノーデンの新著『Permanent Record』について

スノーデンの回顧録『Permanent Record』が9月17日発売された。 わたしはAmazonで予約したので、到着次第読もうと考えている。 Permanent Record (English Edition) 作者: Edward Snowden 出版社/メーカー: Macmillan 発売日: 2019/09/17 メディア:…

『Love Thy Neighbor』Peter Maass その2 ――隣人たちが殺し合うボスニアの様子

・若者たちはスルプスカ共和国軍に徴兵される。ここはアメリカではないので、かれらに逃げ道はほぼ残されていない。 ・バニャ・ルカに滞在しながら、著者は、目の前で虐殺と追放が進みながら国際社会が黙殺しているさまを痛感した。 ・当局はモスクを破壊し…

『Love Thy Neighbor』Peter Maass その1 ――隣人たちが殺し合うボスニアの様子

ボスニア戦争の初期に取材した報道記者による報告。 現場で見聞きしたエピソードを通して、戦争によって現れる人間の本性を探る。有名な残虐行為や、後に実際に訴追された戦犯の話題もある。 ◆所見 この現地報告は、サラエボやボスニア各地またクロアチアの…