無職戦闘員は、ふと昔のことをおもいだして、そこでは夢を見ている自分が過去の記憶を思い出そうとしてメモ帳に手入力しているところだった。
無職日記には、わたしの架空の記事が残されている。
◆フセインの首
イラク戦争に関する大義名分の1つ(大量破壊兵器)が偽情報であり、また合衆国自体はそれを承知していた可能性が高い。
日本政府の態度……属国であり情報も米国依存なので仕方なかった、だまされた、という見解ではない。
政府の大前提が、「イラク戦争は正当である」というものである。
いっさい反省点はない、よって、騙された・騙されていないという以前の問題である。
なぜなら正しいことをしたのだから責任も反省もない。
それが政府の方針だが、筋が通らないので、かれらは極力触れないようにしている。
わたしが後悔しているのは、当時自分自身が戦争を支持していたことである。
人道復興支援という名目で活動していた集団がある。
空の〇〇は、では何を運んでいたかというと、復興支援の文物ではなく、合衆国軍である。
例えば病院船が、自国または同盟国の作戦のために兵を輸送していたらそれは問題ではないのか。
人道復興支援というのは名目で、実態は合衆国軍の下請け会社、補給輸送担当なのである。
無職の視覚像が脳みそに映し出される……。
この便に乗って帰ろうとおもったところ、アメちゃんにすごい剣幕で追い出されそうになった。
アメリカの飛行機ではなく空の〇〇の飛行機であるにも関わらず、図体のでかい兵隊に道をふさがれた。何を運ぶのかとおもって中を確認したら、大量の棺が搭載されていた。貨物エリアに無数の棺が整然と並んでいる風景が印象的である。わたしたちはアメちゃんの屍体を運んでいた。
なんとか乗せてもらい、わたしたち無職は、棺のあいだにうずくまって砂漠から離陸した。わたしたちは、「アメリカは半端ないなあ」と話しながらただぼーっ座っていた。