うちゅうてきなとりで

the cosmological fort 無職戦闘員による本メモ、創作、外国語の勉強その他

写字生の歌

足の裏ににじむブドウと鈴蘭の小人をつまむような音の葉 大伽藍を囲む鐘楼中二階の奥でふやけた土星がのぞく

『太陽系はここまでわかった』コーフィールド

太陽系の各惑星を解説する本。天文学者や惑星探査機の働きに焦点をあてている。 地球の外に生命が存在するのかという疑問は、長年の間、天文学者や技術者たちの関心を集めてきた。 ◆メモ 探査機の無線通信システムについて、また、エウロパやタイタンといっ…

筋肉について

先日、アリゾナ記念館見学に行ってきました。 有名なアリゾナ号慰霊碑は対岸のフォードアイランド側にあるため、海軍運営のボートで向かいます。乗船の前に、ホールで映像による説明を受けます。真珠湾攻撃に至るまでの経緯や、合衆国における位置づけ等を知…

『KGB帝国』エレーヌ・ブラン その2

第2次チェチェン紛争は政府側によって意図的に引き起こされたのではないかと考えるジャーナリストがいる。 ――テロ対策はすべての人を結束させる最高の口実だ。 ――彼(プーチン)はアンドロポフとブレジネフ双方の血を引いた雑種的人物だ。 ――プーチンにとっ…

『KGB帝国』エレーヌ・ブラン その1

本書の目的:1982年から2004年にかけての、ペレストロイカ、ソ連崩壊、プーチン政権誕生までを説明し、情報機関KGB=FSBが国家権力を掌握していった過程を明らかにする。 ◆所見 フランスから見たプーチン・ロシアのイメージの1つ。 KGBが…

『五・一五事件』保阪正康

五・一五事件は1932年に発生した。 五・一五事件をきっかけに台頭した、国民のなかのファシズムと、事件の関与者である愛郷塾の創設者橘孝三郎とを検証する。 厳密には歴史の本ではなく、著者が調査結果をもとに再構成した劇である点に注意する。 *** 橘…

『法華経を読む』鎌田茂雄

法華経の各巻を解説する。聞いたことのある熟語や、たとえ話(増上慢)等も紹介されており、参考になる。 *** 法華経の成立・構成 1世紀にインドで成立後、5世紀、天台大師智顗が「法華経」に基づいて天台宗を成立させた。その後、伝教大師最澄によって日…

ルブアルハリ五輪

シリアに入国したジャーナリスト(と、素性の怪しい人物)がISに拉致され人質となり、斬首された。このとき、周囲の無職同志たち……本来は自国の人びとや土地を守るべき立場の人間が、人質を口汚く罵っているのを聞いて、非常に嫌な気分になった。 実現可能…

『細川日記』細川護貞 その2

近衛文麿が東久邇宮に言ったという言葉。 ――自分としてはこのまま東条にやらせる方がよいと思うと申し上げた。それはもし替えて戦争がうまく行く様ならば当然替えるがよいが、もし万一替えても悪いということならば、せっかく東条がヒットラーと共に世界の憎…

『細川日記』細川護貞 その1

近衛文麿の東条内閣倒閣運動に携わった役人の日記。 第2次近衛内閣の首相秘書官、その後、天皇の弟高松宮の御用掛を務めた。 息子には陶芸家の細川護熙がいる。 高松宮殿下の令旨を受けた細川は、東条内閣下の様子や世界の情勢について情報収集するため、軍…

中二階の窓から

僧侶が鐘を鳴らした。 緑の草のすきまから、 虫が飛び出し、藪のなかにいる 小型の猫が声をだした かれらは、中二階の窓にひたいを 押しつけて、頭上をにらみつける。 僧侶たちの、黒い装備がはためき、 ひげと帽子にはさまれた 顔から、ぶどうのにおいが放…

『暗殺国家ロシア』福田ますみ

報道統制の進むロシアで調査報道を続ける「ノーバヤ・ガゼータ」を追う本。 この新聞は元々、ソ連機関紙の1つだった「コムソモーリスカヤ・プラウダ」の記者たちが独立して設立したものだった。 業績不振や権力からの圧力で危機に見舞われたが、現在もゴル…

『チャーチル』河合秀和 その2

5 海相チャーチルは4人の海事卿(現役提督)とともに、海軍の組織改革に取り組んだ。参謀本部と海軍大学の設立、航空部隊の整備はこのときの成果である。 かれは、今度は社会改革費を削り海軍増強費にあてろと主張した。 仮想敵であるドイツ海軍は海外に植…

『チャーチル』河合秀和 その1

チャーチルは、最後の反革命・帝国主義の政治家だった。かれは第2次世界大戦においてイギリスを勝利に導いたが、一方、かれが理想とした帝国は勝利の過程で解体していった。 ◆メモ ・チャーチルは社会改革にも関心を持っており、貧困者の救済や失業対策等、…

『アメリカ黒人の歴史』本田創造

合衆国に現在約4000万人いるアフリカ系アメリカ人の歴史について。 「黒人」は、人種・血統的であるとともに、政治的なカテゴリーでもある。血統に1人でも黒人が混じっている場合、その人物は白人ではなく黒人として扱われる。 ◆メモ アメリカ人たちの…

粘土人形制作 ウンゲルン1号 その2

前回から少し間が空きましたが引き続き呪いの人形制作過程を投稿します。 2 大まかな成型 針金とアルミホイルを芯材にして、その上に石粉粘土をつけていきました。 要領がよくわからず水をつけすぎ、また芯材を盛りすぎたのでだいぶ肥大化しました。 水で柔…

『隷属への道』ハイエク その2

*** 経済活動を計画化することは、必然的に人間の全生活の規制と抑圧につながる。 ――……人びとは往々にして、政治的独裁を毛嫌いしつつも経済分野における独裁者を求めるのである。 ハイエクは、市場原理と競争が全てを解決すると考えているわけではない。 独…

『隷属への道』ハイエク その1

第2次大戦末期に書かれた、全体主義への道に警告をおこなう本。 ドイツを例にあげ、善意と情熱が社会主義をつくり、必然的に全体主義にいたることを示す。アメリカ、イギリスも、敵であるドイツと同じく社会主義的、全体主義的な傾向を帯びつつあることを指…

『The killing of Osama Bin Laden』Seymour Hersh その2

軍と軍 オバマはシリア情勢について現実を無視した方策をとり続けている。彼の方針は以下の4つである。 ・アサドは退陣させなければならない。 ・ロシアとの共闘はありえない。 ・トルコはテロとの戦いにおける同盟国である。 ・シリアには米国の支援に値す…

『The killing of Osama Bin Laden』Seymour Hersh その1

オバマ政権の欺瞞を指摘する本。 著者は調査報道ジャーナリストで、ベトナム戦争におけるミライ村虐殺、イラク戦争のアブグレイブ収容所捕虜虐待などのスクープで有名な人物である。 オバマは国内において景気対策・福祉政策を講じる一方、軍事政策では国民…

群生

トンネルを抜けて 雪と土の下から モグラが顔を出した 鼻と歯で、硬くなった 地面に穴をあけた。 その後、 黒い道を、車列が 通り過ぎた。 ラッパと、放送の音が 後に続いたので、 森の生き物たちは 耳をふさいだ。 かれらの声が 電線をつたって、拡声器から…

今年読んだ本についてと、散歩

2017年が終わるので、今年読んで面白かった本を、思いついた順に並べていきます。 今月から国外にいるので、こちらではまだ大晦日です。 ◆おもしろかった本 ・『The Rise and Fall of the Great Powers』Paul Kennedy The Rise and Fall of the Great Po…

『コーカサス 国際関係の十字路』廣瀬陽子

国際関係を中心にコーカサスの概要を説明する本。 コーカサスは西を黒海・トルコ、東をカスピ海、南をイランに囲まれた地域を指す。 南コーカサスはアゼルバイジャン、グルジア、アルメニアからなり、北コーカサスはロシア連邦の共和国……チェチェン、イング…

『オウムと私』林郁夫

著者はオウム信者であり、地下鉄サリン事件その他の犯罪に関与したため無期懲役の判決を受けた。 本書では、生い立ちから、医者として働く生活、オウムへの入信、犯罪への加担までが書かれる。 全編にわたって、オウムの細かい教義や、ワーク(修行)の説明…

歩兵はパレードする

兵隊によるパレードの準備には3か月以上かかるため、この間、たくさんの作業員が全国から集められ、ひたすら行進や会場運営の練習をすることになった。また、大量の燃料、食糧費、移動費を消費した。 わたしはパレードの意義が見いだせず、同じ人数を集めれ…

『ネイティブ・アメリカン』鎌田遵 その2

4 ルーズベルト政権下、インディアン局ジョン・コリア―による「再組織法」→部族の自治権確立へ トゥルーマン政権下の「終結法」→自立を名目とした居留地切り捨て、アメリカ社会への同化政策 先住民のうち居留地や信託地に住むのは4割で、5割弱は都市部に…

『ネイティブ・アメリカン』鎌田遵 その1

先住民の現状について解説する本。 合衆国には約247万人の先住民が住んでいるが、かれらの経済的地位は一般に黒人よりも低いという。 1 だれが先住民であるかという定義を定めるのは難しい。 先住民としてのアイデンティティは、血筋、部族員であること…

『Putin's Russia』Anna Politkovskaya その2

官僚組織の一員である判事たちは、ソ連崩壊によって服従する対象を失った。 かれらが次に選んだ主人はマフィアや新興財閥だった。 買収された判事が、給料20年分に相当するアメリカ車を手に入れる一方、賄賂や口利きを拒否した判事は免職され、または悪党…

『Putin's Russia』Anna Politkovskaya その1

著者は反プーチンで知られた『ノヴァヤ・ガジェタ』紙の記者で、2006年に路上で射殺された。 国民から自由を奪い専制を強めるプーチンを批判する。 本書では、国家の末端で残酷な取り扱いを受ける人びとに注目する。 プーチン自身の行動ではなく、かれの…

日語には、アマゾンのとき

◆文字の整列 日本語でつくられた文列のなかでも、とくに、興味をひかれるものはなにかを考えなければならない。 ふだん読んでいる本のほとんどは歴史に係るもので、最近はフィクションを読むことが少なくなった。本を読み始めた当初は、国内・国外文学の古典…