わたしの顔も
かれらの顔も
灰色になり
空の影が、門に続く
階段に重なる。
木が腐れば
石段は落ち葉と枝で
覆われて
祠の格子の奥から
6倍に肥大した
ふくれあがった探検家の
顔面が出現する。
制作:2007年
Eastern Promises
病院勤務の女性が、ロンドンで活動するロシアン・マフィアの実態を知り、事件に巻き込まれていく映画。
主人公の女性は、14歳で死んだ妊婦とその新生児のために、残された日記を手がかりに、かれらの故郷を探そうとする。しかしその行為は、ロシアン・マフィアの人身売買活動を嗅ぎまわるものだった。
映画は、病院勤務の女性と、マフィアの運転手を務める男との、2つの話からなる。
ロシアン・マフィアの内部を描くだけでなく、悲惨な故郷を離れてなお、苦しい人生を強いられるロシア人たちを浮き彫りにしている。
銃撃戦や爆弾がなくとも、緊張感のある、犯罪者たちの物語をつくることができる。
・まっとうな職業を隠れ蓑にするロシアン・マフィアたちを描く。ロシア料理や音楽が登場する。周辺には、チェチェン人マフィアやクルド人がいる。
・ロシア人の間での、同性愛に対する嫌悪、憎悪について。
・運転手ニコライが、高い戦闘力や能力を持ちながら、人間的な感情を保持している。
・ロシアン・マフィアが題材であるため、国家機関であるKGBやFSBはどちらかといえば正義に近い存在として描かれている。しかし、それは映画の話であるとしっかり認識しなければならない。
情報機関についての本を読むと、FSBはマフィアを利用しているか、一体化していることのほうが多いからである。
・本作で言及されるマフィア「法の泥棒」は、ブレースウェート著『モスクワ1941』でも 登場する。
このブログで比較的多い戦争や戦史に関する本を記事にまとめました。
分類方法が思いつかなかったのでとりあえず
としました。
このリストも今後増えていく予定です。
『戦争論』ロジェ・カイヨワ その1 - うちゅうてきなとりで
『戦争論』ロジェ・カイヨワ その2 - うちゅうてきなとりで
『戦争論』ロジェ・カイヨワ その3 - うちゅうてきなとりで
『戦争における「人殺し」の心理学』デーヴ・グロスマン - うちゅうてきなとりで
『アフター・ヴィクトリー』アイケンベリー - うちゅうてきなとりで
『補給戦』マーチン・ファン・クレフェルト - うちゅうてきなとりで
『クラウゼヴィッツと「戦争論」』清水多吉 石津朋之 編 - うちゅうてきなとりで
『Cybersecurity and Cyberwar』P.W.Singer, Allan Friedman その1 - うちゅうてきなとりで
『Cybersecurity and Cyberwar』P.W.Singer, Allan Friedman その2 - うちゅうてきなとりで
『愚行の世界史』バーバラ・タックマン その1 ――驕り高ぶり言語道断 - うちゅうてきなとりで
『愚行の世界史』バーバラ・タックマン その2 ――驕り高ぶり言語道断 - うちゅうてきなとりで
『Thucydides』Perez Zagorin - うちゅうてきなとりで
『アラブが見た十字軍』アミン・マアルーフ - うちゅうてきなとりで
『ナポレオン帝国』ジェフリー・エリス ――ナポレオン研究の紹介 - うちゅうてきなとりで
『Crimea: The Great Crimean War, 1854-1856』Trevor Royle その1 - うちゅうてきなとりで
『Crimea: The Great Crimean War, 1854-1856』Trevor Royle その2 - うちゅうてきなとりで
『Crimea: The Great Crimean War, 1854-1856』Trevor Royle その3 - うちゅうてきなとりで
『The Indian Mutiny』Saul David その1 - うちゅうてきなとりで
『The Indian Mutiny』Saul David その2 - うちゅうてきなとりで
『The Indian Mutiny』Saul David その3 - うちゅうてきなとりで
『The Indian Mutiny』Saul David その4 - うちゅうてきなとりで
『The Great Game』Peter Hopkirk その1 - うちゅうてきなとりで
『The Great Game』Peter Hopkirk その2 - うちゅうてきなとりで
『The Great Game』Peter Hopkirk その3 - うちゅうてきなとりで
『The Boer War』Thomas Pakenham - うちゅうてきなとりで
『イギリスと第一次世界大戦』ブライアン・ボンド - うちゅうてきなとりで
『Storm of steel』Ernst Junger - うちゅうてきなとりで
『Forging Stalin's Army』Sally W. Stoecker - うちゅうてきなとりで
『スペインの短い夏』エンツェンスベルガー - うちゅうてきなとりで
『スペインの遺書』アーサー・ケストラー - うちゅうてきなとりで
『Beasts, Men and Gods』Ferdinand Ossendowski ――ロシア辺境、モンゴルをさまよう自然科学者 - うちゅうてきなとりで
『Origins of the Second World War』A.J.P Taylor その1 - うちゅうてきなとりで
『Origins of the Second World War』A.J.P Taylor その2 - うちゅうてきなとりで
『Origins of the Second World War』A.J.P Taylor その3 - うちゅうてきなとりで
『ヒトラー暗殺計画』グイド・クノップ その1 - うちゅうてきなとりで
『ヒトラー暗殺計画』グイド・クノップ その2 - うちゅうてきなとりで
『詳解 独ソ戦全史』グランツ、ハウス その1 - うちゅうてきなとりで
『詳解 独ソ戦全史』グランツ、ハウス その2 - うちゅうてきなとりで
『バルバロッサ作戦』パウル・カレル - うちゅうてきなとりで
『第二次世界大戦下のヨーロッパ』笹本駿二 - うちゅうてきなとりで
『The Nemesis of Power』Sir John Wheeler-bennett その1(1/4) ――ヒトラーに制圧されたドイツ軍 - うちゅうてきなとりで
『The Nemesis of Power』Sir John Wheeler-bennett その2(2/4) ――ヒトラーに制圧されたドイツ軍 - うちゅうてきなとりで
『The Nemesis of Power』Sir John Wheeler-bennett その3(3/4) ――ヒトラーに制圧されたドイツ軍 - うちゅうてきなとりで
『The Nemesis of Power』Sir John Wheeler-bennett その4(4/4) ――ヒトラーに制圧されたドイツ軍 - うちゅうてきなとりで
『バトル・オブ・ブリテン』リチャード・ハウ その1 ――ドイツを撃退した防空体制 - うちゅうてきなとりで
『バトル・オブ・ブリテン』リチャード・ハウ その2 ――ドイツを撃退した防空体制 - うちゅうてきなとりで
『The Forgotten Soldier』Guy Sajer ――東部戦線はとてつもなく広い - うちゅうてきなとりで
『戦争の記憶 ――日本人とドイツ人』イアン・ブルマ その1 ――中東欧の子供に殴られた東ドイツの子供 - うちゅうてきなとりで
『戦争の記憶 ――日本人とドイツ人』イアン・ブルマ その2 ――中東欧の子供に殴られた東ドイツの子供 - うちゅうてきなとりで
『Moscow 1941』Rodric Braithwaite その1 - うちゅうてきなとりで
『Moscow 1941』Rodric Braithwaite その2 - うちゅうてきなとりで
『Moscow 1941』Rodric Braithwaite その3 - うちゅうてきなとりで
『ナチスの知識人部隊』クリスティアン・アングラオ その1 - うちゅうてきなとりで
『ナチスの知識人部隊』クリスティアン・アングラオ その2 - うちゅうてきなとりで
『Ordinary Men』Christopher R Browning その1 - うちゅうてきなとりで
『Ordinary Men』Christopher R Browning その2 - うちゅうてきなとりで
『Ordinary Men』Christopher R Browning その3 - うちゅうてきなとりで
『詳解武装SS興亡史』ジョージ・スティン その1 - うちゅうてきなとりで
『詳解武装SS興亡史』ジョージ・スティン その2 - うちゅうてきなとりで
『諜報・工作』ラインハルト・ゲーレン その1 - うちゅうてきなとりで
『諜報・工作』ラインハルト・ゲーレン その2 - うちゅうてきなとりで
『ゲシュタポ・狂気の歴史』ジャック・ドラリュ その1 - うちゅうてきなとりで
『ゲシュタポ・狂気の歴史』ジャック・ドラリュ その2 - うちゅうてきなとりで
『アフガン侵攻1979-89』ブレースウェート その1 - うちゅうてきなとりで
『アフガン侵攻1979-89』ブレースウェート その2 - うちゅうてきなとりで
『チェチェン やめられない戦争』アンナ・ポリトコフスカヤ その1 ――無法者と劣悪軍隊の違い - うちゅうてきなとりで
『チェチェン やめられない戦争』アンナ・ポリトコフスカヤ その2 ――無法者と劣悪軍隊の違い - うちゅうてきなとりで
『韓国の軍隊』尹 載善(ユン・ジェソン) その1 - うちゅうてきなとりで
『韓国の軍隊』尹 載善(ユン・ジェソン) その2 - うちゅうてきなとりで
『Ghost Wars』Steve Coll その1 ――ビンラディンはわしが育てた - うちゅうてきなとりで
『Ghost Wars』Steve Coll その2 ――ビンラディンはわしが育てた - うちゅうてきなとりで
『Ghost Wars』Steve Coll その3 ――ビンラディンはわしが育てた - うちゅうてきなとりで
『We Crossed a Bridge and It Trembled』 Wendy Pearlman ――シリアの中の人の証言 - うちゅうてきなとりで
『The Morning They Came For Us: Dispatches from Syria』 ――シリア内戦の様子に関する記録 - うちゅうてきなとりで
『モサド・ファイル』マイケル バー ゾウハー ――国家運営の1つのパターン - うちゅうてきなとりで
『It Doesn't Take a Hero』Schwarzkopf その1 - うちゅうてきなとりで
『It Doesn't Take a Hero』Schwarzkopf その2 - うちゅうてきなとりで
『無人暗殺機 ドローンの誕生』ウィッテル その1 - うちゅうてきなとりで
『無人暗殺機 ドローンの誕生』ウィッテル その2 - うちゅうてきなとりで
『Urban Warfare in Iraq 2003-2006』J.Stevens - うちゅうてきなとりで
『アメリカの秘密戦争』セイモア・ハーシュ その1 - うちゅうてきなとりで
『アメリカの秘密戦争』セイモア・ハーシュ その2 - うちゅうてきなとりで
『Obama's Wars』Bob Woodward その1 - うちゅうてきなとりで
『Obama's Wars』Bob Woodward その2 - うちゅうてきなとりで
『America's War for the Greater Middle East』Andrew Bacevich その1 - うちゅうてきなとりで
『America's War for the Greater Middle East』Andrew Bacevich その2 - うちゅうてきなとりで
『America's War for the Greater Middle East』Andrew Bacevich その3 - うちゅうてきなとりで
『America's War for the Greater Middle East』Andrew Bacevich その4 - うちゅうてきなとりで
『グアテマラ虐殺の記憶』 その1 ――グアテマラ内戦に関する数少ない日本語の本 - うちゅうてきなとりで
『グアテマラ虐殺の記憶』 その2 ――グアテマラ内戦に関する数少ない日本語の本 - うちゅうてきなとりで
『The cold war』Johon Lewis Gaddis - うちゅうてきなとりで
『ヴァーチャル・ウォー』マイケル・イグナティエフ - うちゅうてきなとりで
『仁義なき戦場』マイケル・イグナティエフ - うちゅうてきなとりで
『民族はなぜ殺し合うのか』マイケル・イグナティエフ - うちゅうてきなとりで
『軽い帝国』マイケル・イグナティエフ - うちゅうてきなとりで
『Life in the French Foreign Legion』Evan McGorman - うちゅうてきなとりで
『ザ・マーセナリー』フランク・キャンパー - うちゅうてきなとりで
『地上最強のアメリカ陸軍特殊部隊』三島瑞穂 - うちゅうてきなとりで
『「民族浄化」を裁く』多谷千香子 その1 - うちゅうてきなとりで
『「民族浄化」を裁く』多谷千香子 その2 - うちゅうてきなとりで
『「民族浄化」を裁く』多谷千香子 その3 - うちゅうてきなとりで
『Yugoslavia: Death of a Nation』Laura Silber その1 - うちゅうてきなとりで
『Yugoslavia: Death of a Nation』Laura Silber その2 - うちゅうてきなとりで
『Yugoslavia: Death of a Nation』Laura Silber その3 - うちゅうてきなとりで
『The Bosnia List』Kenan Trebincevic その1 - うちゅうてきなとりで
『The Bosnia List』Kenan Trebincevic その2 - うちゅうてきなとりで
『Love Thy Neighbor』Peter Maass その1 - うちゅうてきなとりで
『Love Thy Neighbor』Peter Maass その2 - うちゅうてきなとりで
『To End a War』Richard Holbrooke その1 ――ナショナリズムで、生きていく - うちゅうてきなとりで
『To End a War』Richard Holbrooke その2 ――ナショナリズムで、生きていく - うちゅうてきなとりで
『戦争広告代理店』高木徹 ――インフォメーション・ウォーという戦争行為 - うちゅうてきなとりで
『44 Months in Jasenovac』Egon Berger ―― クロアチアの絶滅収容所に関する記録 - うちゅうてきなとりで
『関ヶ原合戦と大坂の陣』笠谷和比古 - うちゅうてきなとりで
『幕末百話』篠田鉱造 ――明治維新の現場の声 - うちゅうてきなとりで
『日本の軍隊―兵士たちの近代史』吉田裕 - うちゅうてきなとりで
『日本の近代9 逆説の軍隊』戸部良一 - うちゅうてきなとりで
『日本の近代6 戦争・占領・講和』五百旗頭真 - うちゅうてきなとりで
『Japan's Total Empire』Louise Young - うちゅうてきなとりで
『大元帥・昭和天皇』山田朗 その1 ――最高指揮官の行動をたどる - うちゅうてきなとりで
『大元帥・昭和天皇』山田朗 その2 ――最高指揮官の行動をたどる - うちゅうてきなとりで
『忘れられた島々』井上亮 ――南洋諸島と日本の歴史 - うちゅうてきなとりで
『徴兵制』大江志乃夫 その1 ――徴兵制の歴史をたどる - うちゅうてきなとりで
『徴兵制』大江志乃夫 その2 ――徴兵制の歴史をたどる - うちゅうてきなとりで
『未完のファシズム』片山杜秀 その1 ――日本軍の精神主義の起源 - うちゅうてきなとりで
『未完のファシズム』片山杜秀 その2 ――日本軍の精神主義の起源 - うちゅうてきなとりで
『日中戦争 殲滅戦から消耗戦へ』小林英夫 - うちゅうてきなとりで
『日中アヘン戦争』江口圭一 その1 - うちゅうてきなとりで
『日中アヘン戦争』江口圭一 その2 - うちゅうてきなとりで
『英雄なき島』久山忍 ――硫黄島の戦いと名将の実態 - うちゅうてきなとりで
『禅と戦争』ブライアン・アンドルー・ヴィクトリア - うちゅうてきなとりで
『たった一人の30年戦争』小野田寛郎 - うちゅうてきなとりで
『失敗の本質―日本軍の組織論的研究』戸部良一 - うちゅうてきなとりで
『一下級将校の見た帝国陸軍』山本七平 - うちゅうてきなとりで
『海軍伏龍特攻隊』門奈鷹一郎 ――やる前にだれか止めなかったのか - うちゅうてきなとりで
『本土決戦』土門周平 ――ひのきのぼうや石のオノで米軍を迎え撃つ - うちゅうてきなとりで
『毒ガス戦と日本軍』吉見義明 その1 ――日本軍はどのように化学兵器を使ったか - うちゅうてきなとりで
『毒ガス戦と日本軍』吉見義明 その2 ――日本軍はどのように化学兵器を使ったか - うちゅうてきなとりで
『大本営報道部』平櫛孝 ――大本営発表の内側 - うちゅうてきなとりで
『太平洋戦争と新聞』前坂俊之 その1 ――マスメディアと権力との癒着 - うちゅうてきなとりで
『太平洋戦争と新聞』前坂俊之 その2 ――マスメディアと権力との癒着 - うちゅうてきなとりで
『餓死(うえじに)した英霊たち』藤原彰 その1 ――日本軍の餓死に関する概説書 - うちゅうてきなとりで
『餓死(うえじに)した英霊たち』藤原彰 その2 ――日本軍の餓死に関する概説書 - うちゅうてきなとりで
『真珠湾収容所の捕虜たち』オーテス・ケーリ ――アメリカの傘の下で - うちゅうてきなとりで
『日本海軍の戦略発想』千早正隆 ――「アメリカには、物量だけでなく、組織力・精神力でも負けた」 - うちゅうてきなとりで
『日本陸軍と中国』戸部良一 ――陸軍の中国通が見落としていた要素 - うちゅうてきなとりで
『初めて人を殺す』井上俊夫 ――ある日本兵の回想 - うちゅうてきなとりで
『陸軍登戸研究所の真実』伴繁雄 その1 - うちゅうてきなとりで
『陸軍登戸研究所の真実』伴繁雄 その2 - うちゅうてきなとりで
『謀略戦 陸軍登戸研究所』斎藤充功 - うちゅうてきなとりで
『特攻体験と戦後』島尾敏雄・吉田満 - うちゅうてきなとりで
『僕は少年ゲリラ兵だった:陸軍中野学校が作った沖縄秘密部隊』NHKスペシャル取材班 ――我が国の少年兵政策 - うちゅうてきなとりで
『ペリリュー・沖縄戦記』ユージン・スレッジ その1 - うちゅうてきなとりで
『ペリリュー・沖縄戦記』ユージン・スレッジ その2 - うちゅうてきなとりで
『戦争の科学』アーネスト・ヴォルクマン その1 - うちゅうてきなとりで
『戦争の科学』アーネスト・ヴォルクマン その2 - うちゅうてきなとりで
『Weapons and Warfare in Renaissance Europe』Bert S. Hall - うちゅうてきなとりで
『The roots of Blitzkrieg』James S. Corum その1 - うちゅうてきなとりで
『The roots of Blitzkrieg』James S. Corum その2 - うちゅうてきなとりで
『毒ガス開発の父ハーバー』宮田親平 - うちゅうてきなとりで
『サムソン・オプション』セイモア・ハーシュ その1 ――容認された核開発 - うちゅうてきなとりで
『サムソン・オプション』セイモア・ハーシュ その2 ――容認された核開発 - うちゅうてきなとりで
『細菌戦争の世紀』トム・マンゴールド その1 - うちゅうてきなとりで
『細菌戦争の世紀』トム・マンゴールド その2 - うちゅうてきなとりで
『城郭の見方・調べ方ハンドブック』西ヶ谷恭弘 - うちゅうてきなとりで
『三島瑞穂の自衛隊へのアドバイス』 - うちゅうてきなとりで
カントは、永遠平和の達成のためにどのような具体的な策が必要かを考えた。
1章 国家間の永遠平和のための予備条項
1「将来の戦争の種をひそかに保留して締結された平和条約は、決して平和条約とみなされてはならない」
2「独立しているいかなる国家も、継承、交換、買収または贈与によって、ほかの国家がこれを取得できるということがあってはならない」
国家は人格であり、財産として扱われない。
3「常備軍は、時とともに全廃されなければならない」
常備軍と同じく、財貨の蓄積も、先制攻撃の原因となる。一方で、防衛のための限定的な軍隊編成は認めている。よって、実効性があるかどうかは別として、自衛のための軍事力を否定しているわけではない。
兵隊という職業の根本的な問題についての見解は次のとおり。
――……そのうえ、人を殺したり殺されたりするために雇われることは、人間がたんなる機械や道具としてほかのものの(国家の)手で使用されることを含んでいると思われるが、こうした使用は、われわれ自身の人格における人間性の権利とおよそ調和しないであろう。
4「国家の対外紛争にかんしては、いかなる国債も発行されてはならない」
5「いかなる国家も、ほかの国家の体制や統治に、暴力をもって干渉してはならない」
――……一国家に生じた騒乱は、一民族がみずからの無法によって招いた大きな災厄の実例として、むしろ多民族にとって戒めとなるはずである。
ただし、カントの定義では、国家が無政府状態となり、分裂した場合は、一勢力に援助することは認められる。それも内戦中の場合は許されない。
6「いかなる国家も、他国との戦争において、将来の平和時における相互間の信頼を不可能にしてしまうような行為をしてはならない。たとえば、暗殺者や毒殺者を雇ったり、降伏条約を破ったり、敵国内での裏切りをそそのかしたりすることが、これに当たる」
交戦法規、フェアプレイの精神について。
2章 国家間の永遠平和のための確定条項
人間社会の自然状態は戦争状態である。
よって、「平和状態は、創設されなければならない」。
通常の市民社会のおいて、人びとは法的体制の下にある。
1「各国家における市民的体制は、共和的でなければならない」
社会の成員が皆自由であり、法の下に従属しており、国民として平等であることが条件である。こうした体制が「あらゆる種類の市民的組織の根源的な地盤となる体制」である。
共和的な体制においては、戦争には国民の賛同が必要となり、決定者全員が苦難を背負うため、慎重な判断になる。
なお、統治者が多数であっても統治方式が憲法に基づかない専制的なものである場合は、それは共和的体制ではなく、民衆的体制である。
2「国際法は、自由な諸国家の連合制度に基礎を置くべきである」
国家間において法的体制を作り出すのは困難だが、カントは永遠平和を目指すための平和連合を提唱する。
――この連合が求めるのは、……もっぱらある国家そのもののための自由と、それと連合したほかの諸国家の自由とを維持し、保障することであって、しかも諸国家はそれだからといって、……公法や公法の下での強制に服従する必要はないのである。
カントの考えでは戦争への権利を正当化する国際法は無意味である。
3「世界市民法は、普遍的な友好をもたらす諸条件に制限されなければならない」
他国民の尊重の必要性について。
***
◆メモ
補論に、諸国家は哲学者の提言に忠実でなければならない、という秘密条項がうたわれている。
確かに、全員がカントの話を聞き入れれば戦争はなくなるだろう。
平和連合の観念は現在の国際政治にも影響を与えていると思われる。
少量の規定だけで全人類の行動を規制するのは困難である。戦争は膨大な数の人間が関わってくる複雑な現象である。大原則は必要だが、それだけではきれいごとで終わってしまう。
カントは、ホッブズと同じように、人間は生来戦争と無秩序に向かう傾向を持っており、人為的、意図的に平和を創設しなければ安定は維持できないと考えている。
平和への取り組みはおそらく無限の道だが私たちは進み続けるしかないだろう。