うちゅうてきなとりで

the cosmological fort 無職戦闘員による本メモ、創作、外国語の勉強その他

『バガヴァッド・ギーターの世界』上村勝彦 その1

『バガヴァッド・ギーター』の内容に沿って、思想や当時の物の見方を説明していく。ヒンドゥー教の世界観は、日本仏教の中にも根付いている。 ◆メモ 『ギーター』の核心は、カーラ(時間)に翻弄される存在のむなしさ、義務を果たし、結果に執着せず行為する…

文語訳聖書の戦闘員たち

◆文語訳聖書 正月から文語訳聖書を読んでいます。これまで引用などで知っていた箇所はありましたが創世記から読むと面白い挿話がたくさんあります。 旧約聖書の神であるエホバは非常に厳しく残酷で、神を奉じるイスラエルの民や預言者も、ジェノサイドや略奪…

記録の刑

かれは、森の機関のもの 緑の技師となり、 血の河をさかのぼる あらゆる数の魚虫が、かれを あらかじめ混ぜ加えられたものとして、その鳥獣たちは かれを目の端にいれる。 化学プラントによる地蔵の 血の流れの上を 銀の舟が動く かれは、刑を受けて器官が待…

『America's War for the Greater Middle East』Andrew Bacevich その4

14 どうやって終わらせるのか 2004年、在イラク連合軍司令官がサンチェスからジョージ・ケイシー・JrGeorge Casey Jrに交代した。かれは治安を改善し1年程度で米軍を撤退させられると宣言した。 ケイシーの戦略にはCOIN(Counter Insurgency、…

『America's War for the Greater Middle East』Andrew Bacevich その3

9 バルカン余談 クロアチア停戦監視やボスニア紛争におけるセルビア勢力空爆作戦(Operation Deliberate Force)は、大中東戦争のなかではよく機能した軍事作戦だった。 空爆は、合衆国主導の停戦交渉の基盤となった。その後の停戦監視は、ソマリアの教訓を…

『America's War for the Greater Middle East』Andrew Bacevich その2

◆80年代から90年代にかけて、合衆国は中東の紛争に介入を繰り返した。軍は徐々に深入りし、駐留の負担も増加した。 4 銀幕6番の呼び出し レーガンはレバノンにおいて米軍の存在感を示すために海兵隊を進駐させたが失敗に終わり、朝鮮戦争以来の敗北を…

『America's War for the Greater Middle East』Andrew Bacevich その1

◆著者について 著者ベースヴィッチは元米陸軍大佐で、引退後国際関係や歴史学に関する著作を発表している。特にイラク戦争以後、一貫して合衆国の軍事政策に反対している。 息子のベースヴィッチ中尉はイラク戦争に従軍しIEDにより殺害された。 ja.wikipe…

『Let Our Fame be Great』Bullough Oliver その3

3代目イマームであるシャミールは1832年のギムリの戦いを生き延びた後、チェチェンおよびダゲスタン(岩山の多いダゲスタンと、森の深いチェチェン)のイマームとなった。かれはスパイを各地に潜ませ政敵や反逆者を摘発・処刑した。 かれの名前はユダヤ…

『Let Our Fame be Great』Bullough Oliver その2

◆メモ 本書は、コーカサス各地域に住む民族の歴史を説明する。このとき、ソ連時代からロシア帝政時代へと記述がめまぐるしく変化する。 2 山岳トルコ人The Mountain Turks、1943~4 スターリンの民族政策について。 ・スターリンは、ドイツ軍に一度占…

『Let Our Fame be Great』Bullough Oliver その1

イギリス出身、モスクワ在住歴の長い著者が、コーカサス地方や、コーカサス人ディアスポラの集落等、様々な場所を見分しながら、「まつろわぬもの」たる北コーカサスの民族の歴史をたどる。 ◆メモ 著者はコーカサス地方や、コーカサス人の移住先を訪問し、現…

もうひとつのブログ

ゲーム制作用に別のブログを作成したのでもし興味があればご覧ください。 the-codex-of-fort.hatenablog.com

『馬仲英の逃亡』スヴェン・ヘディン

探検家スヴェン・ヘディンが新疆(シンキャン)を探検した際、軍閥(Warlord)である馬仲英(マー・チュンイン)の軍と遭遇した事件について書かれた本。 1933年、ヘディンは南京中央政府から新疆自動車道路設計のための探検指導を委任された。 一行は馬…

『テイクダウン』下村努、ジョン・マーコフ

サンディエゴのスーパーコンピュータ・センターで働くコンピュータ科学者の下村(Tsutomu Shimomura)は、自宅のPCを悪名高いハッカー、ケヴィン・ミトニックに乗っ取られたことに気が付く。 下村は弟子のアンドリューや、コンピュータ業界の友人たちとと…

『韓流スターと兵役』康熙奉

在日韓国人の著者が、韓流スターのファンに向けて、兵役制度とその実際についてわかりやすく説明する。 わたしは映画で観たウォンビンやイ・ジュンギ、有名なペ・ヨンジュンくらいしか知らないが、芸能界と兵役との関わりは、日本にはない独特の要素である。…

残酷物語その他

◆本 引き続きアーレントの『全体主義の起源』を読んでおり、いまは第2部の帝国主義が終わりかけている部分です。 日本語で最近読んでいるのは『日本残酷物語3』、『グァテマラ虐殺の記憶』、『流転の王妃の昭和史』などです。 ・日本残酷物語 日本残酷物語…

『The Indian Mutiny』Saul David その4

15 反動 東インド会社軍マドラス軍のニール大佐(Col. James Neill)は、ベナレス(Benares)とアラハバード(Allahabad)を奪回し、悪名高い市民虐殺を行った。 インド総督カニングは、カーンプル虐殺の報を受けて、イギリス人の敵意がインド人そのものに…

『The Indian Mutiny』Saul David その3

10 「嵐は去った」 アーグラー(Agra)は北西地方政府の首都であり、ヒマラヤのふもとから中央インドのジャバルプル(Jabalpur)までを担任し、デリー、ベナレス(Benares)、アラハバード(Allahabad)、ミルザブール(Mirzapur)、カーンプル(Cawnpore…

『The Indian Mutiny』Saul David その2

4 Go to Hell, Don't bother me! 東インド会社軍の問題は、インド人傭兵だけではなかった。ヨーロッパ人将校も、様々な問題を抱えていた。 ・一般的な会社の将校は、低い階級出身で、学はなく、純粋に金銭的動機によって就職した者たちである。 イギリスの…

『The Indian Mutiny』Saul David その1

1857年、デリー(Dheli)近郊のメーラト(Meerut)から始まったインド反乱についての歴史。 東インド会社によるインド侵略の経緯から始まり、反乱の推移を細かく記述する。 反乱の鎮圧を担当した東インド会社軍の将校たちは、イギリス軍将校とも異なる、…

『オデッサ・ファイル』フォーサイス

報道記者のミラーは、偶然、SS隊員の互助組織オデッサの存在を知る。かれは、リガの収容所でドイツ系ユダヤ人を虐殺したエドゥアルド・ロシュマンを追うが、そこにはもう1つ強い動機があった。 元SS隊員たちは、イスラエルを消滅させるために、エジプト…

ハテナの笛

はっきりと、輪郭をととのえる ふちどりを、紺と藍の 二重のひもで 神明にちかって 形をころすことが、いま その年だ わたしは、監視を続けたい 天の一角と、大顔の 面をかぶった大きな仏僧たちが 分列行進しながら 笛を吹いている、その あの人たちを わた…

『シルクロード』スヴェン・ヘディン

『馬仲英の逃亡』に続くシルクロード3部作の2作目だが、時系列としては前作よりも前から始まる。 1933年秋、北京のスウェーデン・ハウスに滞在していたヘディンは、国民政府の重役と会談し、民国発展のために新疆への自動車道路開発が有意義なのではな…

『ドキュメント アメリカの金権政治』軽部謙介

アメリカ民主主義の実態について批判的に検討する。 テーマはロビイスト、政治献金、利益誘導、そうした金権政治に抵抗する市民の活動である。 自由民主主義の価値観と制度に立脚していても、権力や金に由来する、不正や金権政治を防止するのは非常に困難で…

『海上護衛戦』大井篤

◆著者の基本的立場 ――なにしろあの太平洋戦争という民族的大悲劇は、決して天災ではなく、まったくの人災だった。しかもこの人災は、戦略計画上の誤算によって引き起こされ、また長期化、深刻化されたとみるべき点が大いにあったと私は思う。 自身の体験を基…

『Obama's Wars』Bob Woodward その2

ウッドワードは、マクリスタル司令官の極秘文書コピーを入手し、新聞で報じた。 報道の前には、慣習により政府に事前通告と調整を行うが、これは報道の自由を重視する米国ならではの手続きである。 ・極秘文書を入手した民間人は、それをどう扱おうと処分さ…

『Obama's Wars』Bob Woodward その1

「オバマの戦争」であるアフガン戦争に関する、大統領とその側近、NSC、軍の意思決定をたどる本。 袋小路に陥っていくアフガンの状況と、オバマと軍との対立が明らかにされる。 ブッシュの戦争であるイラク戦争が一段落し、オバマ陣営はアフガンの状況悪…

敵の声・敵の部屋

今読んでいる本はハンナ・アーレントの『The Origins of Totalitarianism』(全体主義の起源)で、近代に生まれた反ユダヤ主義が、帝国主義の時代を経て、最終的に、20世紀の特異な現象である全体主義(ナチスドイツやスターリン体制)を生み出した経緯を…

『日本の社会保障』広井良典

社会保障を考える上で、年金、医療費といった個別に分けて論じるのではなく、そもそも国家が負担すべき国民のリスクとは何かを検討し、その後、あるべき社会保障の姿を検討する。 制度自体が複雑でわかりにくいため、この本も自分のような素人には読みにくい…

『検証アメリカ500年の物語』猿谷要 その2

3 第1次大戦終結(1918年)まで ・修正憲法により黒人の自由、市民権、選挙権が認められたが、南部各州では黒人差別の合法化がすすめられた。 ・先住民の追放、虐殺も激化し、1871年の法律により先住民は居留地Reservationへ追い込まれた。 ・18…

『検証アメリカ500年の物語』猿谷要 その1

大航海時代から現在までのアメリカの歴史をたどる。アメリカ合衆国の大きな流れを理解するために役に立つ。 おそらく合衆国では常識であろう事実(建国の経緯など)を覚えることも重要である。 合衆国は自由や平等、民主主義といった理念に基づいて建国され…